グローバルで戦う株式会社○×製造は、急成長する海外競合企業に立ち向かうための「武器」を探していた。これまで縦割りで見てきた品質管理や調達管理を一気通貫で可視化する、超高速パフォーマンスBIとは?
株式会社○×製造は、主にデジタル機器の製造・販売を担う企業である。自社で開発から調達・製造・物流・販売を手掛ける垂直統合型の仕組みにより、高品質な製品を届けることで他社との競争に打ち勝ってきた。特に、製造工程についてはこだわりを持って原価管理・カイゼン活動を繰り返しながら、きっちりとコスト削減・品質向上を実現してきた。数年前より、国内市場の縮小と新興国を中心とした市場機会をいち早く見極め、グローバル展開を推し進めてきたが、市場はさらに早く、刻々と変化している。近年は、中国、韓国、台湾などの製造業企業が急成長してきており、市場によっては後塵を拝すことも少なくない。
「やるべきことはやってきたはずだ……。ではなぜ競合との差は縮まらないんだ。急成長している海外企業は一体何をやってるんだ……?」
頭を悩ませていた○×製造社長の江草 はじめは、社員に調査を命じた。
競業企業を調査したところ、驚くべき事実に江草社長は気付いた。急成長しているグローバル企業は、これまで日本の製造業が得意としてきた「高品質な製品を自社で一手に作る」というビジネスモデルではなく、「顧客にとって良い製品を他社と協業して効率的に製造し、価格競争力とスピード感を持って市場に投下している」のだ。
「競合企業はうちとは全く違う土俵で戦っている……」
グローバルで急成長している製造業の多くは、ビジネスプロセスを一社で全て賄おうとはしない。委託できる分野は他社に委託して、自社の強みに集中することで、製品の市場投入スピードと低価格を強力な武器としていた。しかも、品質が目に見えて悪いということはない。なぜなら、デザインにしても部品にしても、「その分野に特化して磨いている企業」と協業することで品質を担保し、市場の評価を得ているのだ。○×製造とは全く違う土俵で戦いながら、市場で売れているという事実。もはやこの事実から○×製造は目をそらすことはできない。
しかし、○×製造がビジネスモデルをすぐに捨て去り、何の根拠もなしに他社に委託するのは現実的ではない。であれば、競合企業にグローバルで立ち向かっていくためには、今まで手を付けてこなかったプロセスにも効率化・最適化・標準化のメスを入れるという環境構築が先決だ。そのとき、江草社長は1つの疑問が浮かんだ。
「なぜ海外の急成長企業は複雑なグローバル製造の品質担保を実現し、しかも低価格で速く製品を市場に投下できるのだろうか……?」
よくよく調べてみると、単に委託するだけでなく、やはりプロセスを一気通貫で「見える化」する仕組みがあるようだ。であればその仕組みを取り入れることでたとえ他社に委託しないとしても、工程ごとに見てきた品質管理、別々にカイゼンを続けてきた物流や在庫の管理、そういったこれまで縦割りで管理してきたプロセス全てを横ぐしで管理できればいいのではないか? その中で必要であれば他社との協業を模索すべき領域も見えてくるのではないか?
具体的には、製造工程をさかのぼって部材メーカー、原料メーカーからモノを調達する調達管理にまでメスを入れる必要がある。これまで部品ごと、ユニットごとに行ってきた調達管理を一気通貫で見える化できれば、調達の無駄を省き、もっと低コストで品質を上げられる部材や原料を探すといったさらなるカイゼンが可能になるのではないか? 江草社長は早速情報システム部門の責任者である速見 とおるに相談を持ちかけた。
「実現するには圧倒的にBIのパフォーマンスが足りません」
速見から返ってきたのはそんな言葉だった。これまで個別にBIで分析してきたビジネスプロセスを調達管理まで含めて横ぐしで見るとなると、これまでのBIではパフォーマンスが足りないのは明確だった。そもそも縦割りの管理で十分だと考えていたからこそ、それに適したBIを利用してきた経緯もある。
しかし、これまでの常識はもはや○×製造には通用しない。まるで「乾いたぞうきんを絞る」ような小さなコスト削減やカイゼン活動ではらちが明かないのだ。劇的にコストを削減し、劇的に製造工程を次々変革し、劇的な品質改善を実現できる気付きを得られる環境構築が急務だということを、江草社長は確信していた。速見を前に、江草社長はデスクを力いっぱい殴りつけながらこう叫んだ。
「ITを含めた自社変革以外にグローバルで勝ち抜く術はない!! 問題を解決するためには、もっと速い、圧倒的なパフォーマンスを持つ見える化のための武器が必要なんだ!」
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