IoTの大量データをリアルタイム分析できたら、ビジネスはどう変わるだろうか?「ストリーミングアナリティクス」とは?

モノのインターネット(IoT)の大量データをタイムリーかつ高度に分析できる強力な処理エンジンがあれば、さまざまなビジネス課題の答えが見つかるかもしれない。それが「ストリーミングアナリティクス」だ。

2016年05月30日 10時00分 公開
[ITmedia]

 多くの分析ツールとBIツールでは、重要なビジネスの意思決定に必要な分析結果を必要とするタイミングで提供できるとは限らない。収集したデータのパターンを検出したら、データサイエンティストの協力を得て、さらに詳しい分析に使うデータセットを選び、そこからノイズを除去し、分析のための入力フォーマットを用意する必要があるが、そうしている間にデータの鮮度が失われていく場合もあるのだ。

 本稿では「ストリーミングアナリティクス」とは何であるのかを紹介したうえで、ストリーミングアナリティクスが最新のエビデンス(データ)に基づくリアルタイムの意思決定をどう実現するかを解説する。ビジネスにおける問題解決のスピードを速め、データドリブンな意思決定を行うための参考にしてほしい。

ストリーミングアナリティクスのビジネス価値を発見する

 現在の来店者数は何人で、どの商品が最も売れるだろうか。

 運行中の車両の中で、燃費効率が基準値以下になっているものはないだろうか。ある場合に、その原因は?

 工場の機械の中で、5営業日以内に故障する可能性があるものはどれだろうか。運用を続けるために必要な部品は何なのか。

 学校の施設内で、人がいないのに電灯やエアコンが使われていて、電力が浪費されている教室はないだろうか。

 モノのインターネット(IoT)に接続されたセンサーや端末と、刻々と変化する大量のデータストリームに高度なモデルを適用できる強力な処理エンジンがあれば、上記をはじめとするさまざまな問いに答えられる可能性がある。これは、ストリーミングアナリティクスと呼ばれるビジネスインテリジェンス(BI)の手法だ。

 このような問いの答えが分かると、これまでと違う方法でビジネスの問題を解決し、新たな収入のチャンスを獲得できる。コスト削減と効率向上を実現しながら、従業員の安全と資産および知的財産のセキュリティを高めることもできる。

ストリーミングアナリティクスの概要と仕組み

 「SAS Event Stream Processing」を使うと、前述のメリットを得ることができる。SAS Event Stream Processingは、刻々と変化する業務データをリアルタイムで分析するストリーミングアナリティクステクノロジーだ。従来のBIツールの分析とは異なり、ビジネスアナリストとビジネスリーダーは、リアルタイムのエビデンスを参考にして、行動を起こすことができる。

 SAS Event Stream Processingは、世界中のシステムやコネクテッドデバイスが生成するストリーミングデータを取得し、最も新しく関連性の高いデータを処理する。この処理には、データの加工、正規化、クレンジング、関心のあるパターンの検出が含まれる。

 高度な分析モデルを備えたSASのリアルタイム処理エンジンは、新しいアプリケーションや既存のアプリケーションに展開できる。展開すると、モデルを1つ以上のデータストリームに対して実行し、継続的にビジネスの動向予測に有効な参考データを提供する。

ストリーミングアナリティクスによるビジネスの問題解決

 ここからは、ジョンという架空のデータアナリストを例に、SASのストリーミングアナリティクスによって、日々の業務にどのような影響があるかを見ていこう。

 ジョンは、1万人を超える従業員を擁し、4カ所のデータセンターを持つ大企業のITアナリストだ。彼が所属するデータサイエンティストのチームは、ビジネスの意思決定に利用する参考データを得るため、毎日膨大な量のデータを処理エンジンに入力し、その結果を分析している。

 ジョンのチームは分析ツールとBIツールを使用しているが、最近これらのツールの制限が問題になってきた。例えば、重要だと思えるパターンを検出しても、さらに掘り下げて詳しく調べることが簡単にできない。データサイエンティストと協力して、データセットを選び、ノイズデータを除去して、必要な答えが得られる入力データをあらためて作成する必要がある。

 しかも、役員や事業部門のマネジャーから「FacebookやTwitterでの新製品に対する反応は」「サプライチェーンの遅れが、製造や配送にどのように影響するか」など、BIツールでは答えられない質問が出されるようになった。ジョンたちは、過去の事象については回答できるが、BIツールは現在進行中の問題解決には役に立たない。

 ここで、ジョンのチームがSAS Event Stream Processingを導入しているとしよう。チームにCTO(最高技術責任者)から、新しい製品ライフサイクル管理システムの影響を評価するように指示があった。特に、全体のどの部分(サプライチェーン、製造、出荷)で遅延が発生しているか、その理由は何なのか、を知りたいとCTOは要求している。

 製造と出荷の業務フローについては、既にSASソリューションの分析対象になっていた。この分析処理は簡単に拡張でき、データの加工と正規化を含め、毎秒数億件の業務イベントを処理できる。そこでジョンたちはこの既に使っていた会社のサプライチェーン管理システムとSAS Event Stream Processingサーバとを連係することにした。SASのビジュアルインタフェースを使って、SASの処理エンジンをサプライチェーン管理ソフトウェアに埋め込めば、すぐに新しいストリームに対して高度な処理モデルを実行できる。

 数時間でSASのストリーミングアナリティクスによって興味深いパターンが検出され、それを基にジョンのチームはさらに詳しい調査を簡単に実行できる。彼らは、遅延とその原因を突き止めた。CTOはこの情報を参考に評価中の新しいソフトウェアについてデータに基づく意思決定ができる。

ストリーミングデータに潜む課題をBIで掘り起こす

 ビジネスにストリーミングアナリティクスをどう活用できるだろうか。その答えを知るには、まず、既に展開している事業の業務フローを考え、その業務フローの流れ(ストリーム)を利用してどのような問いに答えられるかを想像する。下記URLより、SAS Event Stream Processingの詳細とデモビデオを見ることができるので、併せて参照してほしい。


提供:SAS Institute Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:TechTargetジャパン編集部