欧州を中心に普及が進むクラウド電子署名。日本でも今のワークフローを変えずにこの仕様に対応できる。商取引機会拡大のためにも知っておきたい電子署名の最新動向を紹介。
古くから私たちは、取引先や社外協力者、時には社内でもさまざまな書類を交わし、ビジネスを遂行してきた。これらの書類には、担当者や企業が確認したり作成したりしたことを証明するために、印章を押す。直筆のサインが用いられることもあるが、よく知られるように日本のビジネス環境では印章を用いることが一般的だ。
通常の書類であれば、いわゆる「三文判」でも証拠となるが、公的証書や不動産取引などに使われる書類の場合、自治体や法務局に届け出を出した「実印」を使用する必要がある。その印章の持ち主が、確かに本人であることを示すためだ。
ITの世界でも、この実印に相当する能力を持つ電子的な徴証として「電子署名」が利用されている。事前に第三者機関から承認を受けて証明書を取得し、これを電子文書に付与することで、本人証明や真正証明、改ざん防止を実現している。
現在のところ、公開鍵暗号方式を用いたデジタル署名が広く用いられているものの、インタフェースやプロトコルの国際標準規格というものは存在せず、国・地域・組織によって利用している技術・手法はバラバラである。また、既存の電子署名の仕組みは煩雑で、気軽に利用できないという問題もある。
この状況を解決するため、2016年に欧州の企業や学術機関、標準化団体が中心となって「クラウド署名コンソーシアム」が設立された。本稿では、同コンソーシアムのメンバー企業であるアドビ システムズで、法務・政府渉外本部 本部長/弁護士(日本・米ニューヨーク州)を務める浅井孝夫氏に、電子署名や法規制に関して詳しい話を伺った。
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