なぜあの巨大ソフトウェアベンダーは没落したのか盛者必衰のことわり

Oracleは過去7年間に4兆円近い額を買収に費やしたが、その間の増収は7%。規模は容易に測れないが、Oracleは衰退していると筆者は説く。その原因とは何か。

2018年09月11日 08時00分 公開
[Robin FryComputer Weekly]

 Oracleは7年かけて350億ドル(約3兆8000億円)を超える買収を行い、数々の輝かしいクラウド新製品を手掛けてきた。だがその間の増収は、わずか7%にとどまっている。

Computer Weekly日本語版 9月5日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 9月5日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 これまでデータベース分野を支配し、数十年かけて巨大で信頼の厚い顧客ベースを育ててきたOracleが、どうしてこのような事態に陥っているのだろうか。

 Oracleはソフトウェアサプライヤーとして、ここ数十年膨大な利益を上げてきた。それは、オンプレミスへのインストールの定着、サポート停止への顧客の不安、継続的なライセンス監査プロセスを完璧に融合し、ベンダーロックインを生み出すという手法によるところが大きい。

 こうしたベンダーロックインは、複数のクラウドサービスを利用できるようになったことで終わりを告げた。では、サプライヤーを1社に限定して関係を構築し、大規模な投資を行ってきた顧客が、その代わりとなるサービスを他の場所で探すようになったのはなぜだろう。

 大企業の多くは、今でもオンプレミスソフトウェアを利用している。その主なコストは、頻発に行われるサポートとメンテナンスの契約だ。このような契約は、サポートチケットをほとんど使用しなくても、単に保険として毎年更新される。実際には多くの顧客が混乱を生み出す不要なアップデートのリスクを避け、安定性が高く堅牢(けんろう)な初期バージョンを好んでいる。

 その結果、本来のライセンス価格の20〜22%に当たる保守契約が、ビジネスを行うための必要経費として、あまり検討されることもなく更新されている。2018年の事業年度最初の9カ月間、Oracleのソフトウェアライセンス更新とサポートのコストは7億4000万ドル(約820億円)だった。これに対して受け取った額は149.3億ドル(約1兆6000億円)を超え、利益率は2000%に達する。

 このように昔から好調な収益は何年もの間、フリーキャッシュフローと株主価値を高めてきた。その結果、同社は企業や公共機関からソフトウェアのコストを延々と引き出し続けている。

 今では多くの大企業は別の方法を利用するようになっている。

続きはComputer Weekly日本語版 9月5日号にて

本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。


Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー

Computer Weekly日本語版 8月22日号 東京五輪でも活躍!? 5G最新動向

Computer Weekly日本語版 8月8日号 DockerとKubernetesのさらに先

Computer Weekly日本語版 7月18日号 トイザらスとAmazon成功の分かれ目


ITmedia マーケティング新着記事

news062.jpg

広告業界の平均年収上昇率ランキングトップ10
国内540万社の企業情報を網羅した日本最大級のデータベース「SalesNow DB」が、上場企業...

news042.jpg

ドミノ・ピザに学ぶ「必ず記憶に残る」ブランディング(無料eBook)
“たまたまピザを売っているEコマース企業”を名乗るドミノ・ピザの斜め上を行く発想はど...

news134.jpg

Appleの新iPad Pro広告動画は「1984」で解放されたクリエイティビティーをディストピアに戻す暴挙
ピアノや彫刻などの芸術品を大型プレスで破壊する映像は、Apple史上稀有な失敗となった。