仮想化とクラウドの企業導入が進み、従来の3層構造のイーサネットではトラフィックなどの面で不都合が生じてきた。これを打開するために提唱されえいるのが、「ファブリック」というアプローチだ。
データセンターの設計に関する最新の考え方では、仮想化の導入を奨励している。しかし仮想化は、ネットワークに多大な影響を及ぼすこともある。
ネットワーク的には、サーバとストレージの物理的な位置が分かっていることが好ましい。そうすれば、ネットワークパスを最適化して、さまざまなサーバやストレージ間のジャンプ(例えばIPトラフィックが通過しなければならないネットワークスイッチやルータなど)の数を最低限に抑えられる。サーバとストレージの間のパスが直接的であるほど、データセンターのパフォーマンスは向上する。
本稿は、PDFコンテンツ「製品導入ガイド」シリーズ第4弾、「クラウドコンピューティングと仮想化のためのネットワーク最適化」の抄訳です。TechTarget会員であれば、無償でダウンロードできます。
しかしサーバとストレージの仮想化を最大限に活用するためには、VMの物理的位置が縛られることがあってはならない。位置を縛れば、仮想インフラの柔軟性に影響が出るからだ。結果として、従来型のイーサネットを仮想化およびクラウド用に最適化するのは容易ではない。
2010年12月に開かれたGartnerのデータセンターカンファレンスで実施された調査では、回答者の83%がモバイルを使って新しいロケーションの割り当て変更やワークロードの変更を行ったり、最適化のためにポリシーベースのソフトウェアルールを使ったりしていた。
Gartnerの考えでは、VMの動的な割り当てに対応するためには、「コンピューティングファブリック」というアプローチが必要になる。VMは、ネットワークとサーバ、ストレージがスイッチで接続された単一のユニットとして機能する。Gartnerの著名アナリスト、アンディ・バトラー氏は、「クラウドや仮想化では、ネットワークが難しくなる。HP Virtual ConnectやCisco UCS(Unified Computing System)といった現代のブレードプラットフォームは、(ネットワークをシンプル化するために)スイッチと統合されている」と指摘。「ファブリックコンピューティングでは、ネットワークスイッチがサーバ、ネットワーク、ストレージと統合されていることが前提となる」と解説する。
ストレージネットワーク機器メーカーBrocadeによると、イーサネットの設計はクラウドには適していない。かつてはネットワーク管理者がネットワークの中核部分のパフォーマンスを管理しており、ネットワークを最適化することも可能だった。だが、Brocadeの地域営業ディレクター、マーカス・ジュウェル氏によると、仮想化ではネットワークトラフィックの予測不可能性が高まるという。
Brocadeのシステムエンジニア、ダンカン・ヒューズ氏は言う。「過去20年の間、われわれはアクセス層、アグリゲーション層、コア層からなる3層の階層レイヤーを使ってきた。ルーティングはコア層のみで実行されるものであり、従ってもしネットワーク(サブネット)の違う部分でサーバと通信する必要がある場合は、ネットワークの3つの層(ネットワーク機器3台)をさかのぼり、再び戻って来なければならなかった」。これでは効率が悪く、仮想環境ではあまりうまくいかない。
同氏によると、ネットワークに対するこのアプローチをもし仮想環境で利用すれば、VM間のネットワークトラフィックはネットワークを行ったり来たりすることになる。
そこでBrocadeなどのネットワーク機器メーカーが現在売り込んでいるのが、仮想化によって生じるネットワーク問題を克服するネットワークファブリックというアイデアだ。Brocadeが開発したフラットレイヤー、2ネットワーク、自己修復型ファブリックは、3層のネットワークトポロジーを使った場合の限界を克服できると説明している。
本PDFでは、ファブリックの導入事例や米Forresterが提唱するユーザー中心のネットワーク「ユーザーエクスペリエンスネットワーク(uXu)」の概念、HP製品による仮想スイッチングの障害テストの詳細で構成されています。
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