VDI中心のデスクトップ仮想化市場、ユーザーが重視する製品選択基準は?デスクトップ仮想化に関する調査リポート

普及期を迎えつつあるデスクトップ仮想化だが、デスクトップ仮想化方式ではVDI(仮想PC)以外の知名度はまだ低いようだ。また、インフラ構築の難しさから性能に不満を抱えるユーザーが少なくないことも明らかに。

2014年02月27日 00時00分 公開
[ITmedia]

 TechTargetジャパンでは2014年1月14日から1月28日にかけて、会員を対象にしたアンケート調査「サーバ仮想化/デスクトップ仮想化の導入に関する読者調査」を実施した。その結果からは、企業が仮想化を導入したことによって得られたさまざまなメリットや、あるいは仮想化にかける期待などがうかがえたと同時に、幾つかの課題も浮き彫りとなった。それらの中から本稿では、デスクトップ仮想化に関する主だった調査結果を紹介する。

調査概要

目的:デスクトップ仮想化の導入状況について調査するため

方法:Webによるアンケート

調査対象:TechTargetジャパン会員

調査期間:2014年1月14日〜1月28日

総回答数:263件

 ※回答の比率(%)は小数点第2位を四捨五入し表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります。


ようやく本格普及期を迎えたデスクトップ仮想化

 「お勤め先では、デスクトップ仮想化製品を利用していますか?」という質問に対し、「利用している」との回答が25.9%と約4分の1を占めている。これに、「試験導入している」(9.3%)、「今度導入予定がある/検討中」(15.4%)を加えると、約半数が何らかの形でデスクトップ仮想化を導入済みもしくは導入予定であるという結果が得られた。

お勤め先では、デスクトップ仮想化製品を利用していますか?(有効回答=259)

 デスクトップ仮想化技術は、古くはシンクライアントの時代からその有用性が謳われていながら、なかなか広く普及するには至らなかったが、2012年後半あたりからそうした状況に変化が見られるようになった。さらに2013年には、本格導入に踏み切る企業が続出し、さながら「デスクトップ仮想化元年」とも呼ぶべき状況となった。

 その背景には、サーバやストレージの価格性能比が飛躍的に向上し、デスクトップ仮想化を実用的なパフォーマンスで稼働させるためのハードウェアリソースを安価に調達できるようになったことがある。また、セキュリティや災害対策/BCPを強化するために、クライアントPCを排してVDI(Virtual Desktop Infrastructure)によるデスクトップ集中管理体制に移行する企業も増えてきた。さらには、Windows XPのサポート切れを契機にデスクトップ環境の抜本的な見直しをかける中で、デスクトップ仮想化を導入する企業も多いようだ。

VDI製品がデスクトップ仮想化市場をリード

 一言でデスクトップ仮想化といっても、その実現方式にはVDIからリモートデスクトップ、クライアントハイパーバイザーなどさまざまなものがあるが、「お勤め先では、どのデスクトップ仮想化方式を利用(試験導入)していますか?」という質問に対し、60%と断トツで多い回答を集めたのが「VDI(仮想PC)」だった。

お勤め先では、どのデスクトップ仮想化方式を利用(試験導入)していますか?(有効回答=90)

 一方、VDIよりはるかに長い歴史を持つ「リモートデスクトップ」や「サーバ共有デスクトップ(SBC方式)」は、VDIの半分前後しか回答を得られなかった。このことから、現在では「デスクトップ仮想化」というと、ほぼ「VDI」と同義と捉えられている状況が透けて見える。

VDI方式のシェア、最も高いのは?

 それでは、VDI製品のシェアはどうなっているだろうか。「主に利用(試験導入)しているVDI方式のデスクトップ仮想化製品をお選びください」という質問に対しては、早くからこの分野を先行する「Citrix XenDesktop」が46.4%と多くの回答を集め、さらに「Microsoft Desktop Infrastructure」(26.2%)、「VMware Horizon View」(29.2%)が続く。

主に利用(試験導入)しているVDI方式のデスクトップ仮想化製品をお選びください(有効回答=90)

しかし、「現在導入に向けて情報収集を行っているデスクトップ仮想化製品を、お選びください」という質問では一転して、VDIに強い「VMware Horizon View」が75%と最も多い回答を集めている。

 デスクトップ仮想化に先駆けて普及が進んだサーバ仮想化では、ヴイエムウェアの「VMware vSphere」が圧倒的なシェアを誇っており、既にこれを使って仮想化基盤を構築した企業がさらにデスクトップ仮想化を導入する際にVMware Horizon Viewの情報を収集する傾向にあるようだ。

 上記ではVDI製品に絞ってシェアを見てきた。だが、今後、デスクトップ仮想化の適用範囲が広がるにつれ、利用シーンやデバイス種別ごとに適したデスクトップ仮想化方式を選択して利用する企業が増えてくることが予想される。そのため、今後デスクトップ仮想化の市場が成熟していくに従い、リモートデスクトップや、サーバ共有デスクトップ(SBC方式)、アプリケーション仮想化が採用されるシーンも増えてくるだろう。

製品選びで重視することは「性能/パフォーマンス」が1位

 「今後デスクトップ仮想化製品を完全導入/追加導入/バージョンアップまたは乗り換えるとしたら、どのような点を重視して製品を選びますか?」「デスクトップ仮想化製品を導入に当たって、どのような点を重視して製品を選びますか?」という2つの質問では、どちらも「性能/パフォーマンス」という回答が1位を占めた。

今後デスクトップ仮想化製品を完全導入/追加導入/バージョンアップまたは乗り換えるとしたら、どのような点を重視して製品を選びますか?《クリックで拡大》

 ハードウェア機器の高性能化やネットワーク帯域の広域化によって、一昔前と比べるとデスクトップ仮想化のパフォーマンスは格段に向上したとはいえ、必ずしも全てのユーザーが十分な性能を備えたインフラを整備できるとは限らない。また、インフラの性能はその利用状況によっても大きく左右されるため、デスクトップPCをスタンドアロンで利用する場合と比べ、まだまだパフォーマンスに不満を抱えるユーザーが少なくないのが実情のようだ。

ベンダーからの主張

シトリックスは、今回の調査結果の通り、デスクトップおよびアプリケーション仮想化で多くの実績と高いシェアを誇るベンダーです。VDIは仮想化を実現する重要な要素として捉えていますが、モバイル時代が到来した今、お客さまのニーズはよりアプリケーションの利用に向かっています。デスクトップに加え、アプリケーションの仮想化を起点に、モバイルデバイスの特性を生かしながら、安全で快適な利用環境を総合的に提供します。


調査結果からも分かる通り、VDI(仮想デスクトップ)の導入を検討するに際し、ユーザー組織はROI(投資対効果)とパフォーマンスの2つを最重要視しています。しかし、この2点に注目していると、つい見落としてしまうポイントがあることにお気付きでしょうか? VDIが企業導入のもたらす最大のメリットであり、VDI導入の目的にすべきことをご紹介します。


デスクトップ仮想化(VDI)の導入は、ワークスタイル、セキュリティ、事業継続など、さまざまなメリットがあります、しかし、導入に当たってはやはり「コスト」が大きな壁になっている企業が多いようです。なぜVDIの導入は高コストになってしまうのでしょうか? その理由を知ると「VDI+シンクライアント」を低コストで導入するためのアイデアが見えてきます。



TechTargetジャパン会員を対象にした、サーバ仮想化/デスクトップ仮想化に関する読者調査を実施した。本リポートでは仮想化製品の導入状況、満足度、製品選定のポイントなどをまとめている。

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