Column
整備が進むXML Webサービスのセキュリティ基盤
Webサービスに取り組んでいる開発者にとって、標準化団体のW3CとOASISが定義するWebインタフェースと仕様をサポートするのが賢明だろう。
アプリケーション開発の動向を少しでも追っている人なら、Webサービスが開発の世界で急速に注目され、まさにホットな分野となっていることは誰もが知っている。Webサービスは新たな展開の(そして投資の)焦点であり、アップルからゼンドまで、あらゆるベンダーがのめり込んでいるというわけではないものの、マイクロソフト、IBM、サン・マイクロシステムズをはじめ多くの企業が、この分野のビジネスで大きなテリトリーを獲得しようとしのぎを削っている。
だが、あなたがインターネットでWebサービスを公開しているとして、そのプラットフォームにどのベンダーの技術を使っているかは、ほかのWebサービスからは認識されないかもしれない。しかも、あなたのWebサービスは、対応するあらゆるWebサービスからいつでもアクセスされる可能性がある。このため、相互運用性、情報交換、信頼性が、極めて重要になっている。また、インターネットでは、インタフェースやアプリケーションの設計上の小さな欠陥が、ほかの環境の場合よりも高い確率で、過酷で容赦のない現実の洗礼を受けている(多くの場合、その結果は深刻なものとなっている)。バッファオーバーフローや、入力チェックの欠如、ユーザーの意図や能力についての想定の甘さのせいで、安全と思われているインフラやOS、実行環境、アプリケーションに、ぽっかりと穴が開く事態が頻発している。インターネットでは、誰もがこうしたセキュリティ問題を共有している。
こうした中、標準化団体のW3CとOASISは協力して、Webサービスのセキュリティの向上を目指し、高機能で優れたWebインタフェースと仕様の定義を精力的に進めている。それらの例には以下のようなものがある。
WS-Security
セキュリティトークンを利用してメッセージの完全性の保証、機密性の確立と評価、メッセージ送信元の認証を行う方法を規定する。
WS-SecureConversation(WS-SC)
組織間で認証を繰り返さずに複数のメッセージ交換を行える、安全なコンテキストを構築するためのビルディングブロック。
WS-SecurityPolicy(WS-SP)
Webサービスに関連付けられる一般的なセキュリティポリシーセットを定義する。特定のSOAPエンドポイントに関連付けられたポリシーの表明として、サポートされているセキュリティ交換パターンの表明を可能にするために使われる。
WS-Trust(WS-T)
情報を交換しようとする当事者間で信頼関係を確立し、管理または評価するための規約を提供する。セキュリティトークンの取得と信頼関係の仲介に使われる。
WS-SecureExchange(WS-SX)
SOAPメッセージの形式とメッセージ内のトークンを規定する定義済みのセキュリティポリシーにより、複数のSOAPメッセージの信頼できる交換を可能にする。
これらを含むWebサービスの基盤は将来的に、概念やWSDLドキュメント、XML Schemaレンダリングを標準化するモジュール型の仕様群(必要なものだけを組み合わせて利用できる)で規定されるようになるだろう。それによって、SOAPメッセージの信頼できる仲介が行われ、セキュリティコンテキストが共有され、セキュリティポリシーが表明されて、その遵守がチェックされるようになる見通しだ。
OASISで実施中の関連する重要な取り組みとして、Web Services Reliable Exchange(WS-RX)プロジェクトや、Web Services Transaction(WS-TX)プロジェクト、Webサービスセキュリティ(WSS)技術委員会の活動などがある。これらの取り組みは、セキュリティポリシーを表明する機能や、進行中の対話(情報の交換)を長時間にわたって維持する機能を開発することが主な狙いだ。
以上に挙げた仕様や機能の開発には明確な目的がある。ポリシーや通信、情報交換に関連するセキュリティを確立、維持、評価するために開発者が利用できるサービスの標準的ビルディングブロックを定義することだ。それらを十分にマスターするには、かなりの時間と手間と労力がかかるが、そのメリットが大きいことから、IBM、マイクロソフト、アドビ、BEAシステムズ、CA、ノベル、オラクル、SAP、ベリサインなどのベンダーは、これらの仕様をサポートしている。どんなWebサービスに取り組んでいる開発者にとっても、そうするのが賢明だろう。OASISのセキュリティ技術委員会のページを入り口にして、学習を始めてみてはいかがだろうか。
本稿筆者のエド・ティテル氏はライターと講師を兼業しており、XMLと開発のほか、IT資格や情報セキュリティなどのテーマに関心を持っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳
-
9
データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由
-
10
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー