英アイドルグループ「ワン・ダイレクション」のオンラインイベントには膨大なアクセスが集中したが、無事終了した。それを支えたのが、Google App Engineのスケーラビリティと生産性だったという。
米Sony Musicと、同社のデジタルコンテンツの権利を代行している英AIS Londonは、英国の人気アイドルグループ「ワン・ダイレクション(One Direction)」のキャンペーンイベント「1D Day」の開催と運営に当たって、米GoogleのGoogle Cloud Platformサービスを採用した。7時間連続のライブストリーミング(映像の生配信)を行ったこのイベントには77万2000件の同時アクセスがあり、映像は1070万回再生された。またソーシャルメディア上では1500万回のメンション(拡散)があった。
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同イベントはYouTube上で2013年11月23日に実施されたが、Sony Musicの英国内の活動を担当するSony Music Londonは、このイベントを盛り上げて多くのファンを引き付けるための工夫として、ストリーミングと同時に見てもらう「ウラ画面」アプリ「1D Day Quiz」を開発した。
「1D Day Quiz」は選択式のクイズを出題するアプリで、ワン・ダイレクションのメンバーやストリーミング中の出来事に関するクイズを、ストリーミングと連携して出題した。
10分ごとに新しいクイズが出題され、正解者の人数も画面に随時表示される。正解者にはバッジも贈られる。このアプリには、ライブストリーミングと連携させたソーシャルネットワークへのフィード(投稿)機能もある。
ここまでに挙げた機能はいずれも、トラフィックのスパイク(トラフィックが突然ピーク値に達すること)を誘発しやすい。Sony Musicでデジタルマーケティングマネジャーを務めるナディア・テミストクレオス氏は、Googleの公式ブログにゲストとして寄稿し、次のように書いている。「過去の経験から、彼らのファン向けのオンラインイベントではスパイクが起こりがちだという点は事前に覚悟していた」
スケーラブルでありながら応答も十分速く、さらにトラフィックのスパイクにも対処できるアプリを開発するために、Sony MusicとAIS Londonに与えられた準備期間は3週間を切っていた。そこで両社はクラウドサービスを利用して、バックエンドのインフラに対する予測しきれない危険へのプレッシャーに対処した。
「Syco Music(イギリス人の音楽プロデューサーであるサイモン・コーウェル氏が設立した音楽レーベル)はいつもテクノロジーを利用して、アーティストとファンとの間の関係を深め、いい交流を実現させているから」と、Sony Musicのデジタルマーケティング部門の責任者、ジュヌビエーヴ・アンパデュー氏は説明する。「われわれは『1D Day』で、ファンにアーティストと対話を通した交流を存分に楽しんでほしいと考えた。『Google+ハングアウト』を活用して、現実を超える体験を実現できたし、『1D Day Quiz』アプリは、生配信されているショウにファンがリアルタイムで参加する手段として、大いに役立った」(アンパデュー氏)
「ワン・ダイレクションには膨大な数のファンがいることを考えると、アプリはクラウドサービス上で実行できるものにすることが重要だった」とアンパデュー氏は付け加える。
Sony Musicはまた、このアプリを通じてファンの居住地や年齢層などのデータをリアルタイムで取得して保存したいと希望していた。
ITチームにとって、新しいアプリのスケーラビリティはイベントの成功を左右する重要な要因だった。開発チームも「1D Day」イベント開催中にそれを実感した。トラフィックの負荷は、1秒当たりのクエリ数(QPS)が数百からいきなり数千になるなど、激しく変動したからだ。
「100%信頼できるプラットフォームが必要だった。トラフィックのスパイクが繰り返し発生しても崩壊しないようなものだ」と、AISの事業開発ディレクターであるジェームズ・バートラム氏は語る。
そこで同氏のチームは、Googleが提供するPaaSであるGoogle App Engineを採用した。
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