低コストでVDIを実現する新発想とは?コストと品質どちらも働き方改革にメリット

働き方改革の切り札として企業が注目するVDIだが、導入に当たってのハードルは決して低くない。同じメリットを、新たに登場した別の方法で実現できるとすれば、どうだろうか。

2019年02月08日 10時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 今や業種、業態を問わず、あらゆる企業に求められている「働き方改革」。長時間労働の是正や、在宅勤務、リモートワークのための社内制度設計など、さまざまな施策が進められる。そうした中、働き方改革に役立つ仕組みとしてVDI(仮想デスクトップインフラ)が注目を集めている。

 しかしVDIの導入には多額のコストがかかり、専門知識やスキルも必要なため、多くの企業ではこの導入障壁のために検討できていないのが現状ではないだろうか。

 そもそもなぜVDIが求められるかといえば、あらゆるデバイスから仮想環境で動作するデスクトップ環境をいつでもどこでも利用できるようにしたいからだ。データがサーバ上で管理され、ユーザーが利用するデバイスには一切残らないため、端末の紛失や盗難に伴う情報漏えいのリスクを減らせる利点もある。

 これらの利点を享受できるなら、必ずしもVDIにこだわる必要はない。近年ではVDIと同等のメリットを低コストかつシンプルな方法で実現できる新しいサービスが注目を集めている。

VDIの弱点を克服した「リモートPCアレイ」

 VDIはさまざまなメリットを企業にもたらすものの、導入や保守運用にかかるコスト、さらに技術的な難易度の高さが障壁となり、なかなか具体的に検討できずにいる企業が少なくない。そんな中、VDIベンダーとして知られるアセンテックが2016年に発表した「リモートPCアレイ」が、VDIの導入障壁を解消した製品として業界で注目を集めている。

 アセンテックの取締役副社長である松浦 崇氏は、「一般的なVDI製品は複雑なハイパーバイザーを導入する必要があるため、初期導入コストが高く、専門スキルを持つ技術者が長期間かけてシステムを設計する必要があります。また導入後も予期せぬパフォーマンス問題に見舞われたり、システム拡張のたびに再設計を余儀なくされたりします」と、VDI製品を導入する際の課題を説明する。「当社が提供するリモートPCアレイならば、そのような問題に煩わされることなく、デスクトップ環境をサーバ上に容易に集約して一元管理できるようになります」(松浦氏)

 リモートPCアレイは、一言でいうと超小型のPCをサーバの筐体内に多数詰め込んだものだ。2016年にアセンテックがリリースした「リモートPCアレイ100」は、1U(高さ4.4センチ)ラックサイズの筐体内に20のPCカートリッジを搭載している。各PCカートリッジは互いに独立したPCとして動作するため、1つのデスクトップ環境の負荷や不具合が他のデスクトップ環境に悪影響を及ぼすことはない。

 またハイパーバイザーも不要であるため、導入や運用、保守のコストや手間を大幅に削減できる。仮想化やVDIの専用ソフトウェアに関する知識は一切不要で、通常のPC管理と同等のスキルさえあればユーザーのデスクトップ環境をサーバ上に集約して一元管理できる。こうしたメリットが高く評価され、既に70社を超える企業がリモートPCアレイ100を導入しているという。

Atrustとの共同開発で高い品質を達成

 リモートPCアレイは、アセンテックと、台湾のメーカーであるAtrust Computer(以下、Atrust)の共同開発によって生まれた。Atrustはもともと、シンクライアント製品の開発で広く知られるメーカーで、これまでモバイルシンクライアントやデスクトップ型シンクライアント、モニター一体型シンクライアント、ゼロクライアントなどさまざまなタイプのシンクライアント製品を世に送り出している。

 またAtrustは、品質と環境性能にこだわりを持つことでも知られている。ハードウェアはもちろん、ソフトウェアも全て自社開発することで高い品質を実現しているという。省エネルギー性能にも気を配り、消費電力が少なく地球環境に優しい製品作りを目指している。

画像 アセンテックの松浦 崇氏(左)と、AtrustのHT Cho氏(右)

 Atrust社長のHT Cho氏は、そうした製品作りのコンセプトは、リモートPCアレイの開発コンセプトとも極めて親和性が高かったという。「消費電力や発熱を抑えるための技術は、多数のPCカートリッジを1つの筐体内に集約する上で極めて役立ちました。また日本のお客さまが求める高い品質要求と、弊社が掲げる品質重視の方針がうまくマッチしました」と語る。リモートPCアレイ100を納品したとある企業では、月間の平均故障率が0.01%以下と極めて低い数値を記録したという。

 Atrustが提供するリモートPCアレイ管理用のソフトウェアを使えば、リモートでPCカートリッジや電源、ファン、通信ポートなど各コンポーネントの状態が簡単に把握できる。さらには、PCカートリッジをリモートからリブートしたり、問題発生時には管理者に自動で通知する仕組みを採用したりするなど、運用管理の作業効率を高めるさまざまな工夫を凝らしている。こうした管理のしやすさも、ユーザー企業から高く評価されるポイントの一つだ。

デスクトップ環境の集積度をさらに高めた「リモートPCアレイ200」

 2019年1月17日、このリモートPCアレイに2つの新たなラインアップが加わった。その1つが、PCカートリッジの集積度をさらに高め、1Uラックサイズの筐体内に30のPCカートリッジを搭載可能にした「リモートPCアレイ200」だ。その開発背景について、松浦氏は次のように説明する。

 「リモートPCアレイ100をお使いいただいていたお客さまから、『さらに多くのデスクトップ環境を集約したい』という要望を頂いていました。デスクトップ環境の集約率が上がれば、その分ラックスペースを減らしてコストを削減できます。そうしたニーズにお応えするために、さらに集積度を高めた製品を開発することにしました」

 PCカートリッジの集積度を高めるための技術的なハードルは決して低くない。HT Cho氏によれば、特にPCカートリッジの小型化と熱対策にはさまざまな工夫を施したという。

 例えば、PCカートリッジの基盤を二層構造にすることで、さらなる小型化を実現した。また、集積度が上がった分、熱対策にも改善が必要だった。ファンのクーリングシステムを追加するなど、幾つかの変更を新たに加えることで熱対策も問題をクリアした。その他、PC30台分の電力をまかなうための電源ユニットを用意したり、30台分のKVMスイッチを搭載したりした。

 こうしてデスクトップ環境の集約率を高めた結果、1筐体当たり30台分、1ラック当たりでは約1000ユーザーのデスクトップ環境を搭載できるようになった。これは、ハイパーバイザーを用いた最新のVDI製品にも引けを取らない数字だ。VDIより低コストで導入でき、効率的に運用できるため、特に大規模なVDI環境の導入を検討している企業にとって、リモートPCアレイは有力な選択肢の一つになるだろう。

画像 「リモートPCアレイ200」《クリックで拡大》

RPAのPC環境を効率的に一元管理できる「リモートPCアレイ50」

 リモートPCアレイ200に加えて、もう1つラインアップに新たに加わった製品が、「リモートPCアレイ50」だ。こちらはリモートPCアレイ200とは違って、PCカートリッジの集積度を上げていない。タワー型筐体の中に5つのカートリッジPCを搭載しており、主な用途としてRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を想定しているという。

 「WinActor」や「UiPath」をはじめとするクライアント型RPA製品を導入するには、ロボットを稼働させるための専用のPC環境が必要になる。これについて松浦氏は「RPAを利用する現場ごとにばらばらに導入すると、PCの導入コストがかさむ他、管理の手間も掛かります。複数ユーザー間でロボットを共用しにくいため、コストも高くつきます」と指摘する。

 こうした課題を解決するため、リモートPCアレイ50では、RPA用途として最も手頃なサイズである「5台のPC」分のPCカートリッジを1つのタワー型筐体に収めた。これまで現場ごとにばらばらに動いていたRPA用のPCを1カ所に集約することで、ロボットを効率的に一元管理できるようになる。

 「RPA用のPCを集約することで設置スペースを削減できますし、PCのセキュリティ対策も1カ所で効率的に実施できるようになります。さらには、ロボットの稼働環境を集中管理することで、1台のロボットを複数のユーザー間で共用しやすくなり、コストを減らす効果も期待できます」と松浦氏はその利点を説明する。

 リモートPCアレイ50に搭載するPCカートリッジは、搭載するCPUを2種類から選ぶことができる。

 業務の自動化、省力化は、働き方改革に直結する。ロボティックプロセスオートメーションとリモートPCアレイ、同じ略称である2つの「RPA」を併せて利用することで、企業は働き方改革の取り組みを強力に推進できるだろう。

多様なワークスタイルをサポートするITインフラ 新型リモートPCアレイセミナー

日時:2019年2月20日(水)14:00〜17:00(13:30受付開始)

場所:アキバプラザ 6F セミナールーム1

   〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフトアキバプラザ 6F

定員:100人

受講料:無料(事前登録制)

主催:Atrust Computer、アセンテック

共催:アクシオ、アルファテック・ソリューションズ、セコムトラストシステムズ、ヒスコム(五十音順)

お申し込みはこちらから


画像 「リモートPCアレイ50」《クリックで拡大》

提供:アセンテック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:TechTargetジャパン編集部