Adobeは、「Acrobat」に生成AIによる対話型エンジンを追加した。文書内検索や文書要約にどのようなメリットがあるのか。
Adobeは2024年2月20日(現地時間)、PDFファイル閲覧ソフトウェア「Adobe Acrobat Reader」(以下、Acrobat Reader)とPDFファイル編集ソフトウェア「Adobe Acrobat」(以下、Acrobat)に、対話型検索機能「AI Assistant」のβ版を搭載したと発表した。AI Assistantは、Adobeの「Liquid Mode」(注1)と同じ人工知能(AI)技術に基づく生成AI(ジェネレーティブAI)機能であり、業務時間の短縮に役立つという。現時点では英語版のみの提供だ。
※注1 Liquid Modeはモバイル版Acrobat Readerの機能。AI技術でPDF内のテキストや図表などのレイアウト情報にタグ付けし、モバイルデバイスの画面に最適化する。
AI Assistantはコンテンツ要約機能と、PDFコンテンツの内容に関する対話型検索機能を備える。Microsoft、Google、OpenAIがそれぞれ提供する生成AIとの違いについて、AdobeでDocument Cloudのシニア・バイスプレジデントを務めるアビギャン・モディ氏はこう説明する。「他の生成AIが広いWebの世界に目を向けているのに対し、AI Assistantは特定のPDFという限定的なコンテンツに焦点を当てている」
AI Assistantは、ただコンテンツ内を検索したり、コンテンツを要約したりするわけではなく、引用時にはその出典を記載する。一般的に「生成AIにはハルシネーション(AIモデルが事実に基づかない情報を生成する現象)の問題がある」という認識があるため、この点は「極めて重要だ」とモディ氏は考えている。
生成AIの利用方法に悩むユーザーを想定し、AI AssistantにはPDF内コンテンツの内容に応じた質問を提案する機能も備えている。
モディ氏によれば、業界や仕事の種類によるものの、Adobeの初期調査結果は、AI Assistantが従業員の労働時間を週に2〜6時間短縮できる可能性を示唆していた。AI Assistantの有用な使用例の一つは、提案依頼書(RFP)に回答するためのデータを取得することだ。この作業は一般的に、営業担当者にとって時間がかかる作業だ。
Adobeは今後、AI Assistantに下記の機能を追加することを計画している。
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