AWSと閉域網で新ビジネスに挑む、紙の総合商社「古紙回収サービス」の裏側国際紙パルプ商事のクラウド活用事例

国際紙パルプ商事が環境経営の一環として行う古紙回収サービス「タウンecomo」。同社はこのシステムを、事業の成長に合わせて迅速に拡張可能なAWSに移行。合わせて閉域網も整備し安全なクラウド利用を実現した。

2015年02月12日 10時00分 公開
[ITmedia]

 昨今、事業部門がクラウドサービスを駆使して新たなビジネスを生み出すIT活用が広がりを見せている。クラウドを活用することでシステムを素早く構築でき、事業の成長に合わせてリソースの拡大/縮小が可能になる。また、オンプレミスであれば余剰リソースの確保が必須となるが、クラウドでは極端な話、サイジングの必要がほとんどない。スモールスタートし、事業拡大に合わせたリソース追加も容易。初期費用もミニマムで抑えられる点も魅力だ。事業ICTを展開するクラウド利用を支えるのが安心・安全な閉域ネットワークの存在だ。機密性の高い情報を扱う場合、クラウドと自社データセンターをインターネットのような通信環境で接続することには不安が残る。第三者によるアクセスの恐れがなく、適切なアクセス制御が可能な閉域網の利用が不可欠だ。

 紙の総合商社である国際紙パルプ商事(KPP)は、まさにこのクラウドサービスと閉域網を用いて、新たな事業戦略を構築した企業である。紙の売上高で国内2位の実績を誇るKPPは、紙/板紙の年間取扱量が約250万トンと、国内における紙消費量の約1割を占める。印刷用から産業用まで多岐にわたる商品を扱い、日本はもちろん、アジアや米国、欧州など世界的規模で紙をベースとしたグローバル経営を推進している。

 木材を原料とする紙を扱う同社にとって近年、環境への配慮が社会的な責務になっている。その要請に応えるために同社が2011年に開始したのが消費者向け古紙回収サービス「タウンecomo」だ。タウンecomoの設置店舗数と会員数はそれぞれ227台(2015年1月16日現在)と46万人を突破し、全国規模でカバーエリアを拡大している。

タウンecomo

 こうした順調なサービス拡大の中、KPPは2014年6月、従来はオンプレミスで運用していたタウンecomoのシステムをクラウドサービスの「Amazon Web Services」(AWS)に刷新した。また、請求情報など機密性の高い情報も扱うサービスのため、情報を安全に保護できる閉域網を整備。今後を見据えたシステムの機能拡大に加え、ネットワークの安定性と信頼性を確保した。

 「新規ビジネスを始めたいが軌道に乗るまでは初期費用を掛けられない」「クラウドを利用することは決まっているものの安全性に不安を抱いている」といった企業にとって、KPPの事例は大いに役に立つはずだ。以降で詳しく紹介しよう。


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