クラウド市場の覇権を懸けて、MicrosoftとAmazonの競争が激化している。挑戦者のMicrosoftはAzureを強化してAmazonに挑む。注目すべきAzure戦略をアナリストが分析する。
米Microsoftと米Amazon Web Services(AWS)はどちらも間違いなく、クラウド業界の覇権を握ろうとして、エンタープライズ向けクラウドのトップシェア獲得に躍起になっている。
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 1月21日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
2014年の最後の四半期にさしかかろうとするころから、クラウド界の最大手であるこの2社から何か大きな発表があるのではないかという期待が高まっていた。Amazonは11月の第2週に、ラスベガスでカンファレンス「AWS re:Invent」を開催した。Microsoftはそれに先立って、10月下旬にサンフランシスコでクラウド関連のイベントを開催した。同社CEOのサトヤ・ナデラ氏はMicrosoft Azure関連の発表を多数行い、Azureを大いにアピールした。以下で、クラウド市場でのMicrosoftの最新動向を詳しく分析する。
AzureがIaaS機能の提供を始めた時点では、競合するAmazonのElastic Compute Cloud(EC2)が当時提供していた機能に比べて配備できる仮想マシン(VM)のタイプはかなり限定されていた。ただしここ2年間で、MicrosoftはVMのタイプを続々と追加して企業の要件にも応えられるようにした。これと並行するようにAmazonは、コンピューティング(演算パワー)、メモリ、ストレージを最適化した新しいインスタンスタイプをC3、R3、I2インスタンスファミリーとして提供し始めた。
エンタープライズのワークロードはクラウドへの移行が進んでいるが、(従来利用していた)オンプレミスのサーバ並みのパフォーマンスを実現するには、強力なインスタンスタイプが必要だ。どのプロバイダーも提供している、安価なローエンドのVM上でも動作するWebスケールアプリケーションとは違い、エンタープライズのワークロードには演算パワーとメモリの大量使用にも耐える、強力でモノリシックのVMが要求されるからだ。想定したスループットを実現するにはまず、高いIOPS(I/O per Second:1秒当たりの入出力処理回数)値を実現しなければならない。
Amazon EC2のインスタンスタイプでは、例えばr3.8xlargeモデルは32個の仮想CPU(vCPU)、244Gバイトのメモリ(RAM)、SSDストレージを利用できる。このメモリ容量は、EC2のインスタンスタイプがサポートできる最大値だ。これに対して、Microsoftが先日発表したGシリーズ(インスタンス)のVMのサイズは、RAMの容量がAmazon EC2の2倍となっている。(Azure Gシリーズの)Standard_G5モデルのVMのサイズは、32コア(CPU)、244GバイトのRAM、6500GバイトのSSDストレージ。これは現在パブリッククラウドで提供されているVMの仕様としては最高の値だ。
これは、独SAPのSAP、米OracleのOLTP、OLAP、PeopleSoftなど、負荷が高い基幹業務アプリケーションを利用している大規模組織の顧客にとっては大きなアピールポイントとなる。
またCPUも、ここで触れておかなければならない重要なファクターだ。Amazon EC2のR3インスタンスは米IntelのXeon E5-2670 v2ファミリのプロセッサをベースとしているが、Azure GシリーズがベースとしているのはXeon E5 v3ファミリのプロセッサだ。MicrosoftはGシリーズを発表したことで、Azureがエンタープライズ向けのサービスで一歩リードしたように見える。ただしAmazonがこれに対抗して、今後新たなインスタンスタイプを追加する可能性は否定できない。
Azureはサービス提供開始直後、IOPS値が高くないために、入出力処理が頻繁なワークロードを稼働させるのが困難だという問題に苦しんでいた。
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー
Computer Weekly日本語版 1月7日号:CIOがハマる5つの落とし穴
Computer Weekly日本語版 12月17日号:それでもWindows Server 2003を使うのか
Computer Weekly日本語版 12月3日号:iPad vs. Windows 8.1 勝者は?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。
生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。
KDDIの通信品質と事業成長を支える“共通インフラデータ基盤”構築の舞台裏 (2025/3/12)
高まるSaaSバックアップ需要で「ストック収益」を拡大するには (2025/1/22)
大和総研に聞く、基幹システムのモダナイズ推進を成功に導いた四つのポイント (2024/12/23)
「オンプレミス仮想化基盤」のモダナイゼーションに最適なクラウド移行の進め方 (2024/11/11)
コストや効率の課題解消、ITとOTの統合運用管理を実現する理想的なインフラとは (2024/10/18)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...