MIT Technology Reviewが発表
LLMの次は何が来る? 中国AIは浸透する? 情シス必読のAIトレンド10選
MIT Technology Reviewは、2026年に注目すべきAI分野の重要トピック10選を公開した。AIエージェントの進化や次世代LLMが挙がった一方、AIの進化に対して規制や安全対策が追い付いていない現状に警鐘を鳴らした。
生成AIの普及が進む中、業界では「LLM(大規模言語モデル)の次に何が来るのか」という議論が活発化している。こうした中、米メディア「MIT Technology Review」は2026年5月12日(米国時間)、2026年に知っておくべきAIの重要トピック10選を公表した。
MIT Technology Reviewは、マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)が発行するメディア。2026年に知っておくべきAIの重要トピック10選は、同誌が主催するAI分野のカンファレンスEmTech AI(2026年4月開催)で、エグゼクティブエディターを務めるエイミー・ノドラム氏とナイアル・ファース氏が発表した。10項目は以下の通りだ。
LLMs+とは?
1.ヒューマノイド向け学習データ
特定のタスクの実行においては、大規模言語モデル(LLM)で訓練したヒューマノイドロボットが人間のタスク精度を上回ると予測されている。動作・判断の汎用性向上により、製造業や介護分野での実用化が期待される。
2.LLMs+(LLMの次世代形態)
ノドラム氏とファース氏によると、LLMの次に来るのは、より高度なLLM、すなわち「LLMs+」だという。複数の専門家モデルの混合(Mixture-of-Experts)やコンテキストウィンドウの拡張により、複雑な多段階問題を処理可能に。「LLMの終わり」ではなく「LLMの深化」が主流となる。
3.詐欺の巧妙化
AIを悪用した高度な詐欺は急増する見通しだ。音声詐欺(ビッシング)やディープフェイク、脆弱性の悪用など、従来のセキュリティ技術では防げない攻撃が日常化すると両氏はみている。
4.世界モデル
実世界の物理法則や因果関係を学習し、「次に起こり得る現象」を予測・シミュレーションして状況を把握するためのシステムが「世界モデル」だ。ロボットやAIエージェントを訓練するための有効な手法として、注目を集めている。
5.軍事のAI活用
軍事分野でのAI利用は拡大しつつある。政治情勢の評価や脅威インテリジェンスの報告書作成に加え、機密データを基に訓練したAIチャットbotが戦略立案を担当する未来像もある。
6.ディープフェイクの武器化
女性や社会的弱者を狙った攻撃や政治目的で使われるディープフェイクが、より巧妙になっている。「攻撃対象の社会的信頼を根本から破壊する行為」だと両者は指摘する。
7.エージェントのオーケストレーション
複数のAIエージェントがネットワークを形成して複雑なタスクを分担する「オーケストレーション」が次の重要テーマとなる。AIエージェント間でタスクの分解、役割分担、結果を統合させることで、単体では不可能な複雑な業務を自動化する。
8.中国のOSS
DeepSeekの熱狂は一段落したが、中国ではオープンソースのAIサービスが次々と誕生している。米国クローズドモデルに対抗し、低コストかつ高性能のモデルを世界に供給している。
9.AI科学者
科学的な仮説の生成、実験の設計や検証を自動化するAIの開発が進んでいる。OpenAIは「North Star」と位置付け、AIエージェントが仮説を立てて実験を推進し、自ら科学者として振る舞う未来を目指している。
10.人間の抵抗
AI失業やデータセンターの環境負荷、倫理問題に対する抗議活動は世界的に広がっている。AI疲れ(AIに圧倒されつつも、期待ほど成果が出ず、疲弊している状態)に見舞われたユーザーのモチベーション低下も見られる。
ノドラム氏は、「AIが全ての問題をすぐに解決するわけではないと認識し始めている」と説明する。
「ガードレール」は追い付くのか
ノドラム氏とファース氏は、AIの進化速度に対して規制や安全対策が追い付いていない点に懸念を示している。
ノドラム氏は、「新技術ではよくあることだが、AIもガードレール整備より先に進化している」と指摘する。
ファース氏は、「技術的にはガードレールを導入することは難しくない。しかし実際には、政治的意思や企業側の圧力が障壁になる」と説明する。欧州ではディープフェイクやチャットbot規制が進みつつあるものの、グローバル全体で見ると十分ではないという。
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