帳票をPCで作成しても最後は紙に印刷して保管している企業はいまだに多い。しかし、過去のやり方を続けてきた結果、多くのムダが生まれている場合がある。文書管理のエキスパートが「見えないコスト」を点検する。
領収書や請求書、納品書など、企業は多種多様な帳票を扱っている。それらはPCを使って作成していたとしても、多くの場合は「紙に印刷」して利用することになる。
帳票電子化は相応のコストが掛かるし、帳票の種類や枚数が少ないうちは中途半端に電子化するよりもアナログなやり方の方が管理しやすいこともある。さらに、紙はそのまま証跡となる。手書きでメモを追記できるなどの利便性を感じる人もいるかもしれない。
しかし、事業が一定以上の規模に成長するとそうも言っていられない。文書管理の専門家によると、紙の帳票を使い続けることはさまざまな観点でリスクを伴うという。また、目には見えにくいものの、実は相応のコストが掛かっている。
帳票電子化をしない企業はどれだけの「ムダ」や「危険」にさらされているのか。
「帳票は、それ自体はただの紙きれにすぎません。しかし、管理をおろそかにすることで、紙一枚の問題が、会社の将来に影響を及ぼすこともあるのです」
こう語るのは、ウイングアーク1st 営業本部 ビジネスデベロップメント統括部 テクニカルセールス部 第3グループの直江 優氏だ(以下、かぎかっこ内のコメントは全て同じ)。直江氏は、日本文書情報マネジメント協会(JllMA)認定の文書情報管理士の資格を有する。この資格は、オフィスで取り扱う帳票などの紙文書を電子化し、効率よく安全に長期保管するための技術と関連法規格に関する知識を検定するものだ。こうした知識を蓄え、顧客が持っている文書の電子化、電子文書の保存管理などの課題に対して、1ランク上の提案をしてくれるという直江氏は、いわば文書管理のエキスパートだ。
紙の帳票を使い続けるデメリットとして直江氏は、
の3つを挙げる。
まず第1の問題となるのがセキュリティ、すなわち情報漏えいのリスクだ。特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(セキュリティ被害調査ワーキンググループ) がまとめた「2014年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書〜個人情報漏えい編〜」によると、情報漏えいの媒体と経路は「紙媒体」が1位であり、全体の76%を占めている。情報漏えいというと、デジタル化したデータがネットを通じて流出し、拡散するというイメージがあるが、実際には紙のまま保持した情報の方が流出のリスクが高いのである。
「情報漏えいにより顧客や取引先などに損害が出れば、巨額の補償金が必要になります。また、企業としての信用失墜につながりますから、短期的には失注につながったり、長期的にはブランドに傷が付くことで多くの販売機会を損失する可能性があります。トータルでみたコストは計り知れません」
帳票電子化は、適切なツールさえ選べば、アクセス権の設定や履歴管理、暗号化や特定のデータのマスク(削除)など、紙にはできないさまざまなセキュリティ対策が施せる。紙の帳票を「何となく」使い続けている企業は、今すぐにでも対策するべきだろう。社会的責任のある企業として情報管理への無関心は許されることではない。
そうはいっても「うちの会社に限ってそんなことはあるわけがない」「もしもの話をされてもピンと来ない」と思う人もいるかもしれない。まだ受けていないダメージを実感できないのは無理もない。ならば、実際に支払っているコストを可視化してみよう。
帳票電子化をしない企業では、具体的には帳票を紙に出力するコスト、出力した印刷物の保管コストなどが問題になる。エフエム・ソリューションの調査レポート「オフィス内の文書量に関する実態調査報告」(2014年12月)によると、従業員1人当たり1年間に扱う文書は平均してキャビネット3台分もの量になるという。
同調査では、文書のデジタル化、効率化によって、100人規模の企業でコストがどれだけ削減できるかシミュレーションしている。従業員1人当たりの紙の文書をキャビネット1台分削減した場合、1台分の年間賃貸料を2万2000円と仮定すると、100人で年間220万円になる。
「また、文書を探す時間も無視できません。海外の調査でビジネスパーソンが1年間に書類などを探すために約6週間もの時間を取られているとの報告があります。この数字が本当だとすれば、それを1人当たり1週間分減らすだけでも、時給1000円で換算して100人で年間400万円(1週間を8時間×5日で計算)の削減になるわけです」
帳票電子化をしない3つ目のデメリットとして直江氏が指摘するのが、紙の利便性の低さ。具体的には「検索や情報共有が難しい」ことである。帳票に限らないが、大量の文書の束の中から目的の1枚を探すのは、非常に手間と時間のかかる作業だ。見つけやすくするためにはあらかじめルールを決めてファイリングをする、文書一覧を作るなどの整理が必要となる。また、他部門と情報共有しようとしても、紙であればその帳票の実物、またはハードコピーを相手に渡さなければ始まらない。これでは業務効率が上がらない。
「せっかく保管しているのに、活用できないままでは、帳票の価値が高まりません。情報は企業の資産。活用することで価値を産みます。帳票を電子化すれば、検索性も高まり、活用しやすくなります。例えば、送った請求書に関して取引先からクレーム気味の問い合わせの電話を受けたとき、該当する請求書を探すために相手を待たせてしまい、さらに機嫌を損なうといったことも起こり得るでしょう。そういったケースでは検索に掛かる手間も時間も無駄ですが、それ以上に顧客満足度の低下も無視できない損失といえます」
セキュリティやコスト、そして利便性の観点から、帳票電子化を急ぐべきであることは繰り返すまでもない。とはいえ、帳票を電子化したからといって有効に活用できていない企業も少なくない。その大きな要因として直江氏が挙げるのが「帳票作成ツールと管理ツールの連携の悪さ」だ。
「帳票を電子化したいというニーズからツールを導入したものの、もともと入っていた帳票作成ツールとは全然違う製品ですから、欲しい情報が思うように検索できないなど、使い勝手が悪いことが少なくありません。また、連携するためにカスタマイズが必要で、そうなると開発や運用に少なからずコストがいるし、どちらかのツールがバージョンアップすれば、その度にもう一方のプログラムを改修する必要も生じるのです」
こうした問題を回避するためにお勧めしたいのが、ウイングアーク1stの帳票電子活用ソリューション「SVF PDF Archiver」だ。同製品は帳票作成ツールとして国内シェア約5割(48.6%)(※)を誇る「SVF」で作成した帳票をはじめ、電子化した帳票類をビジネスに有効活用するため、ファイル管理、検索、セキュリティなど強力な機能を搭載している。
※ミック経済研究所「ミドルウェアパッケージソフトの市場展望【運用・DB編】 2015年度版」帳票運用パッケージ2014年度出荷金額ベース。
「国内1万8000社以上で帳票基盤として導入されているSVFは業界のデファクトスタンダードですから、電子化した帳票を活用するため、SVFとシームレスに連携できるソリューションがあればいいと開発したのがSVF PDF Archiverです。両者を組み合わせることで、帳票の作成から廃棄までのライフサイクルに合わせて、帳票を一気通貫に扱うことができます」
電子帳票の活用がうまくいかない原因としては他に、ツールのライセンス体系が問題になることもある。電子化した帳票を扱うツールがユーザー数によるライセンス体系であれば、決められたユーザーしか利用できない。多くの部署にまたがって文書を活用しようとすると、ユーザー数が多くなり、契約を見直す必要性が生まれ、コストがあわず断念するケースも見受けられる。その点、サーバライセンスであるSVF PDF Archiverは、ユーザー数が増えてもコストは変わらない。
また、動作環境が壁になることもある。帳票活用ツールがWindows専用だと、PCのない場所では使えない。経理のように常にPCを前にしてデスクワークする部門であれば専用ソフトでもいいが、例えば工場で使う作業チェックリストなどは、機械の前でタブレットを持って、チェック事項を確認しながら使いたいものだ。
「動作環境をOSで限定されていては、結局せっかく電子化した帳票を紙に印刷するしかない。それでは本末転倒です。しかし、SVF PDF Archiverであれば、Webブラウザから利用できるので、OSも問いません。また、専用アプリを使用してタブレットでも使用できます」
帳票電子化は、ただやみくもに進めればいいというものではない。電子帳票の活用を広げるには、
など、目的に適した製品選定が重要になるのだ。
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