なぜARMプロセッサは組み込み向けで多く利用されているのか? ARMプロセッサの変遷と特徴を解説するとともに、今後の可能性について触れる。
組み込みを代表するプロセッサとしてまず挙げられるのがARM(Advanced RISC Machines)であろう。もともとは英Acorn Software Technologies(以下、Acorn)というマイコンのベンダーが、1985年に自社のマイコン用に開発した32ビットRISC(Reduced Instruction Set Computer:縮小命令セットコンピュータ)だった。当時、Acornはモステクノロジーの「6502」というプロセッサをベースにマイコンを作っており、最初のARMプロセッサである「ARM1」は、この6502のエミュレーションを行うことができた。ちなみに、この6502やその後継製品は、今でも米国のWDC(The Western Design Center)で製造されている。
これに続き、「ARM2」「ARM3」とプロセッサが強化されていくにつれて、ARMそのものの方に人気が出てしまう。最終的に、AcornはARMプロセッサの開発部隊のみを残し、コンピュータの開発/生産ラインをAcornのブランドごと売却してしまった。一方で開発部隊は「ARM(アーム)」と改称され、プロセッサの生産だけでなくプロセッサコアのライセンス供与を主要なビジネスに切り替えて現在に至っている。
プロセッサコアのライセンス供与とは、要するに「CPUの設計図を売るビジネス」と考えればよい。つまり、アームは物理的なCPUのチップを一切販売せず、設計図のみを販売している。実際のCPUチップは、この設計図を購入したベンダーが自分で製造する形になる。設計図にもさまざまなものがあり、アームが提供している設計図は以下の3種となっている。
ベンダーは自分の欲しいCPUの設計図を購入し、自分で作るようになっている。結果として、PCのように「CPUだけ」で販売されることはなく、最低でもメモリコントローラーやI/Oバス、幾つかの周辺機能を統合したSoC(System on a Chip)の形で製造されることになる。当然、製造プロセスについてもさまざまで、例えば「ARM11」は0.13マイクロメートルから65ナノメートルあたりまで、複数のプロセスで製造された製品が市場に混在している。
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