ITベンダーからより良い提案を受けるには、適切な情報を盛り込んだ提案依頼書(RFP)が不可欠だ。デスクトップ仮想化の導入を成功させるRFP作成のノウハウを伝授する。
自社の戦略に沿った提案書をサービス事業者に作成させるためには、仮想デスクトップインフラ(VDI)プロジェクトの目標をはっきりさせておくことだ。
大手仮想化サービス事業者は、提案依頼書(RFP)にありがちな問題として、プロジェクトの成功基準が定義されていないことを挙げている。この定義がなければ自社もサービス事業者も、プロジェクトの成功を測ることができない。これは自社にとって問題であるばかりではなく、目標が文書化されていなければサービス事業者は適切なソリューションをどう提案すればいいのかが分からない。さらに悪いことに、見当違いの提案をしてしまうかもしれない。
本稿は、PDFコンテンツ「製品導入ガイド」シリーズ第6弾、「デスクトップ仮想化のための製品導入戦略ガイド」の抄訳です。TechTarget会員であれば、無償でダウンロードできます。
デスクトップ仮想化の提案を100件以上受けているサービス事業者を対象にForresterが実施した聞き取り調査では、RFPの中で顧客の環境について十分な情報が共有されていない実態が浮き彫りになった。
この情報の欠如は、顧客の環境に適したソリューションを提案しようとしているサービス事業者にとって問題となる。自社の環境についての適切な情報をRFPに盛り込んでおけば、繰り返し情報を求められる時間を減らし、サービス事業者がこの情報を引き出すために費やす時間を最低限に抑える一助となり、自社が想定した期間内でサービス事業者が迅速に対応できる。このプロセスを計画的に進めたいと思うのなら、そして頭痛の種をある程度取り除きたいと思うのなら、社内の関係者と連携しなければならない。
あらゆるVDIプロジェクトの鍵となる5項目の情報を以下に挙げる。
この情報を把握するため、多くの企業はユーザープロファイル調査を実施する。ユーザー調査には、使っているフォームファクターと、デスクトップアプリケーション、エンタープライズアプリケーション、ユーザーがアクセスする必要のある会社のデータを盛り込む必要がある。サービス事業者はこの調査によってデスクトップ環境を把握し、管理すべきイメージの数を提案することが可能になる。
調査対象のサービス事業者は全社とも、顧客がRFPに含めるべき情報の中でこれが最も大切だとする意見で一致した。管理すべきイメージの数が多いほど、運用コストはかさむ。また、イメージごとのエンタープライズアプリの数が多いほど、ソリューションのコストは増大する。
2つ目の要素はワイドエリアネットワーク(WAN)だ。仮想デスクトップのサポートと優れた使用感の提供は、ネットワークの品質に懸かっている。
サービス事業者は、プロジェクトの目標を達成するためにWANの変更を勧めることもある。これはコスト構成や社内外のサービス品質保証(SLA)に影響を及ぼす恐れがあり、ITのプロにとっては重要だ。
顧客企業のWAN環境次第では、アップグレードが運用経費節減につながることもある。
次はセキュリティだ。VDIがセキュリティに及ぼす影響について検討するために、自社のセキュリティ専門家と協力する必要がある。
ユーザーがデスクトップに導入しているものに関し、どの程度の柔軟性や権限を与えるかは企業によって異なる。仮想環境に移行した場合、この状況は変化するのか。その情報をRFPに盛り込んでおけば、事業者がそれに応じたソリューションを構築し、設計する助けになる。
現在利用できるストレージリソースと、将来的なロードマップ次第では、ストレージにも投資が必要になる場合がある。
サチュレーション、レイテンシ、可用性を含めたネットワーク全体の健全性についての評価書を提供することは、サービス事業者の理解を得る上で不可欠な要素となる。
最後に、Microsoftのライセンスの管理方法、Microsoftと結んでいる契約の種類、(もし当てはまる場合は)自社が持っている仮想デスクトップアクセス(VDA)ライセンスの説明も評価書に盛り込む必要がある。この情報は、契約獲得を目指すサービス事業者が顧客に対し、仮想環境におけるライセンスに応じて取るべき適切な対応をアドバイスする一助となる。
以上の5項目に加えて、Forresterではサービス事業者の選定プロセスに使ってもらうため、以下のような質問事項を作成した。
本PDFでは、選ぶべきサービス事業者を見極める助けになる「的を絞った質問項目」の解説が続きます。また、デスクトップ仮想化導入に際しての検討事項やBYODへの展開方法など、デスクトップ仮想化の導入や活用のヒントを提供します。
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