IFRSの適用については「IFRSのどの基準・考え方がわが国にとって受け入れ可能であり、どの基準・考え方は難しいかを整理することが必要である」とコメント。
金融庁の企業会計審議会は7月2日、約1年間行ってきたIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の日本への適用についての審議をまとめた「中間的論点整理」を公表した。6月14日の合同会議で示した「中間的論点整理(案)」とほぼ同じ内容だ(詳細記事:意見の溝埋まらず審議継続へ、IFRS議論「中間的論点整理」公表)。
中間的論点整理では、IFRS適用についての結論は示していない。「現時点において、いくつかの論点について委員の意見になおかなりの隔たりがあり、最終的な結論が出ているわけではなく、さらに審議を継続して議論を深める必要がある」。その上でこれまでの議論の整理として以下のように記している。
「連単分離、中小企業等への対応を前提に、わが国会計基準のあり方を踏まえた主体的コンバージェンス、任意適用の積み上げを図りつつ、国際会計基準の適用のあり方について、その目的やわが国の経済や制度などにもたらす影響を十分に勘案し、最もふさわしい対応を検討すべき」
個別の論点では、日本基準の今後の開発について、「会計基準の国際的な調和に向けた努力は継続する必要があり、日本基準を高品質化するような会計基準の変更については、前向きに対応することが適当」と指摘。その際は2011年11月に提出したアジェンダ・コンサルテーションの内容を考慮すべきとした。
アジェンダ・コンサルテーションで提出した意見の骨子は以下。
IFRSの適用については「IFRSのどの基準・考え方がわが国にとって受け入れ可能であり、どの基準・考え方は難しいかを整理することが必要である」として、任意適用の実績を積み上げていく重要性を訴えている。また、日本がカーブアウトしていない「ピュアなIFRSの任意適用を認めており、この点について、対外的にも積極的に発信していくことが重要」としている。
IFRSの適用については連結財務諸表に限って適用し、単体財務諸表は日本の会計基準を引き続き利用する「連単分離」が「現実的」と指摘。また、非上場の中小企業については「IFRSの影響を受けないようにするというこれまでの方針を維持することが適当」とまとめている。
金融庁は今後もIFRS適用についての審議を継続していくとしているが、IFRS適用について議論している米国の方針決定が遅れている上、国会の混乱も続いていることから、今後の動向は読み切れない状況だ。
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