“コンタクトセンター=オンプレ”は過去の常識 進化したクラウド型コンタクトセンターの今豊富な機能、高品質なクラウド&ネットワーク基盤に注目

“コンタクトセンターはオンプレミスでなければ使えない”は過去の常識にすぎない。今やクラウド型でも主要機能は当たり前、さらにクラウドならば柔軟性や迅速性が得られ、コスト削減も実現することができる。

2014年08月26日 10時00分 公開
[ITmedia]

 全ての顧客の窓口となるコンタクトセンターは、多くの企業にとって、ビジネス戦略上の重要な拠点である。特に昨今、注文受付や問い合わせ対応といった窓口業務だけでなく、顧客からの貴重な意見を効率良く収集し、業務の生産性向上や売り上げ貢献に生かすことが求められている。また、インターネットの普及、スマートデバイスの活用やソーシャルメディアの発達によって、顧客の消費活動が大きく変化してきていることも無視できない。コンタクトセンターは、こうした顧客の行動の変化にも対応し、収益拡大を目的とした“プロフィットセンター”として、ますます重要な役割を担う存在となっている。

 コンタクトセンターを構築するには、複数のコンタクトチャネルの統合をはじめ、高度なシステム連携が必要となる。そのため従来は、各種システムを要件に合わせてカスタマイズし、オンプレミスで構築するのが一般的であった。

 しかし、コンタクトセンターシステムをオンプレミスで構築するには、データセンターおよびハードウェアに掛かる設備投資コストが非常に大きく、また、ローンチまでに時間がかかる。特に、中小企業でコンタクトセンターの導入を検討している場合、初期費用の高さがハードルとなり諦めざるを得ないケースもある。一方、大企業においても、コスト削減の要請が強まる中、大規模なセンターを維持していくことは困難を極める。さらに、一度オンプレミスで設備を構築してしまうと、シーズンごとの需要やコール数の変動に応じて座席数を柔軟に増減することも難しくなる。つまり、カスタマイズを優先してオンプレミスを選択すると、その分、導入・運用コストが肥大化し、ビジネスの規模に応じた効率の良い運用が難しくなることを覚悟せねばならない。

 ところが、今やコンタクトセンター市場においても他の業務システムの流行と同様に、「必要なときに必要な分だけ使いたい」というニーズが高まっている。すなわち、クラウドサービスの活用だ。クラウド型コンタクトセンターサービスが登場した当初は実用性に欠けていたところもあったが、現在では技術・サービスの急速な発展によって、高度な機能を容易かつ安価に利用できるようになってきている。

 そこで、数あるクラウド型コンタクトセンターサービスの中でも特に注目したいのが、豊富な機能と堅牢なインフラを誇るNTTコミュニケーションズの「Arcstar Contact Center」である。以降、クラウド型ならではのメリットとともに、Arcstar Contact Centerについて詳しく紹介する。

クラウドサービスのメリットを最大限に生かしたコンタクトセンター

 クラウド型コンタクトセンターには、一般的なクラウドサービスと同様に、幾つかのメリットが存在する。総合的に考えれば、“資産を持たずに済む”という点に集約できるだろう。

 まず、PBX(Private Branch eXchange、構内交換機)などのハードウェアを購入しなくてもよいため、イニシャルコストを最小限に抑えることができ、短期間でサービスの利用開始が可能となる。

 オンプレミスでは、ラックスペースの確保や空調管理、電力消費などのコストが掛かっていた上、定期的なリプレースで発生する機器選定の手間や導入コスト、運用管理を担当する人材も必要であったが、クラウドサービスを利用することで、これらの運用コストについても悩みがなくなる。

 機能面では、もし急な人員増強が必要となっても、基本的にはオペレータが使用するデバイス以外にはハードウェアを購入する必要がなく、IDの追加だけで迅速に対応することができる。これは、比較的自由に座席を増減できるということでもある。つまり、顧客のコンタクトが増大する季節や新商品発売などに合わせて一時的に座席数を増やし、閑散期には減らしてしまうことも容易というわけだ。

 ビジネスの規模が拡大するにつれ、拠点の増強も問題となる。クラウドサービスであれば、VPN網で結ばれた環境であればどこからでもアクセスができ 、拠点が分散していても統合的に管理できる。

 ビジネスの最前線に立つコンタクトセンターは、移り変わる市場や顧客のニーズに素早く対応することが求められる。そのためには、クラウドサービスのメリットを存分に生かしたコンタクトセンター作りが必要だ。

必須の機能を高品質なサービスとして提供

 旧来のクラウド型コンタクトセンターサービスを知っている読者ほど、クラウド型はオンプレミスに比べて機能が不足しているというイメージを持っているのではないだろうか。しかし冒頭で述べたように、この数年で技術が大きく進化し、コンタクトセンターとして必要な機能をほぼそろえることが可能となっている。

 Arcstar Contact Centerで提供されている標準機能は次の通りである。

  • PBX(Private Branch eXchange、構内交換機)
  • ACD(Automatic Call Distribution、着信呼均等分配)
  • IVR(Interactive Voice Response、自動音声応答)
  • CTI(CRM連携)
  • カスタマーポータル
  • レポート(リアルタイム、ヒストリカルレポート)

 いずれもコンタクトセンターには必須の機能であるため、細かに説明する必要はないだろう。ただし、オンプレミスとほぼ遜色ないレベルの高品質なサービスとして提供されている点には注目したい。

 特にカスタマーポータルは、ユーザー側でエージェントIDの追加やスキルの変更、ガイダンス変更、休日・営業日設定、録音ファイルダウンロードなどをWeb画面から操作することが可能で、柔軟でスピーディな運営を可能としている。従来のクラウドサービスではなかなか実現されていなかったところだ。

 またレポート機能は、リアルタイムレポートとヒストリカルレポートの双方に対応しており、ユーザー独自のレポートを容易に作成することができる。IVRは、顧客データベースと連携することによって、高度なルーティングが可能となる。CTIではユーザー所有の各種CRMと連携し着信ポップアップを表示することができるなど、カスタマーエクスペリエンスを向上させる特徴的な機能を提供している。

 さらにArcstar Contact Centerでは、次のような機能もオプションとして提供している。

  • CDR(Call Detail Record、通話明細記録)レポート
  • 通話録音
  • アウトバウンド(自動発信)

 この中で、大きな機能拡張となるのがアウトバウンド機能だ。電話番号のリストへシステムが自動発信し、相手が応答したら適切なオペレータへ振り分けるサービスで、顧客に応じた精度の高い対応ができるため、効果的な販売促進や顧客満足度向上を実現する。これも従来のクラウドサービスでは、なかなか実現されていなかった機能の1つである。キャンペーンなど限定的なタイミングでのみアウトバウンド機能を使いたいという企業にとっては、クラウドサービスの方が利用しやすいといえる。

 このように、クラウド型コンタクトセンターサービスは、従来のような簡便な機能だけでなく、オンプレミスとほぼ同等のパフォーマンスを提供できるシステムへと進化している。

“キャリアグレード”のコンタクトセンターサービス

 ところで、コンタクトセンターはPBXやACDなどの機能のみで実現されているわけではない。クラウドサービスであれば、システムを支える「クラウド基盤」の他、ユーザー拠点や顧客を結ぶ「ネットワーク基盤」も非常に重要な要素である。

 音声品質が悪い、システムが不安定で迅速な回答ができないといったインフラの不整備は、顧客満足度の低下に直結する。そのため、クラウド型コンタクトセンターサービスを選定する際には、こうしたインフラ周りをしっかりと品定めしたいところだ。

 Arcstar Contact Centerは、NTTコミュニケーションズが提供するインフラを活用しているため、信頼性と品質が非常に高いサービスを提供することができる。

図 Arcstar Contact Centerの提供構成。エンドユーザーとユーザー企業コンタクトセンターをシームレスにつなぐクラウド型コンタクトセンター《クリックで拡大》

 クラウド基盤には、基幹システムにも用いられている「Bizホスティング Enterprise Cloud」が採用されており、運用面やセキュリティ面が非常に堅牢で、安定的なシステムを提供することができる。

 ユーザーのコンタクトセンターとのアクセス回線には、閉域網を活用したVPNサービス「Arcstar Universal One」を利用するため、他のサービスでよく採用されているインターネットVPNよりも、データを安全にやりとりすることが可能だ。国内のカバー率は非常に高く、マルチサイトも容易に構築可能で、将来的には海外との接続も予定されているとのことである。

 顧客との接続には、VoIP外線サービスの「Arcstar IP Voice」が用いられており、フリーダイヤル(0120)やナビダイヤル(0570)を組み合わせて利用することができる。フリーダイヤル/ナビダイヤルとの連携によってコールを振り分けることで、例えば、多拠点展開のコンタクトセンターをクラウド化する際、保守期限を迎えた拠点からArcstar Contact Centerに移行し、オンプレミスを利用している拠点と同時運用することが可能となる。これにより、業務を止めることなく段階的クラウド移行を円滑に実施することができる。また、多拠点間に振り分けることで、事業継続計画(BCP)対応のコールセンターを実現することも可能だ。

 Arcstar Contact Centerの最大の特徴は、NTTコミュニケーションズが提供することによって、コンサルティングから拠点工事、サポートや保守まで、ワンストップに提供できるところにある。回線からシステムまであらゆる側面において適切なシステムを提案でき、トラブル時にも的確に障害発生点を把握して迅速な対応が可能である。

 料金体系も柔軟でシンプルだ。新規工事の初期費用の他は、回線の基本料金やオプションの使用料とシート料を月額料金として支払うだけでよい。

 特にアウトバウンドにおいては、例えば新製品の売り込みなど、一時的な施策であるケースが多い。Arcstar Contact Centerのアウトバウンド機能はオプションとして月額料金が設定されているが、実際の使用料は日割り計算されることになっている。従って、例えば「100席のうちの20席を一週間だけアウトバウンドを利用したい」という場合でも、20席分のオプション利用料を一週間分支払えばよいというわけだ。

 「コンタクトセンターシステムは、オンプレミスで構築しなければ要件に対応することができない」というイメージは、もはや過去の常識にすぎない。豊富な機能と柔軟性、迅速性を備えた高品質なArcstar Contact Centerによって、従来以上のコンタクトセンターの構築が可能となるだろう。

 次のページでは、コンタクトセンターを取り巻く市場環境やArcstar Contact Centerの詳細について詳しく紹介する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:TechTargetジャパン編集部