“SSDに極力書き込まない”がハイブリッド型ストレージの新常識独自アーキテクチャでSSDの課題を抜本解決

処理能力の高いSSDと容量単価の安いHDDを組み合わせた階層型ストレージ。だが、従来型の仕組みでは性能対コストが見合わないケースも多い。両者を組み合わせつつ、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る製品が登場した。

2014年06月13日 13時00分 公開
[ITmedia]

 多様なデータの格納先として、もはや企業に不可欠な存在となったストレージ。ただし、ストレージはIT部門にとって頭痛の種でもある。

 その理由の1つが、CPUやネットワークと比較した際の進化の“遅さ”だ。事実、CPUの処理能力はムーアの法則から今もなお進化を続け、ネットワークも今や100Gbpsにまで広帯域化しているのに、ストレージの処理能力はほぼ横ばいで推移している。他の技術との間に生じたパフォーマンスのギャップが、システムやデータセンターの各種処理におけるボトルネックの原因としてかねてより指摘されてきた。

 加えて、問題を深刻化させているのが仮想化技術の普及である。仮想環境では、サーバ集約によって複数のサーバデータが1つのストレージに格納されるため、ストレージへのアクセス負荷が高くなる。

 そのため、とりわけアクセス負荷が高いVDI(Virtual Desktop Infrastructure)、データベース、メールサーバなどでは、処理速度の低下を食い止めるための、何らかの手だてが急務となっており、これまで多様な角度からアプローチが図られてきた。HDDの数を増やしI/Oを上げる方法や、ランダムI/Oに強いSSDの採用が代表的なものだ。

 だが、これらのアプローチにも課題が存在する。HDDの数を増やす方法では、より多くの電力を消費し、設置スペースの増加も避けられないことから、ITコストの増加が指摘されている。また、SSDを用いる方法では、SSDの値段がいまだ高止まりしているために、IT予算が潤沢ではない中堅・中小企業にとって、全てのHDDをSSDに置き換える「オールフラッシュ」は現実的な“解”にはなり難い。

 そこでベンダー各社が相次ぎ投入してきたのが、SSDに読み書きが多いデータを配置し、HDDに残りのデータを格納する階層型のストレージ製品である。これによって、SSDの利用割合を抑えてストレージのコストを下げるとともに、処理の高速化が可能になるわけだ。

 だが、残念ながらこの手法にも難題が残されている。SSDとHDDを安易に組み合わせても、期待するほどの性能対コストは得られないのだ。次項では、従来の階層型ストレージが直面している課題と、その抜本的な解決策について解説する。

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