全ての医療従事者が“患者中心”の医療を実現する鍵となる「VNA」とは?診療部門ごとにサイロ化したデータを統合するには

「2016国際医用画像総合展」(ITEM 2016)では、院内ワークフローの統合と地域医療連携の鍵となるキーワード「VNA」(Vendor Neutral Archive)に多くの来場者が注目した。この技術が目指すものとは?

2016年05月19日 10時00分 公開
[ITmedia]

 「2025年問題」という言葉がある。これは、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳以上という超高齢社会の到来に起因するさまざまな問題を指す。この課題に対する医療対策の1つが、病院業務の効率化による医療費の抑制だ。予防医学との組み合わせで医療費を抑え、診療の一極集中を回避することで、医療リソースの適正化も可能になると期待する関係者も多い。

 ただし実現の道のりは平たんではない。医療の効率化の出発点は、医療機関内の情報連係を通じた業務効率化だ。だが多くの病院は、診療科ごとに特化したさまざまなシステムを採用している。例えば放射線科のPACS(医用画像管理システム)ならDICOM形式(医用画像の標準規格)の検査画像を参照できるが、デジタルカメラのようなJPEG画像の参照は専用ビュワーが必要になったり、検査レポートのようなベンダー独自規格のデータは専用ツールを使ったりなど、その都度別の部門システムを使用する場面が少なくない。この手間が診療の効率を低下させ、ひいては診療の“質”も左右しかねない。同一院内ですらこのように統合的なデータ管理ができていない状況を踏まえれば、他の医療機関との連携はさらに簡単ではない。

 これらの課題を解決するアプローチの1つが「VNA」(Vendor Neutral Archive)だ。パシフィコ横浜にて2016年4月15〜17日に開催された「2016国際医用画像総合展」(ITEM 2016)では、院内ワークフローの統合と地域医療連携の鍵となる技術として「VNA」に注目する関係者も多かった。この技術が医療機関にもたらすメリットを紹介する。

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