TechTargetジャパンは2016年6〜8月に、「クラウドインフラに関するアンケート調査」を実施した。本レポートでは、その概要をまとめた。
TechTargetジャパンは2016年6月27日から8月3日にかけて、TechTargetジャパン会員を対象に「クラウドインフラに関する読者調査」を実施した。調査結果からは、パブリッククラウド、プライベートクラウドの導入状況や導入後の課題などが明らかとなった。本稿では、その一部を紹介する(全ての結果を記載したレポートは、文末のリンクから会員限定で閲覧可能)。
目的: TechTargetジャパン会員のクラウドインフラの導入、検討、業務利用の状況について調査するため
方法:Webによるアンケート
調査対象: TechTargetジャパン会員
調査期間: 2016年6月27日から8月3日
総回答数: 256件
※回答の比率(%)は小数点第2位を四捨五入し表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります。
IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)といったインフラを対象にパブリッククラウドの利用状況を聞いたところ、「既に導入している」と回答した割合は38.7%だった。回答者の4割近くが業務でパブリッククラウドを利用していることになる。「利用予定」(12.1%)と合わせると、過半数がパブリッククラウドに前向きという結果だ。
具体的に、どのような用途でパブリッククラウドを利用しているのか。最も多かった回答は「Webサービス」(17.2%)だった。昨今は非IT企業であっても、マーケティングや販売促進、集客などの施策にWebサイトやWebサービスを利用することが増えている。特に一時的に開設するキャンペーンサイトのようなWebサイトでは、対象期間が終了したら利用を止められるパブリッククラウドは相性が良い。また来訪者数が激しく変動するコンシューマー向けのWebサービスでも、リソースを柔軟に拡大/縮小できるパブリッククラウドは使いやすいだろう。
上位には「システム開発」(13.3%)、「情報系システム」(12.5%)の他、「業務システム」(12.1%)や「基幹システム」(8.6%)もランクインしている。業務システムや基幹システムといった、安定稼働が求められる社内システムにおいてもパブリッククラウドのニーズが一定数あることがうかがえる。
一方、プライベートクラウドを「既に導入している」割合は28.9%と、約3割だった。本調査におけるプライベートクラウドとは、全社共通のIT基盤を整備し、クラウド管理ツールによって、標準化されたITリソースを迅速かつ自動的に提供し運用するIT環境を指す。データセンター所有の有無は問わず、いわゆる「ホスティング型プライベートクラウド」といわれる形体であっても、データセンターが自社専用の環境であればプライベートクラウドとしている。
IDCジャパンが2015年9月に発表した「国内プライベートクラウド市場予測」のプレスリリースによれば、国内プライベートクラウド市場規模は、前年比42.4%増の6196億円と好調だ。国内プライベートクラウド市場は、全てのモデル(オンプレミス型、ホスティング型、特定の企業群が運用するコミュニティー型)で成長を継続すると予測している。
IDCジャパンのプレスリリースにもある通り、ユーザー企業がプライベートクラウドに期待することはITの効率化だろう。ITリソースの調達を全社で最適化することで、IT投資の無駄を減らし、迅速かつ効率的なIT活用を目指す。それに対しパブリッククラウドは、効率化やコスト削減だけでなく、ビジネスの拡大を視野に入れた利用となるケースが多い。ただし昨今はオープンソースのクラウド構築ソフトウェアである「OpenStack」のように、オンプレミス環境でもパブリッククラウドのような自動化を目指すツールも登場している。OpenStackの利用は大企業を中心にユーザー企業の間にも広まりつつある。イノベーションを起こすツールとして注目したい。
その他、回答者の詳細な属性、導入製品、導入しているクラウドサービス、クラウド利用の課題(セキュリティ、運用、バックアップ)など、本稿で紹介できなかった内容も含めた調査レポートの完全版を提供している。以下から詳細なアンケート結果が無料ダウンロードできるので、ぜひ確認していただきたい(TechTargetジャパン会員限定)。
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