水事業会社の英Sutton & East Surrey Waterは、Googleマップを活用した作業割り当てシステムを構築。地方自治体の要件の順守、顧客対応の向上、コスト削減の面で成果を上げている。
水事業会社の英Sutton & East Surrey Water(以下、SESW社)は、Googleマップを基盤とする作業割り当てシステムを導入し、保守工事作業員を管理している。
SESW社は、公道や歩道での作業が含まれる水道本管の修繕に適用される地方自治体の建築企画要件に伴う公的手続きを、このシステムで処理している。これで、印刷された作業指示書を毎日集めなければならなかった紙ベースの手続きが不要になった。
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年6月26日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
SESW社のネットワーク管理者であるジェレミー・ヒース氏は、次のように当時の状況を話す。「サットン郡議会は、許可制制度に移行していた。つまり、前日の作業状況を議会に午前10時までに報告しなければ、決められた額の罰金を支払うことになる」
SESW社は、比較的小規模の水道会社で、全長3500キロの水道本管を管理している。本社と貯水槽は英国サリー州のレッドヒルにある。水道本管の修繕要員として、2人組の作業クルー8組が待機している。
「保守工事クルーから報告が入るまで、時間との戦いだ。携帯電話やタブレットのメールを使うこともできたが、クルーにとって報告は優先順位の高い作業ではないので、いずれも最適なソリューションにはならない」とヒース氏は話す。
カスタマーサービスの向上も、プロジェクトの狙いの1つだった。
「顧客の家の外に作業員がいる理由を電話で質問されても、何の作業をしているか分からない状態だった」
ヒース氏は、モバイルでの作業管理システムがSESW社に必要なことに気付いたが、市販されている製品はWebベースのシステムばかりで、会社のバックエンドのエンタープライズソフトウェアであるMicrosoft Dynamics NAVとは容易に統合できない。重複して情報を入力しなければならないシステムは欲しくなかった。
そのとき、GoogleによるGoogle Maps Coordinateの作業割当機能のデモを見て、ヒース氏は試用を開始した。
「Googleから、Googleマップと作業の詳細情報を使ってクルーの現在地を示すWebサイトが提供されている」
また、ヒース氏は、基本のAndroid端末も選定した。「手始めにシンプルなAndroidフォンを使ってみたが、試用期間中に携帯電話の画面では小さすぎることが分かった」
画面が大きければ、作業計画書のPDFを表示することもできるだろう。通常、クルーには現場に向かう前にカラー印刷した作業計画書を渡し、壊れた水道本管の修理時に参照できるようにしている。
ある週末、ヒース氏は自宅でタブレットをどこかに置き忘れてしまった。結局、コンバットパンツのポケットに入っていた。
「クルーのほとんどはコンバットパンツをはいている。7インチのタブレットなら、余裕でポケットに入る」
ヒース氏が選んだのは、120ポンドのZTE Light Tab 2だ。端末は確かにポケットに収まったが、実際には、クルーの大型トラック内で充電器に有線でつながれていることがほとんどだった。ヒース氏は、端末の価格はかなり安く、耐久性もあるので余分な費用を掛けたくないと、米国製の盗難防止機能の付いたマウントダッシュボード「RamMount」のみを追加で購入した。
「半年間で、画面の破損が1件起きただけだ」
ヒース氏は、「新しいシステムを導入できるだけの予算はなかったが、作業指示書の印刷が不要になったことで節約できたコストは、Google Maps Coordinateのコストを容易にカバーできた。これには、経営陣も喜んでいる」と話す。
「Google Maps Coordinateは、技術的には構成しやすく、数週間で導入できた」
ZTE Light Tab 2のOSはAndroid Gingerbreadだ。ヒース氏によると、これは携帯電話のOSに近いため、Jelly Beanなど、新しいバージョンよりもクルーには向いている。「トレーニングは1時間半で済んだ」(ヒース氏)
この後、ヒース氏の話はGoogleのサポート体制に及びます。彼はGoogleをどのように評価しているのでしょうか。続きは、
で読むことができます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
プログラマティック広告はどう変化? 米国レポートから見える「今後の動向」
CTVとプライベートマーケットプレイスへの広告支出のシフトにより、米広告業界ではプログ...
「顧客体験」の重要性高まる 2024年「CX」関連の人気記事TOP10を紹介
今回の記事では、2024年「ITmedia ビジネスオンライン CX Experts」のアクセスランキング...
SNSの情報がアルゴリズムで最適化されていることを「知らない」が6割超 年代別では?
ロイヤリティ マーケティングは、10〜60代のSNS利用者を対象に、SNS情報の信用度に関する...