高機能なジョブ管理ツールを使い続けたくても保守料が重荷になる。使い勝手を妥協しない製品にリプレースしてコストも抑える、というのは理想論なのだろうか。
企業のIT投資のうち、実に8割が既存システムの維持・管理に当てられているという。これにかかるコストを削減することは、企業の財務体質を強化するためばかりでなく、より収益に直結する戦略的なIT施策にリソースを投入するためにも、極めて重要な取り組みだといえる。
近年ではシステム監視の分野でオープンソースの統合監視ツールが広く使われるようになり、システム運用管理に対する投資の最適化に多くの企業が取り組むようになった。こうした取り組みの前に立ちはだかるのが、ジョブ管理製品にかかるコストだ。
多くの日本企業は伝統的に、多機能な国産ジョブ管理製品を長らく使い続けてきた。これらの製品は、必要な機能をきめ細かくカバーしている。しかし、その保守費用は安価とは言い難く、システム規模拡大とともにかさむ保守コストには多くの企業が苦慮している。
コスト削減効果を期待して、ジョブ管理にもオープンソース製品を採用しようと検討する企業は少なくない。確かにオープンソース製品はコストの抑制に役立つものの、機能や使い勝手に制限がある。こうした背景から多くの企業は、ジョブ管理の分野に関してはリプレースを断念するケースが珍しくなかった。
機能性や使い勝手を妥協しない製品にリプレースしてコストも抑える、というのは理想論なのだろうか。実は、こうした状況に風穴を開けるジョブ管理製品がある。
実は、こうした状況に風穴を開けるジョブ管理製品をヴィンクスは販売している。 これまで国内におけるジョブ管理製品の市場は、少数の国産製品による寡占状態が長らく続いてきた。近年、こうした状況を打開する製品としてヴィンクスが提供しているのが、ソフトバンクのジョブ管理ソフトウェア「LoadStar Scheduler」(ロードスター スケジューラ)だ。
LoadStar Schedulerはもともと、ソフトバンクが社内システム用に自社開発したもの。同社も、長らく使い続けてきたジョブ管理製品の高額な保守料に頭を悩ませていた。そこで同社は、これに代わる製品を自社開発し、それまで使い続けてきたジョブ管理製品からリプレースした。その後、4年間の運用実績を積み重ね、パッケージ製品として外販するに至ったのだ。こうした背景から、LoadStar Schedulerは代表的な国産商用ジョブ管理製品の機能をカバーできるよう設計されている。
ソフトバンクは、自社ではLoadStar Schedulerの販売、導入、構築を行っておらず、それらの作業は、認定リセラー各社にゆだねている。認定リセラーとしてはヴィンクスが代表的なベンダーだ。ヴィンクスは国内でLoadStar Schedulerの導入事例を支援し、実績を伸ばしている。
リプレースに伴う移行作業も容易だ。例えば、ある商用ジョブ管理ツールのジョブ定義情報をCSV形式でエクスポートすれば、それを基に同様の処理を実行するLoadStar Scheduler用ジョブへ変換できるようになっている。もちろん、全てのジョブを完全にそのまま変換できるわけではないが、ヴィンクスによると経験的に60〜70%のジョブはCSV形式からの変換で移行できるという。
古くからある国産商用ジョブ管理ツールをリプレースする目的で注目のLoadStar Scheduler。企業が導入を検討する動機は大きく分けて、「コストメリット」と「使い勝手の良さ」の2点にある。
コスト面では、ライセンスコストを従来製品よりはるかに安価に抑えられる点が特徴だ。LoadStar Schedulerのライセンス体系はシンプルで分かりやすく、環境や機能に応じたライセンスの追加はほぼ不要である。他の商用ジョブ管理製品は、利用する機能ごとにライセンス価格が追加されるが、LoadStar Schedulerはマネジャーモジュールとエージェントモジュールの数に応じてライセンス料と保守料を算出する。
LoadStar Schedulerのライセンス料および保守料は、インストールサーバ台数で加算する。サーバのOSやCPUコア数は問わないので、CPUコアを多数搭載したサーバで運用する場合でもマネジャーやエージェント当たりのライセンス単価は変わらない。そのため、代表的な商用ジョブ管理製品と比べると、ライセンス費用が2分の1から3分の1にまで圧縮できるケースが多い。
使い勝手の面では、ユーザーインタフェースの洗練度の高さが特筆すべきポイントだ。ジョブ登録はドリル方式で実行でき、簡単にシステムの構築・設計ができるようになっている。画面内のドラッグ&ドロップでジョブのアイコンを動かすだけで簡単にジョブを操作でき、表示項目の上にマウスオーバーするだけで説明文が表示される。実務経験の浅い運用担当者が、マニュアルを参照しなくてもすぐに使いこなせるほどに操作が簡便だ。このように、直感的な操作で全てのジョブ管理タスクを実行できるよう設計されている。
LoadStar Schedulerの洗練されたユーザーインタフェースは、単に操作しやすいだけでなく、ジョブ管理の実作業を効率化したり、作業の質を高めたりする上でも大いに貢献する。例えばジョブの状態を確認する際、LoadStar Schedulerなら個々のジョブのアイコンを見るだけで、一目でその実行状態が把握できるようになっている。
実行中のジョブであれば、ジョブのアイコンの上部に実行開始時間と終了予測時間、そして進捗(しんちょく)状況を示すインジケーターを表示する。「実行待ち」「正常終了」「警告終了」「異常終了」といったジョブのステータスはアイコンの色分けで示し、「HOLD」や「SKIP」といった状態にあるジョブは管理者の目に止まるよう、アイコンの上部にステータスを表示する工夫も凝らしている。
こうしたユーザーインタフェースの工夫を凝らすことで、管理者が全てのジョブの状態を一瞬で把握できるように支援しているのだ。管理者にとっては、ジョブ実行のスケジュール管理が容易になるだろう。
新たなジョブを作成したり、既存ジョブに手を加えたりした場合は、実行に移す前にあらかじめテストをして、意図した通り正常に実行されるか確認する必要がある。システム運用管理の現場では、このジョブのテストや事前チェックに多くの工数が割かれていることが多い。
その点LoadStar Schedulerには、ジョブが登録された際に、その内容が正しいかどうか自動的にチェックをする機能が備わっている。リバースエンジニアリングの技術を使い、ジョブの内容を解析した上で、「スケジュールの論理矛盾」や「ジョブ実行先サーバの不在」といった問題をあらかじめ洗い出すことができる。この機能を活用することで、ジョブ管理にまつわる運用工数のさらなる削減が可能になる。
企業システムの運用管理は、当然ながらジョブ管理だけでは完結しない。ジョブ管理はあくまでも一部であり、運用管理の取り組み全体はこの他にもシステム監視をはじめとするさまざまなタスクによって構成される。
ヴィンクスはLoadStar Schedulerの認定リセラーであるが、同時に、オープンソースの監視ツールで有名な「Zabbix」の認定パートナーでもある。このZabbix をベースに、さまざまな機能を追加した統合運用監視ツール「Integrated Viewer for Zabbix」を、ヴィンクスでは自社開発し、販売している。Integrated Viewer for Zabbixは、LoadStar Schedulerをジョブ管理機能として連携・統合するため、ジョブ管理に障害・リソース監視を加えた統合運用管理を実現することができる。
オンプレミスではなくクラウドサービスとしても、LoadStar Schedulerを利用できる。このクラウドサービスには、LoadStar Schedulerによるジョブ管理機能の他に、インシデント管理機能、電話による自動通知機能なども用意されている。前述のIntegrated Viewer for Zabbixと組み合わせて利用すれば、安価な費用で高度な運用を実現できる(インターネットイニシアティブとの協業)。
このように、LoadStar Schedulerは多種多様な企業のニーズに柔軟に応えられるようになっており、既に多くの業種、業態、規模の企業による活用が進んでいる。一例を挙げると、システム運用に厳しい要件を掲げている金融業界においても、仮想環境に500種類以上のジョブ実行エージェントを抱えていた商用ジョブ管理製品をLoadStar Schedulerにリプレースしたことで、大幅なコストダウンを実現したケースがある。
今後も広範な企業ニーズに応えられるよう、LoadStar Schedulerは進化を続けていく。例えば、堅牢(けんろう)性とパフォーマンスに定評のあるIBMのサーバ「IBM Power System」に、Integrated Viewer for Zabbix、Zabbix、LoadStar Schedulerの3製品の環境一式を搭載したアプライアンスサーバの提供が2017年4月に開始した。他にも「LoadStarシリーズ」として、インシデント管理ツールなど、他の運用管理製品も拡充していく予定だ。
提供:株式会社ヴィンクス
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