崩れゆく「VPN=匿名」の常識 犯罪に利用されたFirst VPN解体506人の利用者を特定

Europolは2026年5月、サイバー犯罪者向けに利用されていたVPNサービス「First VPN」を国際共同捜査で解体したと発表した。

2026年05月26日 05時00分 公開
[Alex ScroxtonTechTarget]

 「VPNを使えば匿名で攻撃できる」――。サイバー攻撃者の間で、こうした“常識”が崩れ始めているようだ。

 欧州刑事警察機構(Europol)は2026年5月、ランサムウェア攻撃や情報窃取、不正送金などに利用されていたVPN(仮想プライベートネットワーク)サービス「First VPN」が国際的な共同捜査によって解体されたと発表した。

国際捜査による「First VPN」解体の詳細

 今回の作戦名は「Operation Saffron」。フランスとオランダ主導で実施され、英国国家犯罪対策庁(NCA)やセキュリティベンダーBitdefenderも協力した。

 Europolによると、First VPNはロシア語圏のサイバー犯罪者に広く利用されており、過去数年間に同機関が扱った「ほぼ全ての大規模サイバー犯罪捜査」で使われていたという。First VPNは、単に通信を匿名化するだけではなく、匿名決済や“隠しインフラ”の提供まで請け負っていた。

「匿名化インフラ」そのものが摘発対象に

 今回の摘発では、VPN利用者ではなく、VPNサービスそのものが主要なターゲットになった点が特徴だ。

 捜査当局は、2021年12月から約4年半にわたってFirst VPNを追跡していた。その過程で、捜査当局はVPNサービス内部へのアクセスに成功し、利用者データベースのコピーを取得。さらに、サイバー犯罪者が実際に利用していたVPN接続情報を特定したという。

 2026年5月19〜20日に実施された摘発では、ウクライナ国内で管理者を逮捕・事情聴取したほか、33台のサーバを停止。ドメイン「1vpns.com」「1vpns.net」「1vpns.org」や関連するOnionドメイン(Tor<The Onion Router>ブラウザで使うためのドメイン)も押収された。

 Europolは、この捜査によって506人のユーザーを特定し、80件以上のインテリジェンスパッケージ(捜査情報)を世界各国へ共有したと説明する。既に21件の別件捜査が進行しているという。

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