Windows XPのサポート終了まで後1年を切ったが、多くの企業はいまだに重要なビジネスアプリケーションをXPで運用している。米国では、XP移行を検討していない企業が株主から訴えられるケースも出ている。
2001年に登場したWindows XPは、米Microsoftにとって最も成功を収めたOS製品だ。2004年にリリースされたService Pack 2(SP2)でセキュリティが強化され、バグだらけだったWebブラウザ「Internet Explorer(IE)」が改良されたことで、Windows XPは比較的安定したプラットフォームになった。
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2005年には、MicrosoftはデスクトップOSをWindows Vistaに更新するよう訴求したが、企業の多くはWindows XP SP2にアップグレードしたばかりで、再びPCを更新する気も予算もなかった。2009年にリリースされたWindows 7でさえ出足が遅く、なかなか弾みがつかずにきている。
しかしVistaとは異なり、Windows 7へのアップグレードパスは多くの企業が受け入れ、現在XPからWindows 7への移行を進めている。 ただしWindows XPとWindows 7ではかなり違いがあるため、Windows 7に移行できないアプリケーションが必ず出てくる。そこでITリーダーは、社内の特別なコードが新しいOSをサポートするかどうかを確認する必要があるとティラー氏は話す。社内アプリケーションの多くはブラウザフロントエンドだが、XPのIE6用に作成されたブラウザアプリケーションの中には、Windows 7のIE8で正常に実行できないものがある。
「Windows XPからWindows 7または8への移行は、予定より大幅に遅れている」と話すのは、米VMwareのシニアプロダクトマーケティングマネジャーのギャリー・オーエン氏だ。「もうこれ以上先延ばしできないところまできたと言える」
「米国では、移行を検討していない企業の株主が株主代表訴訟を起こすケースが出ている」とオーエン氏は言う。
IT部門が取り得る対策の1つは、CitrixやVMwareを使用するなどして、サンドボックス環境でXPを実行することだ。
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Computer Weekly日本語版 2013年6月12日号:Windows XPの終焉─そのとき残されたシステムは?
ただし米Gartnerによると、ターミナルサービスを実行するか、仮想マシンを使ってローカルでWindows XPを実行する場合しか、MicrosoftはIE6アプリケーションの仮想化をサポートしないという。
このライセンス条項に従って、ターミナルサービスを実行するサーバにWindows XPを移行すればWindows XPを安全に運用し続けることはできる。だが、この方法には制限がある。
Microsoftは、Microsoft Application Virtualization(App-V)や同様のサードパーティーのアプリケーション仮想化製品を使って、IE6をアプリケーションとして仮想化する方法をサポートしないとしている。つまり、同一OS上で複数のバージョンのInternet Explorerを実行することはできない。
また、WindowsおよびIE6の使用条件において、IE6のアプリケーション仮想化は禁止されている。Microsoftは、Windowsの一部としてのみIE6の使用をサポートおよび許可し、スタンドアロンアプリケーションとしての使用は認めていない。
仮想環境でIE6アプリケーションを実行できるとしても、ユーザーがこの使用条件に従った場合、アプリケーション仮想化によるIE6アプリケーションの運用はMicrosoftによって実質的に阻止されることになる。
IE6アプリケーションを引き続き運用する必要がある企業ユーザーがMicrosoftの使用許諾契約書に抵触しないでいられる唯一の方法は、OS全体を仮想化することだ。しかし、この方法にも制約がある。
Microsoftは、Windows Server 2003を実行する場合のみIE6を仮想化できるとしている。同社によると、「つまり、Windows Server 2008 R2のターミナルサービスRemoteApp機能は利用できない。従って、2015年7月にWindows Server 2003のサポートが終了した時点で、XP戦略を見直さなくてはならなくなる」ということだ。
CDGのテイラー氏によると、1つ実行可能な方法として、米ベンチャーのBrowsiumのサードパーティー製品を使う方法があるという。これは採用されるケースが出てきており、例えば最近、英HM Revenue & Customs(英国歳入税関庁)はBrowsiumと5000万ポンドの契約を結び、新しいバージョンのIE上で安全にIE6アプリケーションを実行できる、同社のブラウザエミュレーションソフトウェアを導入している。
BrowsiumのIE6サポート製品「UniBrows」の仕組み、機能、事例については、Computer Weekly製品導入ガイド「Windows XPからWindows 7へ──IT資産移行ガイド【後編】」で詳しく紹介しています。TT会員であれば無料でダウンロードできるPDFコンテンツです。
今からWindows XPの移行に取り掛かる場合は、数千個のデスクトップアプリケーションのテストが必要になる。
デスクトップ資産の調査が済んだら、Windows 7とWindows 8のどちらにアップグレードするか、また、特定のユーザーにはデスクトップ仮想化が適しているかどうかを判断する必要がある。おおむね、企業の場合はWindows 7への移行が最適だとされる。その場合も、Windows 7のメインストリームサポートは2015年1月に終了し、2020年には完全にサポートが打ち切られることを念頭に置く必要がある。
それでも、多くの企業はWindows 8を選ぶことはないだろう。Windows 8のタッチインタフェースは、従来のエンタープライズデスクトップ環境には向かないからだ。となると、サポート終了後もWindows XPを運用し続けるべきだろうか?
コストを度外視するというのでなければ、答えは「ノー」だ。カスタムの修正プログラムに掛かる費用は数十万ポンドになるだろう。また、VMwareのオーエン氏が指摘するように、CIOまたはIT担当役員は、セキュリティリスクを懸念する株主の逆鱗に触れる可能性がある。
当面は仮想マシンでWindows XPを運用することで凌げるが、この方法が使えるのはWindows Server 2003のサポートが提供されている間だけだ。また、アプリケーション仮想化によるIE6アプリケーションの運用は、Microsoftの使用許諾条件に抵触するために利用できない。
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