非連続的で不確実なグローバル経済環境において、あらためて組織の「(意思決定)スピード」と「現場力」が求められている。大手8社の成功事例に経営課題解決のヒントを見る。
事業統合や組織再編などの経営課題に直面する大手企業にとって、次に挙げる8社の抱えていた課題には共通項があるはずだ。本稿では、これら8社の課題解決事例が掲載されたホワイトペーパーの中から、商船三井とエディオンの事例を抜粋して紹介する。
企業名(掲載順) | 設定された課題 |
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全日本空輸(ANA)(Notes移行) | グループ3万人の意思決定の場である「会議の質と効率」を向上させたい |
エディオン | 企業統合に当たり、全社員の意識を統一させたい |
商船三井(Notes移行) | 世界150社、1万人の業務コミュニケーションを円滑化したい |
豊田自動織機 | 取引先2000社を巻き込んだサプライコミュニケーションを強化したい |
アスクル(Notes移行) | 事業スピードを加速し、改善のスパイラルアップを果たしたい |
マイナビ | 情報過多による悪循環を一掃し、迅速かつダイレクトに情報を伝えたい |
ヒビノ(Notes移行) | 既存資産のNotes以上に、データ活用とコスト抑制を促進したい |
トーメンエレクトロニクス | 基幹連携ワークフローによって業務効率を上げたい |
グループ全体でシナジー効果を生み出せている成功例がどれだけあるだろうか。国内外に約150社のグループ会社を持つ商船三井では、2007年度に「質的成長」をメインテーマに、安全運行の強化やグローバル展開の加速、グループ総合力の強化などを狙った中期経営計画をスタートさせた。本社と各国拠点での情報共有の質が実現の鍵を握っていたが、異なる情報基盤、メール中心のコミュニケーションが、特に航海士や機関士など海上社員への迅速な情報共有を阻んでいたのである。
「社員の結び付きを強化するため、世界中のスタッフの顔や担当業務が分かる共通のアドレス帳が欲しい」という社員からの要望も取り込んで、グループ1万人が共有する初めての「グローバルポータル」を実現させた。企業理念や安全運行情報にとどまらず、国ごとに異なる積載の法規制など、業務に直結する一部部門情報までをターゲットに迅速な共有を実現し、グループの求心力を高めることに成功した。
近年、業界再編や戦略的M&Aが再燃している。だが、当初の統合ビジョンと程遠い、そもそも統合に至らないなど失敗に分類されるケースも少なくない。先駆的な事業統合・再編で知られる家電量販店チェーン第2位のエディオンでは、3社統合当時(2002年、その後も戦略的提携、合併を展開)、3社では別々の情報基盤が使われており、情報発信を行う本部の業務負荷が高まっていた。事業統合の効果を顕在化するには、共通ルールやプロセスが必要になる。しかし、各店舗は従来の「看板」で営業を続けていたこともあり、「統合の実感」も「変わろうとする意欲」もわきにくい環境だった。
グループ全体を結ぶ新情報共有基盤の検討の根底には「全社員の情報共有、意識合わせをしたい」という強い思いがあった。徹底した利用者視点により、店舗スタッフがひと目で「今、接客の現場で必要な情報」を把握できる画面を作り上げ、欠品や過剰発注など採算性に直結するリスク低減を実現させた。
全社員が利用し、企業全体に効果が波及するグループウェアやポータル、ワークフローなどの情報基盤の活用で経営課題に取り組んだ全日本空輸(ANA)など複数のユーザー事例を通じて、その解決法を紹介する。
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