私物端末の業務利用(BYOD)とITのコンシューマライゼーションは、ユーザーの働き方を変えている。それが事業運営にもたらす影響を甘く見てはならない。
BYODは、単に従業員、コンサルタント、請負業者が、さまざまな端末を使ってデータを操作するものというだけではなく、はるかに複雑な意味合いを持つ。
企業のIT部門にとって大きな問題なのは、BYODを認めた結果、ユーザーが各自でツールを選び、仕事のスタイルを選べるようになったと錯覚することだ。
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年12月4日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
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以前は確かに、“影の”ITが暗躍して各部門が独自のやり方で特定のプロジェクトを進めていても、会社のIT部門は基本的なシステム管理ツールを使って比較的容易にそれを見つけることができた。見つかった各部門独自のITシステムは、IT部門の管理対象に取り込むことができた。
しかしBYOD時代になって、会社のIT部門は完全に社外のシステムへの対応に手を焼いている。Dropbox、SkyDrive、Box、SugarSync、その他のファイル共有システムなど、コンシューマー向けクラウドアプリケーションは、企業向けのコラボレーション機能も提供するようになってきたが、依然として多くの従業員が個人のアカウントを使っている。
こういった個人アカウントや、さらには影のITをもくろんで各部門が独自に用意し、利用しているグループアカウントには、非常に重要なビジネス情報が保持されている。しかし、この情報に企業は手を出すことができない。その情報を基にリポートを作成したり、経営判断の材料として取り込むことはできない。
これは会社のデータでありながら、会社の役に立たない。むしろ、会社の足を引っ張っている。経営判断は、実際に入手できるデータを基にするため、必要な情報をもれなく網羅する必要がある。しかし、入手可能なデータと、参照すべき情報の差はますます広がっている。
BYODのトレンドに関する米Ponemon Instituteの調査では、英国企業の過半数は私物端末に関するポリシーを用意しておらず、BYODであれパブリッククラウドのファイル共有サービスであれ、極めて重要なデータが危険にさらされていることが分かった。この調査に協力した英国のIT責任者の58%が、従業員が所有するタブレットやスマートフォンなどのモバイル端末を管理するためのBYODポリシーを用意していないことを認めている。また、BYODがもたらすプライバシーのリスクについて、従業員に教育していないとの回答はかなり多く、80%にも上った。
このようなBYODの問題を克服するために、データセンターの管理者ができることは何か? BYODに負けないデータセンターのインフラを構築するには、今までとは違うアプローチが必要だ。会社の情報を集中管理するために、データセンターを活用する方法を考えなければならない。多くの場合、それはユーザーが会社のITプラットフォームにアクセスし、利用するプロセスを集中管理することになる。
まず、現在のIT資産を徹底的に監査する。これには、ハードウェアだけでなく、ソフトウェア資産も含める必要がある。
ハードウェアに関しては、米ManageEngine(米Zoho CorporationのエンタープライズIT管理ソフトウェア部門)、米Altiris(Symantecの子会社)、米LANDesk、米IBM、米Dell、米CAなどのITベンダーが支援ツールを提供している。
ソフトウェアに関しては、英Centrix Software、スウェーデンのSnow Software、英Rimo3、米Flexera Softwareなどの製品やサービスを利用して、導入されているソフトウェアやその使用状況を把握し、ライセンスの無駄がないかをチェックできる。
次は、ある程度ユーザーの自由が利く、集中管理型のユーザーワークプレースを作成する。
仮想デスクトップインフラ(VDI)は手始めとしては良いかもしれないが、全てを集中管理しても、ユーザーが納得できるパフォーマンスを実現できるとは限らない。
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