グリーンピースが「ダーティーエネルギー利用企業」AWSとTwitterを糾弾エネルギー問題の新たなリスク

環境保護団体グリーンピースは、データセンターの電力に再生可能エネルギーを利用しているとしてGoogle、Facebook、Appleを称賛する一方、AWSとTwitterを非難した。

2014年06月06日 08時00分 公開
[Archana Venkatraman,Computer Weekly]
Computer Weekly

 環境保護団体グリーンピースは最新リポート「Clicking Clean(クリーンに向けたクリック)」の中で大手データセンター事業者の環境業績を取り上げ、IT運用におけるエネルギー効率の改善に向けた取り組みに関して、米Apple、米Google、米eBay、米Facebookを評価している。

Computer Weekly日本語版 6月4日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 6月4日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。


 同リポートではGoogle、Facebook、Appleについて、各社の再生可能エネルギーに対する取り組みから、「環境に優しい電力によるインターネットを率先している企業」と評価している。この点については米Yahooについてもある程度評価している。

 Facebookは、自社のITインフラを100%再生可能エネルギーで賄っている。Googleは、カーボンニュートラルな取り組みの一環として、自社設備の電力に風カエネルギーを利用している。Googleは、データセンター設備におけるエネルギー管理システムのISO 50001認証を取得した北米最初の企業となった。

 一方Appleは、自社のIT設備の環境エネルギー導入への取り組みをさらに強化するため、米オレゴンにあるデータセンター近くの水力発電施設を買収した。

 Appleは、GoogleやFacebookと同様、太陽エネルギー、地熱エネルギー、風カエネルギーも利用している。Appleの環境リポートによれば、IT設備に直接関係するカーボンフットプリントはわずか2%にすぎない。

ダーティーなエネルギーを利用する企業

 だが、エネルギー消費量や炭素排出量についての報告に透明性が欠ける点と、データセンターへの電力供給に環境エネルギーが限定的にしか使われていないことから、米Amazon Web Services(AWS)や米Twitterらを名指しで非難している。グリーンピースによると、Amazon、Twitter、米Digital Realtyなどの有名なデータセンター事業者は「過去のダーティーなエネルギーの利用から抜け出せないでいる」という。

 クラウドプロバイダーのAWSは、効率向上のみを追求し、再生可能エネルギーへの切り替えをほとんど行っていないと指摘されている。AWSは、主に石炭をエネルギー源として使用している。

 グリーンピースは、Amazonをエネルギー消費の点で「評価した中で最も透明性の低い企業」と評した。同団体のリポートでは、AWSの自然エネルギー使用量を15%と推定し、GoogleがIT運用に使用する自然エネルギー量の34%と対比している。

 また、同リポートで、米Microsoft、米Equinix、米IBM、英Telecityを、「環境に優しい電力によるインターネットの利用に取り組んではいるが、率先して対応しているわけではない」として中程度の評価を与えている。

 2012年、Microsoftはカーボンフットプリントを削減するため、「Carbon Neutral by 2013(2013年までにカーボンニュートラル企業になる)」という計画を導入した。だが、同団体によれば、Microsoft Azureには依然として「大きな弱点」があるという。

 「MicrosoftはこれまでRenewable Energy Credits(RECs)を購入することで炭素排出量を相殺する方法に頼りすぎてきた。書類上は環境に優しい企業に見えても、ダーティーな電力を利用しているという現状は変えていない」と同リポートは述べている。

 New York Timesが明らかにしたところによると、Microsoftは自社のエネルギープロバイダーから一定量の電力を利用しないと21万ドル(12万9000ポンド)の違約金が課せられることになっており、これを免れるため、米レドモンドのクインシーにあるデータセンターで何千ポンドもの電力を浪費しているという。同社は、ディーゼル補助発電機を動かし、データセンターの運営に必要な量以上の電力を消費していた。

 グリーンピースIT部門の英国代表を務めるアンドリュー・ハットン氏は以前Computer Weeklyのインタビューに答えて、「MicrosoftやAmazonなどの企業は、環境に優しい企業になり得る大きな可能性があるにもかかわらず、やるべきことを十分行っていない」と話していた。

 だが、Microsoftは最近、米テキサス州のデータセンター近くにある風力発電の長期間購入契約を交わした。これは、同社のデータセンターで自然エネルギーを利用する準備が整ったことを示している。

 一方、世界中に100を超える大規模データセンター設備を有するEquinixは、2012年に1830Gワット時の電力を消費している。これは家庭の平均電力消費量の16万2000世帯分に相当する。

 同団体は、米Salesforce.com、米Rackspace、英Telecity、米Oracle、米HPなどのクラウドプロバイダーのカーボンフットプリント削減についても、さらなる取り組みが必要だと報告している。

 クラウドプロバイダーのSalesforce.comとRackspaceは、自社設備で100%再生可能エネルギーを利用することを約束している。Salesforce.comは、再生可能エネルギーを利用するコロケーションプロバイダーと提携することも発表している。その具体例として、100%再生可能エネルギー利用する英国初のデータセンターを英NTT Europeと共同で設立している。

グリーンピースの目的

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news199.jpg

Yahoo!広告における脱デモグラフィックの配信・分析を実現 電通が「DESIRE Targeting」を提供開始
電通の消費者研究プロジェクトチームは、消費者を理解し、Yahoo!広告の配信や分析を実施...

news132.jpg

生成AIを業務で使わないマーケターはもはや3割以下 御社はどうする?
HubSpot Japanが日本で実施した調査によると、日本のマーケターの8割以上が従来のマーケ...

news168.jpg

新富裕層の攻略法 「インカムリッチ」の財布のひもを緩めるマーケティングとは?
パワーカップルの出現などでこれまでとは異なる富裕層が生まれつつあります。今回の無料e...