米HPが2社に分社化すると発表した。この施策は、これまで同社の企業再生計画の中で明言されていたものではなく、企業やコンシュ―マーがITを購入する方法が変わってきたことに対する、より現実的な対応だ。
メグ・ホイットマン氏がHPのCEOに就任したのは2011年。当時の同氏は、前任者のレオ・アポテカー氏が提案していた(分社化の)方向に同社を導く決断を結局自ら下すことになるとは、予測していなかっただろう。
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アポテカー氏は、HPはPC事業から撤退してソフトウェアに注力すると決断した。同氏はその方針に従って70億ポンドを投じ、エンタープライズ向けのデータ解析サービスを所有していた英Autonomyを買収したことによって、CEOを解任された。それが3年前のことだ。そして今、ホイットマン氏がHPの分社化を実現しようとしている。
2014年10月、HPは同社の既存事業を2社に分社化すると発表した。Hewlett-Packard Enterpriseは企業のITニーズに適応した、基盤となるテクノロジー、ソフトウェア、サービスのポートフォリオを提供する。一方HP Inc.は、個人向けシステムおよびプリンタ事業を展開する。
これはリスクの高い戦略だ。2014年第2四半期、HPの個人向けシステム部門の売り上げは12%増だった。これに対してサービス部門は、アウトソーシング事業の売上額が35億ドルで前年比8%減、アプリケーションおよびビジネスサービス事業の売上額が21億ドルで前年比4%減だった。
HPのソフトウェアおよびサービス部門は、PC部門に比べて苦戦している。それでもHPは今なお、世界的なトップメーカーであることは事実だ。PCマーケットシェアに関するGartnerの最新の調査結果によると、HPはヨーロッパのPC市場では20.5%のシェアを持つトップメーカーだ。また調査対象の四半期の売り上げも好調で、461万台を出荷した。
「現在ハイテク業界では、顧客の世代交代によって多くの変化が起こっている。特にHPのように、従来ハードウェアと保守業務に注力した莫大なポートフォリオを抱えた企業では、この変化が顕著に現れる」と、米調査会社Forrester Researchでリサーチディレクターを務めるピーター・バリス氏は語る。「これからの企業は、業務で利用するテクノロジーを進化させるソフトウェアで、他社との差別化を図らなければならない」(バリス氏)
米調査会社のGartnerは、2013年のベンダー評価リポートで、HPについて次のように指摘していた。
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