SAPユーザーはデジタル変革の潮流を前に大きな課題を抱える。システムをどう変えるか、どんな計画で何に着手すべきか、人材をどう確保するか。先行企業に指針を聞いた。
2025年はSAPユーザーにとって1つの分岐点だ。国内でまだ多くの企業が利用する「SAP ERP」について、SAPでは2025年までメインストリームメンテナンスを継続するとアナウンスしている。だがそれ以降について、現時点では詳細を明らかにしていない。「あと7年もあるではないか」と考える方もいるかもしれないが、SAP ERPを取り巻く状況を整理すると、実は「もう7年しか残っていない」ことに気付くはずだ。
例えば、SAP ERPの開発や保守を担う人材の問題がある。かつてSAP ERP導入時にアドオン開発を担当した人材を7年後も確保できるのか。10年以上前にSAP導入に携わったベテランのABAPプログラマーは、7年後には定年を迎えているかもしれない。
他にも、SAP ERPおよびその周辺システムの将来構想を考える上で、検討すべき課題が山ほどある。SAP ERPを「S/4HANA」に移行することは、ビジネス変革基盤を形作る重要なイベントだ。「前回同様に、人とお金を突っ込んで“力業”でバージョンアップに当たればよい」と考えていると、自社のビジネス全体の成長を阻害することにもなりかねない。こうした問題をどこから整理し、対処すればよいのか。2025年以降を見据えたSAP ERPのリニューアルに成功、デジタル変革を推進する企業が語る。
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