ストレージはまだコストも高く、ミッションクリティカルな業務だとなおさらだ。コストメリットと性能を両立した「新しい選択肢」、ファーウェイのストレージの魅力とは。
サーバは年々高性能化し、かつ仮想化技術を使った集約進んだために、価格性能比は年々向上している。その一方で、ストレージに関してはフラッシュメモリやSDS(Software Defined Storage)といった新たな技術が登場してきてはいるものの、エンタープライズクラスの信頼性や性能を確保できるストレージ基盤を構築しようとすると、依然としてコストがかかるのが現状だ。
現時点で、国内のほとんどの企業が導入するエンタープライズストレージ製品といえば、国内もしくは米国のベンダー製品がほとんどだ。それらは国内外で高い実績を持つものの、決して安い買い物とはいえない。しかし、国内ではまだまだ知られていないが、海外では既に高い実績を上げている「ストレージの新たな選択肢」が存在する。それが、中国ベンダーであるファーウェイのストレージ製品だ。
ファーウェイといえば、一般的にはスマートフォンや通信機器を思い浮かべる人が多いだろう。実は、サーバやストレージといったエンタープライズ向けICT製品の分野でも高い存在感を示しており、シェアの伸び率では日本や米国のベンダーをはるかにしのぐ成長を遂げている。日本国内においても、その確かな機能や信頼性、そして何より高いコストパフォーマンスに魅力を感じて、ファーウェイのエンタープライズストレージ製品を導入する企業が急速に増えている。
ファーウェイは2005年からエンタープライズストレージ製品の開発と提供を始めており、既に10年以上の歴史を持つ。製品ラインアップも、小規模向けのエントリーモデルから、大規模かつミッションクリティカルなシステム用途のハイエンドモデルまで、多様な種類をそろえる。
機能や性能、信頼性の面でも、よく知られる国内や米国系ベンダーの製品と比較しても決してひけをとらない。その上で、製品価格を抑えつつも高いコストパフォーマンスを発揮する製品として数多くの企業によって導入が進んでいる。調査会社のガートナーが発表したレポート(※1)によると、2016年のグローバル市場における売り上げ成長率は1位、汎用(はんよう)ディスクアレイ市場におけるマジック・クアドラントでも「リーダー」のポジションに位置付けられている(※2)。
(※1)「Market Share: External Storage Systems, All Countries, 1Q16 Update」(ガートナー)
(※2)「Magic Quadrant for General-Purpose Disk Arrays」(ガートナー)
同社のストレージ製品の主力は、「OceanStor V3/V5シリーズ」と呼ばれるユニファイドストレージだ。また、ストレージOSや管理ソフトウェアが備える機能も競合製品に劣らず、かつコスト競争力に優れることから、海外ではストレージ調達コストの削減のため、他社製品からリプレースする企業が相次いでいるという。
またオールフラッシュ構成に特化した設計を施し、SSDの性能をフルに発揮する「OceanStor Dorado V3」もラインアップの1つにある。こちらは、ファーウェイ独自の技術「FlashLink」を駆使することで、500マイクロ秒という極小のレイテンシで400万IOPS(Input Output Per Second)を達成するなど、極めて高い性能を誇る製品だ。
スケーラビリティの面でも抜かりはない。OceanStor V3/V5シリーズは全モデルで、最大4筐体(8コントローラー)までの拡張が可能だ。また、エントリーモデルやハイエンドモデルが混在した環境でも一元管理が可能なほか、他社製ストレージ製品の統合もできる。
さらには、レプリケーションやミラーリング、スナップショットといったデータ保護のための機能や、重複排除やデータ圧縮といったストレージ効率化機能など、一般的なストレージ製品に搭載されている機能は全て備わっている。
フラッシュメモリは、高性能、長寿命と高信頼性を実現するために従来のHDDとは全く違うストレージ制御が求められるが、同社のオールフラッシュ製品であるOceanStor Dorado V3に関していえば、SSDコントローラーチップを自社開発している点が大きな強みだ。ファーウェイは、自社グループ内に半導体を開発する企業「HiSilicon(ハイシリコン)」を傘下に持ち、スマートフォンや通信機器向けの半導体部品を自前で設計、開発している。ストレージ製品についても同様で、オールフラッシュ構成の強みを最大限に生かせるコントローラーの心臓部であるチップを自社開発しており、その点はベンダーとして大きなアドバンテージである。
このSSDコントローラーチップを搭載した同社のPCIe SSDストレージカードは、NVMe1.2に準拠しており、業界トップレベルの低レイテンシとIOPSを誇る。サードパーティー製のコンポーネントを組み上げるだけでなく、こうしたコア技術を自社開発できるだけの確かな技術力を持っているからこそ、OceanStor Dorado V3のような先進的な製品を高いコスト競争力で市場に供給できるのだ。
ハードウェアだけでなく、ソフトウェアの面でもファーウェイ独自のストレージ技術が注ぎ込まれている。その最たるものが、ストレージOSに実装されたファーウェイ独自のブロック仮想化技術だ。ディスク内のデータ領域を「Chunk(チャンク)」と呼ばれる小さな単位に細かく分割し、それらを組み合わせることでボリューム全体を構成するアーキテクチャを採用する。
これにより従来のストレージ仮想化技術と比べ、データ粒度を細かく柔軟に設定できるようになり、アプリケーションごとに最適な単位でデータの入出力が行えるようチューニングが可能になる。またディスクが故障した際や、新たなディスクに交換する際のデータのリコンストラクション(再構成)が高速という特徴も持つ。
「HyperMetro(ハイパーメトロ)」と呼ばれるミラーリング機能も、大変ユニークなものだ。これは、遠隔地に置いた2台のOceanStorシリーズ製品の間でアクティブ−アクティブ構成のミラーリングが行えるという機能であり、遠距離であっても同期を取れるのが大きな特長だ。
例えば、「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社では、180キロ離れたデータセンター間でHyperMetroを使って2台のOceanStor V3シリーズのミラーリングを行い、かつ両方にユーザーがアクセス可能なアクティブ−アクティブ構成をとっている。同社はとあるサービスの重要な機能を担うストレージシステムを刷新するに当たり、この「180キロ離れたアクティブ−アクティブ構成の同期」という要件を基に、さまざまな製品を比較検討した。その結果、唯一この条件を満たすことができたのがOceanStor V3シリーズであったという。
製品コストが低いと、その分、品質やサポートに不安を持つ企業もあるだろう。だが少なくともファーウェイ製品に関してはその心配は無用だ。同社では、工場での生産管理に万全を期しており、「カイゼン活動」や「QC(品質管理)活動」など日本式の品質管理を取り入れ、日本製品に劣らない品質を維持している。
製品サポート体制については、海外ベンダーの場合、時差の関係でなかなかタイムリーな対応が取れないことも多い。ファーウェイの場合は、同じアジア圏ということもあり日本との時差も小さく、万が一、製品トラブルが発生しても国内ベンダーと同様に即座に対応できるのだ。
このような品質とサポート体制に裏打ちされ、ファーウェイのエンタープライズストレージ製品を採用する日本企業が増えている。
特に、OceanStor V3シリーズは、現在多くの企業での導入が進んでおり、例えば、バンダイナムコグループでは、これまで制作してきた膨大な量の知財コンテンツデータをアーカイブするためのストレージとして同製品を導入している。また、国内屈指の映像制作会社である白組でも、大容量と高性能の両立が求められるCG制作環境のストレージ基盤として採用した。医療業界では、遠隔画像診断サービス最大手のドクターネットが、膨大な量の医療画像データを管理する統合ストレージ基盤にOceanStor V3シリーズを採用する。
また、同社の持つSSDコントローラー技術を従来のディスクストレージに組み込んで、OceanStor V3の機能性、柔軟性とDorado V3の高速性のバランスを取ったハイブリッドストレージであるOceanStor V5シリーズをこの春新たにリリースした。エンタープライズストレージといえばオールフラッシュ製品の採用が増えてきてはいるが、まだまだ導入ハードルが高いと感じている企業も少なくない。機能、性能、柔軟性、そしてコストとのバランスに優れるOceanStor V5シリーズはエンタープライズ向けストレージ製品の有力な選択肢の1つとなるだろう。
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