「ビジネスの課題は量子コンピューティング技術で解ける」は本当か経験や勘に頼っていた課題解決にさよなら

ビジネスにおいて発生する課題は即座に解決すべきだ。だが、膨大な選択肢の中から最適なものを選ぶのは難しい。最適解の探索に特化した「アニーリングマシン」を利用すれば、素早く解決策を導き出せるという。

2019年12月16日 10時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 ビジネスで発生する問題はさまざまだ。時間に関するものだったり、容量に関するものだったり。それらの多くは「最小のコストで成果を得る」ことを目的としている。例えば「運送コストを削減するために、運送トラックを必要最低限にする」などだ。

 運送トラックの数を必要最低限にするには「どういう経路をたどって全国の支店に荷物を運べばいいか」という問題を解かなければならない。しかし、これが難しい。トラックが移動する経路は無数にあるし、「必要最低限」「全国を回る」といった制約条件があるためだ。

 このように「制約条件」がある中で「膨大な選択肢」からベストな選択肢を探索する問題を「組合せ最適化問題」という。有名な例ではナップザックに荷物を詰める場合の最適な組み合わせを考える「ナップザック問題」や、セールスマンが複数の顧客先を訪問する際の最適なルートを導き出す「巡回セールスマン問題」などがある。

 配送トラックの例もそうだが、この組合せ最適化問題は一部の研究者のためだけのものではなく、ビジネスにおける課題につながっていることがある。そのため組合せ最適化問題に素早く対処できれば、企業のビジネスに貢献できるとも言える。

 だが、この組合せ最適化問題を厳密に解こうとすると膨大な計算が必要になる。組合せ最適化問題を解くソフトウェアは存在するが、ビジネスの現場では従来、ベテランの勘や経験を基に並べた数式で割り出すといった方法を取る場合が多かった。近年、この組合せ最適化問題を「アニーリングマシン」で解決しようとするアプローチがある。アニーリングマシンは、特定の処理に特化して性能の向上を図る「ドメイン指向型コンピューティング」という考え方から生まれたもので、組合せ最適化問題の高速、高精度処理実現に有効だという。

 このアニーリングマシンは実ビジネスにどういったメリットをもたらすのか。有識者に話を聞いた。


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