業界初のオープンスイッチイニシアチブ「Generation of Open Ethernet」
イーサネットスイッチソフトがオープンソースに、SDNへの影響は?
Mellanoxは業界初のオープンスイッチイニシアチブを発表。同社がOpen Ethernetのフレームワークを提唱することで、SNDを新たな高みへと引き上げ、データセンターの柔軟なコントロールを促進できるのか。
イーサネットスイッチ業界におけるクローズドプラットフォームの時代は終わっている――。データセンター向けイーサネットおよびInfiniBandネットワークの専門企業であるイスラエルのMellanox Technologiesはそう主張している。
Mellanoxは2013年3月にオープンスイッチイニシアチブ「Generation of Open Ethernet」を発表した。これは、イーサネット上で完全なオープンソースネットワークスタックを使用する選択肢を顧客に提供し、顧客独自の仕様に合わせてネットワークに手を加えてカスタマイズできるようにする取り組みだと、Mellanoxの市場開発担当シニアディレクター、ギラド・シャイナー氏は語った。
「ベンダーは半導体チップを開発し、マシンを作り、プロプライエタリなソフトウェアを搭載する。ユーザーが独自の価値を付加するチャンスはない」とシャイナー氏。「ベンダーはこうしたやり方を続けたがる。いったん製品を買ってもらえば、購入者を囲い込めるからだ」
Mellanoxにとって、自社のコードをオープンソース化し、ネットワークのプログラマビリティを高めることは、大規模データセンターを運営する企業を顧客として開拓する足掛かりになるかもしれないと、米IDCのリサーチディレクター、ブラッド・ケースモア氏は言う。
「Mellanoxは、大規模なWebサイトやクラウド運営者が、マーチャントシリコン(ネットワーク機器向けの汎用チップセット)を搭載したホワイトボックススイッチを調達しているのを見て、この市場でシェアを獲得できるかどうかを見極めようとしているのだと思う」とケースモア氏。さらに、同氏はこう付け加えた。「Mellanoxは新たなイニシアチブをこうした顧客への統合サービスの提供につなげるかもしれない。さらにそれが、これら顧客へのスイッチの販売にも結び付くかも可能性もある」
米Arista Networksのような一部のベンダーは、自社のネットワークソフトウェアのAPIを公開し、独自の仕様に合わせてネットワークをプログラミングすることを顧客に勧めている。オープンソースのアプローチでSDN(Software-Defined Networking)を推進しているベンダーもある。
しかし、ベンダーは一般的にプロプライエタリなプラットフォームを提供しており、それをオープンソースソフトウェアとして公開すれば、インストールベースが縮小しかねない。ほとんどの既存ベンダーは、垂直統合型のクローズドなプラットフォームに顧客を囲い込んで離さない。
こうした既存スイッチングベンダーとは異なり、Mellanoxは、Generation of Open Ethernetで失うものはほとんどないと、ケースモア氏は指摘した。Mellanoxは、何としてでも自社の技術をネットワークエンジニアに広めようとするだろうと、同氏は見ている。
ネットワークコードの公開によって、一部のSDN製品よりもプログラムが容易になり、エンジニアがネットワークをカスタマイズし、アプリケーションパフォーマンスの最適化を図ることも可能になる。
「SDNやOpenFlow(関連記事:【技術動向】OpenFlowに対する4つの誤解を検証する)は、ネットワークを制御するためのインタフェースを提供するものとして生まれた」とMellanoxのシャイナー氏は語った。「これらによって全てがオープンになったわけではない。これらはそのきっかけを与えたにすぎない。しかし、それでも、ほとんどのベンダーの対応製品では制御機能が限られている」
完全なオープン性は、データセンターインフラによって自らを差別化するクラウドプロバイダーやWeb企業にとって特に重要だと、シャイナー氏は言う。
「Web 2.0アプリケーションの代表格であるFacebookやGoogle Mapsなどについて見ると、これらは非常に大規模かつスケーラブルなデータセンターで運用される単一のアプリケーションだ。それらの作成、管理、アップデートを行う担当者は、こうしたアプリケーションの特性に精通している。アプリケーションの特性を理解していれば、データセンター内のトラフィックルーティングをアプリケーションに合わせて変更し、混雑やホットスポット、CPUのアイドル状態の防止を図れる。これができず、ルーティングプロトコルが競合他社のものと同じであれば、データセンターの最適化によってアプリケーションを差別化することはできない」(シャイナー氏)
Generation of Open Ethernetは、クラウドプロバイダーやWeb企業にはアピールするかもしれないが、オープン性は、一般企業のネットワークエンジニアにとっては優先順位の高い問題ではないと、米Forrester Researchの主席アナリスト、アンドレ・カインドネス氏は語っている。
「相対的な購買力から見て、クラウドプロバイダー向け製品の市場はニッチ市場にとどまると思う」とカインドネス氏。ほとんどの企業ネットワークエンジニアにとっては、使いやすさや信頼性の方がはるかに重要だというのが同氏の見解だ。
Mellanoxは、自社のハードウェアでサポートするオープンソース技術をまだ選定中だ。SDNではOpenFlow、レイヤー3ではQuaggaをサポートするが、レイヤー2スイッチおよび管理の選択肢については、依然として評価を行っている。Mellanoxは、自社のプロプライエタリなネットワークソフトウェアをオープンソース化することで、既存のオープンソースの問題点を克服しようとしている。具体的に何がオープンになるのか、詳細はまだはっきりしないが、Mellanoxは、2013年5月に米国ラスベガスで開催されるInteropで、自社ハードウェア上の完全なオープンソースネットワークスタックを披露するとしている。
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