コラボレーションツールとしてのクラウドストレージの有用性は広く認められつつある。ではどのようにツールを選ぶべきなのか?
クラウドベースのストレージシステムは、全従業員がライブ文書に取り組むチャンスを提供してくれる。だが独自のセキュリティリスクも存在する。
DropboxやBox、SugarSync、OneDrive(旧称SkyDrive)──。ガバナンスやリスク、コンプライアンスのことを心配する担当者をパニックに陥れるには、そうしたクラウドストレージサプライヤーだけで十分だ。外部のファイルストレージや共有システムを無秩序に利用されれば、組織の知的財産管理にとって深刻な脅威となる。だが使用を禁止することが現実的な選択肢であるともいえない。クラウドストレージは定着するだろう。従って、社内での使われ方に対する管理の強化を目標としなければならない。
クラウドベースのファイル共有システム利用は、実際にはいいこともある。かつて「共有」の主な手段といえば電子メールだった。この場合の「共有」の多くは実際には共有ではなかった。電子メールでファイルを配信すると、1つの文書の異なるバージョンが多数発生する。そのうちのどれを「ライブ」と見なすかが問題になる。
多くの場合、ユーザーは間違ったバージョンを選んでそれに余分な手を加え、文書に含まれる全般的な情報に誤りが生じる。基本的には同じファイルの幾つものコピーを保存、アーカイブ、検索するための追加的な技術コストも掛かる。この種の情報共有を戦略的オプションとするのは難がある。電子メールはデータを簡単に動かせてしまうというセキュリティ問題もある。
モバイル端末の普及により、個人が複数の端末から文書にアクセスできる必要性が増している。そこでユーザーは電子メールを使うよりも、クラウドベースのストレージシステムに頼るようになった。これなら1つの文書の1つのバージョンで作業ができ、どの端末からアクセスしようと最新バージョンであることが分かるというメリットがある。クラウドストレージはオフプレミスでもある。これは、ファイルの本来の保存場所に何かが起きた場合の助けになる。社内のヘルプデスクに連絡したりデータ復旧プロセスをたどったりしなくても、クラウドがファイルの直接的なバックアップを提供してくれる。
つまり、クラウドストレージシステムには利点がある。それでも管理の手が届かない組織の外に大量の情報を置く以上は、ユーザーに活用してもらうため、そして組織のために、何か手を打つ必要がある。
そのためには個人だけでなく、複数のユーザーの視点からクラウドストレージに目を向けなければならない。チームが共同で文書に取り組む必要がある場合は、1人しか関与していない場合に比べて、全員が正しいバージョンで作業していることを確認することが大切になる。バージョン管理、アクセス管理、情報セキュリティを全て考慮しなければならない。
オンプレミスのストレージを導入し、ユーザーがファイルを保存してどこからでもアクセスできる環境にする選択肢もある。一例としてSharePointやAlfrescoなどのシステムが挙げられるが、こうしたシステムは「あまりに堅苦しくて会社的」という理由でユーザーの評判はあまり良くない。オンプレミスシステムはまた、同じ問題を抱えてもいる。オフサイトのバックアップが存在しない限り、データセンターに重大な問題が起きれば全データが失われる。
ユーザーが望んでいるのは「コンシューマー」的で使いやすく、ほとんど意識させずに機能するシステムだ。組織はユーザーが自分で選ぶものを、必要なレベルの機能とセキュリティを備えたものと一致させなければならない。ファイルサーバ上にWebフロントエンドを置くことも検討できるかもしれないが、これは組織全体に分散していることが多く、あまりいいアイデアではなさそうだ。しかもバックアップと復元については同じ問題が残る。
だが、代替も登場している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。
生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。
クラウド活用で顕在化するコスト増大と活用スキル不足の課題、解決の決め手は? (2025/5/9)
KDDIの通信品質と事業成長を支える“共通インフラデータ基盤”構築の舞台裏 (2025/3/12)
高まるSaaSバックアップ需要で「ストック収益」を拡大するには (2025/1/22)
大和総研に聞く、基幹システムのモダナイズ推進を成功に導いた四つのポイント (2024/12/23)
「オンプレミス仮想化基盤」のモダナイゼーションに最適なクラウド移行の進め方 (2024/11/11)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。