Oracle DBやSQL Serverを使い続けるのは本当に正しい選択なのか?データベース選定の“常識”を疑う

データベース市場で高いシェアを誇る、Oracle DatabaseとMicrosoft SQL Server。この2製品は確かに優れた製品ではあるが、用途やニーズによっては、他の選択肢を選ぶ方が賢明だ。

2014年01月31日 00時00分 公開
[ITmedia]

 データベース製品は世にあまたあれど、アプリケーション開発やシステム構築の現場で幅広く使われているのは、それほど多くない。具体的には、事実上「Oracle Database」と「Microsoft SQL Server」の2製品が利用されるケースが多い。これら2製品以外の選択肢といえば、一部のオープンソース系の製品が挙がる程度だ。実際のところ、パッケージソフトウェアの開発者や、中小規模システムのシステム構築を手掛けるエンジニアの中では、何の疑問を持つことなく上記2製品を使い続けてきた人も多いのではないだろうか。

 確かにOracle DatabaseとMicrosoft SQL Serverは、オープン系のパッケージ開発やシステム構築の世界において、データベース製品のデファクトスタンダードとして長らく君臨してきた。こうしたことから、多くのシステムインテグレーター(SIer)や独立系ソフトウェアベンダー(ISV)で技術ノウハウやスキルセットが蓄積されており、関連ビジネスのエコシステムも充実している。

 だがこの2製品があまりにも普及しているばかりに、その利用が本当に最適かどうかをあらためて確認することなく使い続けている開発者も多いのではないだろうか。特に若い世代の開発者は、業界キャリアをスタートさせたときからずっとこの2製品がデファクトスタンダードとして君臨していたために、その傾向が強いようだ。

メジャーなデータベース製品を選ぶことで失うものとは?

 日々の開発作業をよく振り返ってみると、こうした開発者は、実はデータベース製品に起因する煩雑な作業や高額な出費を強いられていることが分かる。

 例えば、システム更新や製品サポート切れに伴う、データベース製品のバージョンアップ。ここで往々にして問題になるのが、アプリケーションの改修だ。データベース製品がバージョンアップし、そのAPIの仕様や動作が変わってしまったばかりに、アプリケーションの改修を余儀なくされるケースが非常に多い。

 また、万が一の製品不具合に備えるためには、高額な保守費用をベンダーに支払い続けたり、高価なサポートサービスに加入したりする必要がある。ただし、たとえこうしたコスト負担を背負い込んだとしても、運が悪ければやはり製品の不具合に振り回されるはめに陥る。

 せっかく多機能なデータベース製品を購入しても、その機能のほとんどを使っていないというケースも多いだろう。多くても数十ユーザーしかアクセスしないシステムにもかかわらず、大規模環境向けに設計された高価なデータベースを導入している例も少なくない。

 こうしたリスクや課題はこれまで、パッケージ製品ならではの導入メリットを得る代わりのトレードオフとして引き受けざるを得ないものだと考えられてきた。しかし、世にあまたあるデータベース製品の中には、あまり知られてはいないものの、こうしたリスクのほとんどを回避できる製品も存在するのだ。こうした製品の1つが、米Actianが開発し、日本国内ではエージーテックが提供しているデータベース製品「PSQL」だ。

27年にわたって使われ続けてきた信頼のデータベース製品「PSQL」

 PSQLという名前になじみのない開発者も多いかもしれない。だがその前身である「Btrieve(ビートリーブ)」という名前を聞けば、ベテラン技術者の方の多くがピンとくることだろう。PSQLは、かつてBtrieveという製品名だったころから、組み込みデータベース市場のデファクトスタンダードとして君臨してきた製品なのだ。現在ではOracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverがバンドルされているパッケージソフトウェア製品の多くも、かつてはPSQLの前身であるBtrieve が搭載されていた。

 PSQLが初めて国内リリースされたのは、今から27年前。以後、機能強化を繰り返しながら進化を続けてきたものの、ベースとなるアーキテクチャは極めてシンプルであり、初代バージョンから基本的に変わっておらず、その信頼性は極めて高い。端的に言えば、いい意味で「枯れて」おり、一般的なオープン系データベース製品と比べて、不具合の数が圧倒的に少ないのだ。

 エージーテックでは、PSQLのサポートサービスを何と無償で提供しており、メンテナンス費用も不要にしている。今日のパッケージソフトウェアの世界では、これは常識破りと言っていいビジネスモデルだ。こうした大胆な施策が可能なのも、PSQLが高い信頼性を誇り、不具合を起こすことが極めて少ないからだ。開発元も、それだけ品質や安定性に自信を持っているということである。

 ライセンス価格も、例えば10ユーザー分で19万8000円(税別)と安価に抑えられており、またライセンス体系も同時接続ライセンスのみに統一されているため、無駄なコストを抑えた安価な調達が可能だ。品質の高い製品を安く購入でき、かつその後も無駄なサポート費や保守費を負担することなくほぼゼロコストで使い続けることができるため、一般的なデータベース製品と比べ、TCOを大幅に低く抑えられる。

長年のユーザーが評価する「下位互換性の高さ」

 PSQLは、「ADO」「ODBC」「JDBC」といった各種汎用APIが利用でき、一般的なリレーショナルデータベース製品と同様、SQLを使ったデータベース処理も可能だ。Microsoftの統合開発環境「Microsoft Visual Studio」で簡単に使用できるようにするADO.NET Data Providerも装備している。そのため、これまでSQLを使ってOracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverにアクセスするコードを書いてきた開発者にとっても、全く違和感なく使いこなすことができるようになっている。

 なお、PSQL独自の「Btrieve API」という、SQL を使用しないレコード単位のISAMライクなデータ操作が可能なAPIを使ってアプリケーションを開発すれば、記述するコード量は多くなるものの、ADO、ODBC、JDBCといった汎用APIと比べて、よりきめ細かく高速なデータアクセスが可能になる。ニーズに応じて独自APIと汎用APIとを使い分けることができる、というわけだ。

 PSQLがこれだけ長きにわたってユーザーを獲得し、データベース市場で一定の地位を確保し続けてきた理由の1つに、下位互換性の高さがある。製品がバージョンアップしても、APIの仕様が一切変わらないため、たとえPSQLを新しいバージョンのものに入れ替えても、アプリケーションに手を入れる必要は基本的にない。特にBtrieve APIを使用している分には、ほぼ100%の下位互換性が保障されている。

評価版だけでなく開発環境も無償で利用可能

 こうして見てみるとPSQLは、古い技術だけを大事に使い続けている製品のように思えるかもしれないが、それは誤解だ。PSQLは、下位互換性へ配慮しつつ、最新テクノロジーにもこれまで早期に対応してきている。例えば、OSの新バージョンがリリースされると、原則的にその3カ月後には対応バージョンをリリースしてきた。例えば最新版のPSQL v11では、当然のことながらWindowsの最新版である「Windows 8.1」「Windows Server 2012 R2」での稼働が可能だ。

 さらには、ターミナルサービスやサーバ仮想化、クラスタといった最新のインフラ技術への対応も抜かりない。PSQL v11では、VMware ESXやMicrosoft Hyper-V、Citrix XenServer 5.6で構築したサーバ仮想化環境での動作が保障対象となっている。その他、仮想マシンを物理サーバ間で移動させる「ライブマイグレーション」を頻繁に実行する環境向けに、専用の製品認証機能を備えた「PSQL Vx Server 11」というエディションも用意している。

 一方、クラスタ環境のサポートも充実させている。具体的には、Windows Serverが持つ「フェールオーバー クラスタリング」やLinux向けの「Heartbeat」といったクラスタ技術に対応している他、クラスタ専用のライセンス「スタンバイサーバーセット」も提供する。スタンバイサーバーセットは、本番用と待機用のライセンスをセットにして安価に提供するというライセンスモデルだ。

 スタンバイサーバーセットには、同時接続ユーザー数が100人以上と、比較的多くのライセンス数が必要なケース向けのライセンスメニューもある。しかも、これらは全てクラスタ環境用のライセンスとなっており、パッケージソフトウェアに組み込むというよりは、ある程度以上の規模のシステムを構築するSI案件での導入を想定している。PSQLは実際、少人数のユーザーで利用されるパッケージソフトウェアに組み込む用途だけでなく、業務システムの中の中核データベースとして利用されるケースも多いのだ。

 エージーテックは、開発会社向けの支援も欠かさない。その目玉ともいえるのが、PSQLの開発用ライセンスの無償提供だ。同社の開発パートナー企業向けプログラム「エージーテック・ビジネスパートナー(AGBP)」に参加すると、最大400日無償で利用できる開発用のPSQLライセンスや各種開発ツールを入手できる。ちなみに、AGBPへの登録や参加にも費用は一切掛からず、しかもその手続きはエージーテックのWebサイトから簡単にできる。また、開発に当たって必要となる各種の技術情報やテクニカルサポートも、エージ―テックは無償で提供している。

 こうしたことから、PSQLを使った製品やサービスの開発においては、データベースソフトウェアにまつわるコストは、事実上ほとんど掛からないと見ていい。こうしたハードルの低さも、他のデータベース製品には見られないPSQLならではのユニークな特徴だ。少しでも興味を持った人は、ぜひ一度PSQLの開発版を試してみてはいかがだろうか。

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