国内に複数のホームセンターを展開する□△流通株式会社。同社は需要予測の精度に問題を抱えていた。これまで週次で行っていた需要予測をリアルタイムで行うにはどうすればいいか。
「需要予測が当てにならない……。一体何が起こっているんだ!?」
ホームセンター「□△ホーム」を全国規模で多店舗展開する製造小売業(SPA)の□△流通株式会社社長の橋口 みつるは悩んでいた。□△流通では、需要予測を実施するためにデータマイニングツールを導入。週次で各店舗の売り上げ状況を見ながら翌週の仕入・在庫計画を修正してきた。また、同社はオリジナルブランド商品の製造工場も持つため、同マイニングツールを利用して自社製品の売り上げ規模を予測して各商品の生産計画を立て、それを週次で見直していた。
流通業を取り巻く背景の中でも、近年は需要予測の難しさが取りざたされている。「作れば売れる」「良いものは絶対売れる」という神話の時代はとうの昔に終わり、データマイニングをはじめとするBIツールを導入しながら、どの流通業企業でも多かれ少なかれ需要予測を実施している。しかし、過去の販売実績だけでは予測不可能なほどに、消費者の興味の移り変わりは早くなっている。事実、□△流通ではデータマイニングツールではじき出した需要予測通りに計画を修正実行しても、余剰在庫や欠品が増え、ひいては売り上げが伸び悩むといったことが近年多くなってきた。
また、近年は特に顧客の声を需要予測に取り入れる重要性に注目が集まっている。コールセンターに寄せられるクレームはもちろんのこと、口コミサイトや通販サイト、TwitterやFacebookに書き込まれる商品の感想までをもまとめて分析するというのだ。しかもその膨大な情報量を日次で分析し、日々在庫計画や生産計画にフィードバックしなければ、正確な需要予測ができない時代になってきている。
「もっとリアルタイムに需要予測を実施するにはどうすればいいのか……」
いかに多くの情報を収集し、それに基づく経営判断のスピードを上げられるか。そのためにはITの力が欠かせない。橋口社長は早速情報システム部門の責任者である太田 けんじに相談を持ち掛けた。
「その情報量では、今のマイニングツールではデータ照合に何日も必要です」
太田は某大手小売業の情報システム部門におけるIT活用の手腕を橋口社長に買われ、ヘッドハンティングされた□△流通の期待の星だ。ゆくゆくはCIOへと成長してもらいたいと橋口社長は考えており、その太田から出た言葉だけに説得力があった。
製造管理も含めて、在庫管理、物流管理、売り上げ管理のデータを横ぐしでつなげ、日次で最適化するような需要予測を行うためには、今まで拾い切れなかった細かい1つひとつのトランザクションデータまで拾わななければならない。特に消費財を取り扱う流通業にとっての顧客の声の数は莫大だ。自動車などの耐久消費財に比べ、ホームセンターで扱う商品は当然市場に出回る数も多く、好不評入り乱れて非常に多くの声がインターネット上に発せられる。それらの非構造化データと自社内の生産、販売、在庫データなどを組み合わせて分析しようとすると、今のマイニングツールでは圧倒的にパフォーマンスが足りないのだ。
一通りの説明を聞き、頭を抱える橋口社長に太田は静かに語り始めた。
「ただ、社長の狙いを実現する方法が1つだけあります」
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