JTが2012年3月期からのIFRS適用を正式発表、差異額を明らかに【IFRS】営業利益、当期純利益にプラスの差異

IFRS適用の理由について「財務情報の国際的な比較可能性を向上させるとともに、国際的な市場における資金調達手段の多様化を目指す」と説明している。

2012年02月29日 20時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 日本たばこ産業(JT)は2月29日、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)を2012年3月期から任意適用すると正式発表した。従来は日本基準だった。

 同社はIFRS適用の理由について「資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させるとともに、国際的な市場における資金調達手段の多様化を目指す」と説明している。JTは、1999年に米国のRJRナビスコから米国外のたばこ事業を、2007年には英国ギャラハーの全株式を取得するなど買収を続けている。

 今回のIFRS任意適用には、のれんを償却しないIFRSに移行することで営業利益の押し上げを図る狙いもあるとみられる。2012年3月期通期連結業績予想では、日本基準の営業利益が3650億円なのに対して、IFRSベースでは4460億円となる。差異額は810億円のプラス。のれん非償却の影響はそのうちの830億円。

 また、固定資産の減価償却方法を定率法から定額法に変えることで営業利益で60億円のプラスの差異を見込む。退職給付会計の変更も営業利益を130億円押し上げる。ただ、営業外・特別損益の組み替えで230億円のマイナスの差異が発生する。

 一方、売上高に関しては、国内たばこ事業の物流事業売上高がIFRSの収益認識では代理人取引扱いとなるため、全体の売上高から差し引かれる。2012年3月期通期連結業績予想では、日本基準が2兆5400億円なのに対して、IFRSでは2兆330億円となる。差異は5070億円のマイナス。当期純利益は日本基準で1890億円、IFRSでは2860億円と予想している。差異は960億円のプラス。

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