VPNを導入するには? 今すぐ使える確認項目6選VPNの選定から導入までをおさらい【前編】

テレワークを実施する際、企業ネットワークへの安全なアクセスを確保するための選択肢としてVPNがある。VPNを導入する際に考慮すべきポイントとは何か。

2025年06月29日 06時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 さまざまな場所からの通信の安全性を確保する方法に、VPN(仮想プライベートネットワーク)がある。VPNを導入するに当たって確認しておくべき主要なポイントを6つ紹介する。

VPNの導入に向けて確認しておくべきポイント6選

 VPNを導入する際、以下の要素を考慮する必要がある。

ポイント1.クラウドVPNかオンプレミスVPNか?

 VPNは、主に「クラウドVPN」と「オンプレミスVPN」の2種類がある。クラウドVPNは、クラウドサービスとして提供されるVPNだ。オンプレミスVPNは、従業員のクライアントデバイスにインストールするソフトウェア「VPNクライアント」と、社内に設置するハードウェア「VPNゲートウェイ」の間で、仮想的な通信路(トンネル)を作成し、安全にデータを送受信できるようにする仕組みを持つ。それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらを選ぶかは企業が求める条件によって異なる。クラウドVPNは、VPNの設定、運用、管理をベンダーが実施するため、ユーザー企業のIT部門の負荷を抑制できる。こうした特徴から、小規模な企業に適している。オンプレミスVPNは、自社に適した条件の設定を企業のIT部門が担うことができるため、要件が多岐にわたる大規模な企業向けだ。

ポイント2.自社に適したVPN接続のタイプは?

 VPNの接続方式には、3つの種類がある。

  • VPN On Demand
    • 事前に定義した条件を満たす場合にのみ自動でVPNに接続する。
  • Always On VPN
    • デバイスがインターネットに接続している限り、常にVPNに接続する。
  • Per App VPN
    • 特定のアプリケーションを使うときだけVPNに接続する。

ポイント3.監視すべきデバイスやエンドユーザーの数は?

 VPNを利用する従業員数、VPNの利用は短期間なのか長期的な利用の可能性はあるのか、デバイスの所有形態(企業所有か個人所有か)を確認しておく。

ポイント4. OSの種類は?

 VPNの大半は、MicrosoftのクライアントOS「Windows」、AppleのクライアントOS「macOS」、AppleのモバイルOS「iOS」、GoogleのモバイルOS「Android」で利用できる。IT部門は、従業員が利用するデバイスにどのOSが搭載されているのかを確認し、複数のOSでVPNを利用できるようにすることで生じる負荷と業務への影響を考慮しておく。

ポイント5.既存のシステムへの影響は?

 既存のシステムやネットワークインフラのVPNに関する設定を確認し、必要に応じてスペックの強化やアップグレードを進める。ソフトウェアの更新、セキュリティポリシーの見直し、設定の変更、パフォーマンスの最適化といった取り組みを進めることも重要だ。既存のツール、システム、インフラの運用に大きな混乱を生じさせることなく、VPNを導入できるようにする。

ポイント6.リモートアクセスVPNか拠点間VPNか?

 VPNを導入するに当たり、「リモートアクセスVPN」のみを設置するのか、「拠点間VPN」も導入するのかを決めておく。方針を明確にしておくことで、最適なVPNの構築方法が見えてくる。

  • リモートアクセスVPN
    • インターネットを経由して、テレワーカーなど遠隔地にいるエンドユーザーに、社内ネットワークへの安全なアクセスを提供する。
  • 拠点間VPN
    • 企業の本社や支社など各施設間の安全な通信を実現する。

 以上6つのポイントを考慮することは、VPNの設置を検討する際の出発点に過ぎない。VPNの導入から運用、管理、システムの利用終了に関わる全コスト(TCO:Total Cost of Ownership)を試算することも重要だ。TCOには、必要なインフラの整備や整備にかかる人員の人件費、導入見込みのVPNのサブスクリプション料金やライセンス料、保守要員の人件費などが含まれる。

 コスト削減の観点から無料のVPNサービスを検討する企業もあるが、注意が必要だ。無料のVPNは、機能や性能に制限がある場合があり、プライバシー上の懸念もある。無料のVPNサービスを展開している一部のベンダーは、ユーザーデータを収集し、第三者に販売することでサービスを維持していることがある。


 次回は、企業向けVPN4選を紹介する。

TechTarget.AIとは

TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...