企業内コラボレーションツールとしてのクラウドストレージの選び方Computer Weekly製品導入ガイド

コラボレーションツールとしてのクラウドストレージの有用性は広く認められつつある。ではどのようにツールを選ぶべきなのか?

2014年04月02日 08時00分 公開
[Clive Longbottom,Computer Weekly]
Computer Weekly

 クラウドベースのストレージシステムは、全従業員がライブ文書に取り組むチャンスを提供してくれる。だが独自のセキュリティリスクも存在する。

 DropboxやBox、SugarSync、OneDrive(旧称SkyDrive)──。ガバナンスやリスク、コンプライアンスのことを心配する担当者をパニックに陥れるには、そうしたクラウドストレージサプライヤーだけで十分だ。外部のファイルストレージや共有システムを無秩序に利用されれば、組織の知的財産管理にとって深刻な脅威となる。だが使用を禁止することが現実的な選択肢であるともいえない。クラウドストレージは定着するだろう。従って、社内での使われ方に対する管理の強化を目標としなければならない。

 クラウドベースのファイル共有システム利用は、実際にはいいこともある。かつて「共有」の主な手段といえば電子メールだった。この場合の「共有」の多くは実際には共有ではなかった。電子メールでファイルを配信すると、1つの文書の異なるバージョンが多数発生する。そのうちのどれを「ライブ」と見なすかが問題になる。

 多くの場合、ユーザーは間違ったバージョンを選んでそれに余分な手を加え、文書に含まれる全般的な情報に誤りが生じる。基本的には同じファイルの幾つものコピーを保存、アーカイブ、検索するための追加的な技術コストも掛かる。この種の情報共有を戦略的オプションとするのは難がある。電子メールはデータを簡単に動かせてしまうというセキュリティ問題もある。

異なる端末から文書へのアクセス

 モバイル端末の普及により、個人が複数の端末から文書にアクセスできる必要性が増している。そこでユーザーは電子メールを使うよりも、クラウドベースのストレージシステムに頼るようになった。これなら1つの文書の1つのバージョンで作業ができ、どの端末からアクセスしようと最新バージョンであることが分かるというメリットがある。クラウドストレージはオフプレミスでもある。これは、ファイルの本来の保存場所に何かが起きた場合の助けになる。社内のヘルプデスクに連絡したりデータ復旧プロセスをたどったりしなくても、クラウドがファイルの直接的なバックアップを提供してくれる。

 つまり、クラウドストレージシステムには利点がある。それでも管理の手が届かない組織の外に大量の情報を置く以上は、ユーザーに活用してもらうため、そして組織のために、何か手を打つ必要がある。

 そのためには個人だけでなく、複数のユーザーの視点からクラウドストレージに目を向けなければならない。チームが共同で文書に取り組む必要がある場合は、1人しか関与していない場合に比べて、全員が正しいバージョンで作業していることを確認することが大切になる。バージョン管理、アクセス管理、情報セキュリティを全て考慮しなければならない。

ユーザーに優しいシステムの選定

 オンプレミスのストレージを導入し、ユーザーがファイルを保存してどこからでもアクセスできる環境にする選択肢もある。一例としてSharePointやAlfrescoなどのシステムが挙げられるが、こうしたシステムは「あまりに堅苦しくて会社的」という理由でユーザーの評判はあまり良くない。オンプレミスシステムはまた、同じ問題を抱えてもいる。オフサイトのバックアップが存在しない限り、データセンターに重大な問題が起きれば全データが失われる。

 ユーザーが望んでいるのは「コンシューマー」的で使いやすく、ほとんど意識させずに機能するシステムだ。組織はユーザーが自分で選ぶものを、必要なレベルの機能とセキュリティを備えたものと一致させなければならない。ファイルサーバ上にWebフロントエンドを置くことも検討できるかもしれないが、これは組織全体に分散していることが多く、あまりいいアイデアではなさそうだ。しかもバックアップと復元については同じ問題が残る。

 だが、代替も登場している。

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