オンライン食料品点のOcadoは、ロボットの自社開発まで手掛け、自らを「小売業を手掛けるテクノロジー企業」と称する。同社のテクノロジー担当ディレクターに話を聞いた。
ポール・クラーク氏は、オンライン食料品店英Ocadoのテクノロジー戦略の責任者だ。Ocadoではビジネスのあらゆる面でITを活用している。
2012年にOcadoのテクノロジー担当ディレクターに就任したクラーク氏は、同社のビジネスについて、「社内では自分たちのことを、小売業を手掛けるテクノロジー企業だと見なしている」と語る。
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クラーク氏の肩書はCIOでもITディレクターでもなく、テクノロジー担当ディレクターである。そして、テクノロジーこそがOcadoのビジネスを差別化する。「珍しいことに、Orcadoでは全て社内開発している。弊社のビジネスの中で、IT開発が進行中でない領域はない」
事業を左右するのではなく支援する役割を担うものとしてITを見ている企業では認識されにくい、特有の課題がクラーク氏の職務には伴う。だが、クラーク氏は、経営陣からの洞察に富んだ、ハードルの高い質問を歓迎している。
「知見が深いCEOは、ハードルの高い難しい質問をする。しかし私は、むしろそうした質問を受けたい」とクラーク氏は言う。「経営陣はリソースの制約も理解している。優先順位を付けて、(何が実現可能かについて)現実的に考える必要がある。できる最善のことを見つけ、予算の許す限り速やかにリソースを拡大できるかどうかは、私次第だ」
これは、テクノロジーに当てはめると、クラウドコンピューティング、外部のプロバイダーとの連携、社内開発のバランスを取ることで、以前よりも目的を素早く、簡単に達成する手段を探ることになる。
テクノロジーをビジネスの中核に据えているOcadoなら、技術研究プログラムがあっても驚くことはないだろう。Google Carのような運転手不要のバンを作るほどではないが、Ocadoの研究プロジェクトの1つはロボティクスだ。
「市販されていない未来のアプリケーションを開発するために、レゴブロックを研究している。ロボティクスビジョンシステムの開発に取り組んでいて、実際のアプリケーションを構築できる段階に達しつつある」とクラーク氏は言う。
このビジョンシステムは、倉庫での商品の自動ピックアップに生かせる可能性がある。ロボットがあらかじめ決められた手順を実行する生産ラインのロボティクスと比べて、こういったシステムでは特有の技術的な課題に取り組まなければならない。
Ocadoがこのロボティクスヴィジョンプロジェクトで大学の研究室と提携しない理由を聞いたところ、欧州資本のプロジェクトの複数の研究グループと話をしたが、知的財産の所有権の問題で引っ掛かったという。Ocadoが開発したシステムは論文で発表せず、社内秘として特許で保護したいというのがクラーク氏の意向だ。
スタートアップ企業がOcadoと提携するチャンスはあるか? 実際に、スタートアップ企業からの売り込みもあるという。だが、クラーク氏によると「話は聞くが、“これはすごい、採用させてもらうよ”と答えたところは思い付かない」という。
Ocadoのテクノロジーチームは350人強の規模で、その半数以上は本社でテクノロジー関連業務に従事している。特筆すべきは、同社のソフトウェアのほとんどが社内で開発されていることだ。
OS、リレーショナルデータベース、コラボレーションやクラウドコンピューティングのためのエンタープライズテクノロジーは開発しないが、それ以外は全て、つまり「2つの倉庫で使うミドルウェア制御ソフトウェア、テレメトリーを含め、ラストワンマイルの処理の全て」を社内開発している。これには、ハードウェアを管理するリアルタイム制御ソフトウェアも含まれる。
実際に外部のソフトウェアを利用している領域では、Ocadoはベンダーと深く連携しているという。「パズルのその他のピースを提供するITベンダーには深い信頼を寄せている。Ocadoの業務に中核的な機能を担うようになったITベンダーとの関係は大切にしている」とクラーク氏は語る。
そのうちの1社がGoogleだ。OcadoはクラウドベースのGoogle Enterpriseスイートを使用している。
OcadoはGoogleの利用範囲を拡大しているという。「Googleとの関係はモバイルから始まった。弊社はそのとき、ネイティブモバイルアプリを開発していた。それから、Google Appsを導入した。現在は、クラウドの段階で、GoogleのBigQuery(クラウドベースのNoSQLデータベースエンジン)とGoogle Compute Engineを導入している」
Googleとの関係は、Androidアプリを皮切りに、かなり基本的なレベルで始めたが、今やGoogle Apps Engineを使ってクラウドベースの社内アプリケーションを構築しているという。「名簿など、幾つかの社内ツールを対象に2012年から使い始めた。だが、ポーランドのクラクフにある開発センターでは、業務部門用のビジネスインテリジェンス(BI)ダッシュボードを構築するための全く新しいフレームワークを開発した」
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