VDIを構築する上で課題になるのが、従業員の出社時間にI/Oが集中するブートストームだ。これを解消するには、ストレージ構成や最適化ソフトウェアの使用を検討する必要がある。
仮想デスクトップインフラ(VDI)はユーザーのPCをデータセンターに移すものである。その結果、ユーザーは一貫したエクスペリエンスを得ることができ、IT部門はパッチの適用、自動展開など、デスクトップアプリケーションの管理を一元化できる。
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ただし、VDIストレージを使用する際は十分な注意が必要だ。多数の仮想デスクトップが同じストレージに同時アクセスを試みるとI/Oのボトルネックが生じる可能性がある。本記事では、VDIプロジェクトに適したストレージ戦略を採用する際に検討すべき問題点について説明する。
仮想デスクトップは、導入時に永続モードと非永続モードのいずれかを選択できる。永続デスクトップは、各デスクトップが独自のディスクイメージを持ち、ユーザーはカスタム構成を保持できる。これに対して、非永続デスクトップは構成情報を保持せず、ユーザーがログオフするたびに標準マスターイメージに戻る。
これをストレージの観点から見ると、永続デスクトップは非永続デスクトップよりも高度なデータ保護と可用性の機能が必要になる。
物理PCを各ユーザーが個別に使用するモデルでは、パフォーマンスに関わる問題であろうと障害に関わる問題であろうと、ストレージの問題が影響するのはそのPCを使用しているユーザーだけである。しかし、VDIを使ってデスクトップを一元管理している場合、ユーザーは同じ物理インフラをマルチテナント構成で共有するため、パフォーマンスの問題や障害の影響がより深刻になる。
そのため、VDIは他の全てのエンタープライズアプリケーションと同様、ストレージコンポーネントを適切に設計する必要がある。つまり、パフォーマンス、容量、可用性を考慮しなければならないことになる。
VDIのディスクパフォーマンス要件を求める場合、パフォーマンスツールを使用して典型的なデスクトップをサンプリングし、一定時間内に実際に必要なIOPS(Input/Output Per Second)を測定するのがベストプラクティスである。
一般に、1つのWindows 7デスクトップに必要な平均IOPSは約20で、これは使用するクライアントアプリケーションによって変化する。この数値は、ユーザーのログイン時(アクティビティの大半は読み取りI/O)やログアウト時(大半が書き込みI/O)など、一日の中で特定の時間にピークに達する。これをブートストームまたはログイン/ログアウトストームと呼ぶ。
仮想デスクトップのI/Oは書き込みI/Oに大きく偏る傾向がある。通常のエンタープライズアプリケーションとは異なるため、VDIストレージソリューションを設計する際に問題になる可能性がある。バックグラウンド検索、ドライブ暗号化、ウイルススキャンなどの機能を無効にして、デスクトップI/Oを最適化するのも理にかなっている。
もう1つ注意が必要な点は、各デスクトップユーザーのI/O要求を予測することはできないため、VDIシステムにデスクトップを一元化するとワークロードのプロファイルが非常に不規則になることだ。ディスクベースのストレージでは、ランダムI/Oへの対応がより困難になる。特に、キャッシュやプリフェッチを行わずに物理ディスクから直接読み込む読み取りI/Oが課題になる。
代表的なユーザーデスクトップでは、利用するアプリケーションに応じて10G~20Gバイトあるいはそれ以上の容量が必要になる。大規模なVDIを展開する場合は、Tバイト単位のストレージ容量が必要になる場合があり、コストに大きな影響を与える。
幸い、VDIのデータはシンプロビジョニングやデータ重複排除といったデータリダクションテクノロジーに非常に適している。大部分のデータがOSのマスターイメージの単なるコピーの場合、重複排除の比率は90%に達することもある。
分散するデータを中央で一元管理するソリューションは、データの可用性が重要な考慮事項となる。VDIで必要とされる可用性のレベルは実装のタイプによって異なる。
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