内部統制強化、厳密な原価管理……変革迫られる建設業をシステムから変えるには建設業特化の統合システムは不可能ではない

営業、見積もり、原価……バラバラに導入されたシステムが業務の改革を阻んでいる。「建設業ではまず無理」と諦められていた「統合システム」を実現する方法とは。

2017年11月08日 10時00分 公開
[ITmedia]

 スピーディーに変化するビジネス環境や法改正、コンプライアンス強化の流れを受け、建設業は変革の波にさらされている。昨今はM&Aによる業界再編も進んでおり、これまで以上にビジネスが多様化している。例えば製造業や販売業と建設業の親和性は高く、部材の製造、成果物の販売といった領域までカバーする企業も珍しいものではなくなった。

 こうした中、建設業のシステム導入も一筋縄ではいかないものになっている。建設業のビジネスの仕組みはもとより複雑で、協力企業の数、扱う部材、情報の量は圧倒的に多い。営業管理、見積もり管理、原価管理、工事管理、経費精算、会計……と、さまざまな業務システムを使い分けて現場を回しているというのが一般的な姿だろう。他業種との統合や協業を行った結果、生産管理、販売在庫管理など、このタイミングで新たなシステム導入が必要となっている現場も多い。

 しかし、業務ごとにシステムを用意し、それぞれデータベース(DB)を構築し、システム間はCSV形式のデータなどで連携するという従来の運用には、そろそろ限界が見えている。

 連携や入力の手間、入力のタイムラグによる情報の不整合、ミスや手戻りの発生、また、システム環境がそれぞれ異なることによる運用の複雑化などは、業務ごとにシステムを運用することによる弊害だ。複数のDBからは必要かつ正確な情報をタイムリーに引き出すことができず、情報活用という観点で効率が悪い。特に、厳密な個別原価管理が求められるようになった今、このようなシステムから監査で求められる情報をスピーディーに抽出するのは極めて難しい。

 「1つのシステム、1つのDBで業務系システムを一元管理」というのは、建設業における理想のシステムの形だろう。しかし、「実現は難しい」と最初から諦めているのが多くの企業の現状ではないだろうか。本稿では建設業システムのあるべき姿とそれを実現する手法を紹介しよう。

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