JAXAが直面した研究用データ処理基盤の限界、600TBを短期移行できた訳とは?「はやぶさ2」の裏で起きたHCI導入事例

宇宙開発・研究事業を営むJAXAは、科学衛星・探査機から送られるデータを処理し、他大学や研究機関に提供している。そのデータ処理を支える基盤に必要な仕組みとは。

2018年10月26日 10時00分 公開
[ITmedia]

 日本の宇宙開発・研究事業を推進するJAXA(宇宙航空研究開発機構)。研究施設や通信施設、ロケットを打ち上げる宇宙センターなど全国20カ所に拠点がある。近年では「JAXA はやぶさ2プロジェクト」が注目されているが、その他にもさまざまなプロジェクトが動いている。拠点の一つである相模原キャンパスでは、さまざまな波長を用いて天体を観測する天文衛星や太陽やプラズマを観測する衛星、さらには月や金星などを対象とした惑星探査機など、多方面から宇宙の起源と進化に迫る研究を行っている。

 相模原キャンパスは科学衛星・探査機を運用して得た観測データを、国内外の大学や研究機関の研究者向けに配信している。専用のシステム基盤を使ってデータを配信していたが、長年の運用によりさまざまな点で課題が発生していた。

 一つは、科学衛星・探査機が続々と増えるのに伴い、増大するデータをどう処理するかという点だ。人工衛星の黎明(れいめい)期から蓄積し続けたデータは増える一方だが、設置場所の問題や運用負荷、コストを考えるとやみくもにハードウェアを増やせない。もう一つは、仮想化のメリットである迅速性を生かしきれていないという課題だ。仮想化の仕組みは導入していたが、プロジェクトの要求が複雑化し、即座にサーバを構築することが難しくなっていた。

 これらの課題を解決するためJAXAが実施した方法とは何だったのだろうか。

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