テレワークを実施する際、企業ネットワークへの安全なアクセスを確保するための選択肢としてVPNがある。VPNを導入する際に考慮すべきポイントとは何か。
さまざまな場所からの通信の安全性を確保する方法に、VPN(仮想プライベートネットワーク)がある。VPNを導入するに当たって確認しておくべき主要なポイントを6つ紹介する。
VPNを導入する際、以下の要素を考慮する必要がある。
VPNは、主に「クラウドVPN」と「オンプレミスVPN」の2種類がある。クラウドVPNは、クラウドサービスとして提供されるVPNだ。オンプレミスVPNは、従業員のクライアントデバイスにインストールするソフトウェア「VPNクライアント」と、社内に設置するハードウェア「VPNゲートウェイ」の間で、仮想的な通信路(トンネル)を作成し、安全にデータを送受信できるようにする仕組みを持つ。それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらを選ぶかは企業が求める条件によって異なる。クラウドVPNは、VPNの設定、運用、管理をベンダーが実施するため、ユーザー企業のIT部門の負荷を抑制できる。こうした特徴から、小規模な企業に適している。オンプレミスVPNは、自社に適した条件の設定を企業のIT部門が担うことができるため、要件が多岐にわたる大規模な企業向けだ。
VPNの接続方式には、3つの種類がある。
VPNを利用する従業員数、VPNの利用は短期間なのか長期的な利用の可能性はあるのか、デバイスの所有形態(企業所有か個人所有か)を確認しておく。
VPNの大半は、MicrosoftのクライアントOS「Windows」、AppleのクライアントOS「macOS」、AppleのモバイルOS「iOS」、GoogleのモバイルOS「Android」で利用できる。IT部門は、従業員が利用するデバイスにどのOSが搭載されているのかを確認し、複数のOSでVPNを利用できるようにすることで生じる負荷と業務への影響を考慮しておく。
既存のシステムやネットワークインフラのVPNに関する設定を確認し、必要に応じてスペックの強化やアップグレードを進める。ソフトウェアの更新、セキュリティポリシーの見直し、設定の変更、パフォーマンスの最適化といった取り組みを進めることも重要だ。既存のツール、システム、インフラの運用に大きな混乱を生じさせることなく、VPNを導入できるようにする。
VPNを導入するに当たり、「リモートアクセスVPN」のみを設置するのか、「拠点間VPN」も導入するのかを決めておく。方針を明確にしておくことで、最適なVPNの構築方法が見えてくる。
以上6つのポイントを考慮することは、VPNの設置を検討する際の出発点に過ぎない。VPNの導入から運用、管理、システムの利用終了に関わる全コスト(TCO:Total Cost of Ownership)を試算することも重要だ。TCOには、必要なインフラの整備や整備にかかる人員の人件費、導入見込みのVPNのサブスクリプション料金やライセンス料、保守要員の人件費などが含まれる。
コスト削減の観点から無料のVPNサービスを検討する企業もあるが、注意が必要だ。無料のVPNは、機能や性能に制限がある場合があり、プライバシー上の懸念もある。無料のVPNサービスを展開している一部のベンダーは、ユーザーデータを収集し、第三者に販売することでサービスを維持していることがある。
次回は、企業向けVPN4選を紹介する。
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