既存のアドオン開発を読み解きながら最新技術を提案できるSIとはSAPパートナーに聞く、「標準化」が怖くない理由

早くからIT投資に積極的だった企業ほどDX実現の障壁は高くなりやすい。独自機能を盛り込んで使い続けた複雑なシステムを刷新するには最新技術の知識だけでなく、レガシーが抱える問題に対する深い理解が必要だ。

2020年09月02日 10時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 いわゆる「2025年の崖」の議論の中で、しばしば課題に挙げられるのが古い「SAP ERP」の刷新だ。保守サポート期限が迫ることもあるが、何よりもレガシー化したシステムが運用保守の負担を増やし、それが企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を妨げているとされる。

 古いSAP ERPがレガシー化を解消できず「塩漬け」にされる理由の大半は各種のアドオンにある。1990年代から急速に導入が進んだSAP ERPは、日本の商慣習や標準プロセスに合わせて追加機能が開発された。そうしたアドオンはパッケージベンダーのサポート対象外のため、コア機能のバージョンアップが原因で動作しなくなるリスクを抱えている。そのため、バージョンアップせずに運用し続けることで問題を回避してきたケースもある。

 一方で、DXを推進するには新しい技術の活用が不可欠であり、従来の業務プロセスそのものの見直しが必要となることも少なくない。SAPも最新のERP製品「SAP S/4HANA」への移行では、業務をシステムに合わせる「Fit to Standard」を推奨する。

 だが、いくら推奨されたとしても、具体的にどうすればFit to Standardに改変できるかについてはシンプルな回答を見いだしにくい。企業ごとの固有の問題や国ごとに企業に課されるルールがあるからだ。SAPシステムの導入支援で20年超の実績を持つシステムインテグレーター(SI)企業に日本企業が置かれた状況や移行のポイントを聞いた。

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