データの長期保存に役立つアーカイブを解説した3つのホワイトペーパーホワイトペーパーレビュー

企業の内部統制やコンプライアンス対策を推進する際に重要な意味を持つ「アーカイブ」。本稿では、ストレージのアーカイブ機能を解説したホワイトペーパーを紹介する。

2012年02月03日 09時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 見積もりや受発注、電子メールなど業務上で日々発生するデータは、企業の重要な資産だ。そのため、人的なミスやハードウェアの故障、自然災害などによる消失を防ぐデータ保護対策が求められる。ストレージにおけるデータ保護対策は、その目的によって大きく「バックアップ」と「アーカイブ」の2つに分けられる。

 システム運用の継続性を目的とするバックアップに対して、アーカイブは法規制などで求められる長期にわたるデータ保存を目的としている(関連記事:“アーカイブ”をバックアップと混同するなかれ)。特にアーカイブは、企業の内部統制コンプライアンス(法令順守)を推進する際に重要な意味を持つ。

「テープは時代遅れ」という認識は古い!?

photo 提供:日本アイ・ビー・エム(10ページ)

 アーカイブ用ストレージとして長年使用されてきたテープストレージ。テープはデータの保管コストが安価で、大量のデータを長期保管するのに適している。バックアップ環境ではディスクバックアップが普及し、「テープストレージではバックアップやリストアが遅い」というイメージを持たれることも多いという。

 このホワイトペーパーでは、否定的なイメージを持たれることもあるテープストレージに関する最新技術や効果的な活用方法を紹介し、その価値の見直しを促している。一口にデータの長期保管といっても、米国では電子カルテが持つ医療情報や企業の重要な記録などは「永久的な保管」が求められることもある。その場合、記憶媒体(メディア)の耐久性が重要になるという。メディアが劣化してデータが読み込めなくなる前に、メディアを再生するためのドライブが入手できなくなる可能性が高く、メディア移行に課題があると指摘している。その上で、テープの標準規格「LTO(Linier Tape Open)」は他のメディアに比べて互換性に優れており、長期的な保管や運用に適していると紹介している。

 また、IBMのテープストレージを例として、テープの暗号化や電力コストでの優位性、処理性能の比較結果などを紹介し、データの特性に合わせてテープを利用するストレージシステムのメリットを解説している。重要な企業データの保管に欠かせないストレージとして、再びテープの需要が高まっている理由が理解できるだろう。

重要な監査証跡であるメールデータのアーカイブ

photo 提供:三菱電機インフォメーションテクノロジー(25ページ)

 業務活動に欠かせないコミュニケーションツールである電子メール。メールデータは日々大量に発生し、各種法規制の監査対象になるケースが多い。そのため、アーカイブ対象になるデータの中でも、特にメールデータには適切な保管方法が求められる。

 このホワイトペーパーでは、メールアーカイブが求められる背景と要件を整理して紹介している。それによると、例えば日本版SOX法では「証跡としての長期保管や監査などでの対象メールの取り出しの必要性が求められる」という。また、メールアーカイブではデータを長期間保管できる大容量のストレージが必要になるだけでなく、その中から対象メールを素早く検索できるシステムの構築が必要になるとしている。

 その上で、メールアーカイブソリューション「LogAuditor Mail Saver」の特徴を紹介している。LogAuditor Mail Saverでは、圧縮機能によってデータを圧縮蓄積することで増大するストレージコストを抑制し、高速全文検索機能で約100万通(1Tバイト)の全文検索が1秒で可能だという。さらに、改ざんチェック機能によりアーカイブされたメールの真正性を確認できる。アーカイブデータの種類に応じた適切なストレージ環境実現の参考となるだろう。

WORMストレージの利点

photo 提供:ネットアップ(16ページ)

 多くの企業がコンプライアンス対策やデータ保護強化の一環として「WORM(Write Once Read Many)」機能を備えたストレージを利用している。一度だけ書き込むことができ、消去や変更ができないWORM機能を利用することで、過失または故意によるデータの改ざんや削除を防ぐことが可能になる。

 このホワイトペーパーでは、多くの企業がWORMストレージを使用している主な理由を2つ紹介している。その解説によると、法令順守のために使用が認定されているストレージが消去や上書きが不可能なストレージであること、過失または故意によるデータの改ざんや削除から重要なデータを保護することが重要視されているからだという。

 また、既存のWORMストレージではストレージ容量の制限や低いデータスループットなどの課題があるという。その上で、WORMによるデータ保持をソフトウェアで実現する「SnapLock」製品群の技術の概要を紹介し、その導入メリットを解説している。

 今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などストレージに関するホワイトペーパーを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

ITmedia マーケティング新着記事

news077.jpg

「気候危機」に対する理解 日本は米国の3分の1
SDGsプロジェクトはTBWA HAKUHODOのマーケティング戦略組織である65dB TOKYOと共同で、「...

news058.jpg

アドビ、Adobe Firefly機能搭載の「Adobe Express」モバイル版アプリを一般提供
アドビは、生成AI「Adobe Firefly」の機能を利用できる「Adobe Express」モバイル版アプ...

news141.jpg

2度あることは3度あった GoogleのサードパーティーCookie廃止再延期にアドテク各社がコメント
Googleは2024年末までに完了する予定だったWebブラウザ「Chrome」でのサードパーティーCo...