2006年03月28日 09時57分 公開
特集/連載

SOAの成熟度モデルは必要か?Column

SOAの成熟度モデルは企業に必要なのだろうか。成熟度モデルに何を含めるべきか、そして誰がそれを推進すべきかという点に関しては、ベンダーやコンサルタント、独立した第三者機関の間で意見が分かれている。

[TechTarget]

 SOAの成熟度モデルは企業に必要なのだろうか。企業がSOAを導入する際にはガイダンスが必要だという点では人々の考えは一致しているようだが、成熟度モデルに何を含めるべきか、そして誰がそれを推進すべきかという点に関しては、ベンダーやコンサルタント、独立した第三者機関の間で意見が分かれている。

 米調査会社フォレスターリサーチの上席アナリスト、サム・ヒギンズ氏によると、SOAはシステム開発の手法に関するアーキテクチャであるため、オブジェクト指向、コンポーネントベースの開発、一般的なソフトウェア開発手法などと多くの点で類似しており、「これらはいずれも、それ自身をサポートする成熟度モデルを備えている」と言う。英国を本拠とするCBDIフォーラムのデビッド・スプロットCEO兼主席アナリストによると、SOA成熟度モデルで最も標準化に適している部分は、組織間のコラボレーションの分野だといい、米調査会社ザップシンクの上席アナリスト、ロン・シュメルツァー氏によると、SOA成熟度モデルは、アーキテクチャを中心としたものであるべきで、「企業が自社のサービスの成熟度を判定するだけでなく、自社のポリシーとガバナンスの成熟度、ならびにそれを取り巻く組織的な変化や問題を判断するのに役立つものでなくてはならない」と言う。

 SOAの成熟度モデルは企業に必要なのだろうか。企業がSOAを導入する際にはガイダンスが必要だという点では人々の考えは一致しているようだが、成熟度モデルに何を含めるべきか、そして誰がそれを推進すべきかという点に関しては、ベンダーやコンサルタント、独立した第三者機関の間で意見が分かれている。

 米調査会社フォレスターリサーチのオーストラリア支社に勤務する上席アナリスト、サム・ヒギンズ氏によると、SOAはシステム開発の手法に関するアーキテクチャであるため、オブジェクト指向、コンポーネントベースの開発、一般的なソフトウェア開発手法などと多くの点で類似しており、「これらはいずれも、それ自身をサポートする成熟度モデルを備えている」と言う。

 「SOA成熟度モデルは、既存の各種成熟度モデルに新たな視点を追加するにすぎないという見方も、あながち的外れではない。われわれが話を聞いたベンダーの多くは、これらの既存モデルをベースとして考えている」と同氏は話す。

 英国を本拠とするCBDIフォーラムのデビッド・スプロットCEO兼主席アナリストによると、SOA成熟度モデルで最も標準化に適している部分は、組織間のコラボレーションの分野だという。「このモデルは、異なる組織の間で反復可能な、厳格に管理されたプロセスを確立するために必要な機能を理解するのに役立つ」とスプロット氏は語る。一般に、成熟度モデルはインフラよりもプロセスにフォーカスすべきである、と同氏は強調する。

 スプロット氏は、SOA成熟度モデルに関する最近の調査で、IBMやBEAシステムズなどのベンダー、ならびにアンバーポイント、ベリングポイント、ソニックソフトウェア、システィネットで構成されるベンダーグループが推進する取り組みを検証した。これらのベンダーの中で、「SOAの導入方法を顧客に理解してもらう努力をしている企業は1社もなかった」と同氏は述べている。「今のところ、SOA分野でベンダー各社が売ることができるのはインフラ製品だけだ。だから、彼らはインフラのマーケティングをしているのだ」

 スプロット氏によると、大手企業はアーキテクチャ面での新しいプラクティスだけでなく、ほかのすべてのベストプラクティス(ライフサイクルプロセスの管理、組織的な問題の管理など)も利用したいと考えているという。「企業は成熟度モデルに関連した問題を多数抱えている。インフラも重要だが、これは1つの次元にすぎない」と同氏は語る。

 米調査会社ザップシンクの上席アナリスト、ロン・シュメルツァー氏によると、SOA成熟度モデルは、アーキテクチャを中心としたものであるべきで、「企業が自社のサービスの成熟度を判定するだけでなく、自社のポリシーとガバナンスの成熟度、ならびにそれを取り巻く組織的な変化や問題を判断するのに役立つものでなくてはならない」と言う。

 SOA成熟度モデルの中には、ソフトウェアエンジニアリングインスティテュート(SEI)のCMMI(Capability Maturity Model Integration)をベースとするものもある。「CMMIは一般に、主要業務分野のプロセスの成熟度を測定・監視するための『ベストプラクティス』的アプローチとして受け入れられている」とフォレスターのヒギンズ氏は指摘する。

 「組織内の既存のプラクティスにSOAを結び付ける方がいいのは確かだ。CMMIをベースとすることで、それが可能になる。しかしSOAは単にITだけの問題ではない。このため、SOAがITだけのプロセスビューに限定されないのであれば、CMMIをベースとして利用すればよい」(同氏)

 スプロット氏によると、CBDIの成熟度モデルは、「一連の機能を成熟度モデルのバックボーンとして特定・定義したという意味において」CMMIをベースとしているという。「他社(のモデル)はCMMIの成熟レベルに注目しているが、これは誤りだ。CMMI成熟レベルという指標はSOAに適していない」(同氏)

 米ソニックソフトウェアで製品マーケティングを担当するシニアディレクター、ジョン・バックマン氏によると、同社を含むベンダーグループのSOA成熟度モデルはCMMIをベースとしているという。「ほとんどのITマネジャーはCMMIに関する知識を持っているからだ。CMMIの世界では、ソフトウェアを所定の期限/予算内で開発する能力が問題とされる。SOA成熟度モデルは、その能力を高めようとするものだ。SOA成熟度モデルがCMMIに直接結び付いているというつもりはないが、このモデルを理解してもらうための手掛かりとしてCMMIを利用したいと考えた」と同氏は説明する。

 同氏によると、SOAのビジネス価値を示すのが同社の取り組みの狙いだという。「このモデルは、成熟度の各段階で得られるビジネスメリットを中心として構成されている」とバックマン氏は話す。「SOA成熟度モデルは、企業が必要とするスキルセット、準拠すべき標準、達成すべき目標、実践すべきプラクティスについて規定したものだ」(同氏)

 ベンダー各社の立場も考慮に入れたという。「われわれの製品がどこにフィットするのかを示すのにSOA成熟度モデルを使用した」と同氏は話す。「このモデルは、どの製品がどのレベルにフィットするかを示してくれるが、企業が各レベルにおいて特定の製品あるいは特定のタイプのを使わなければならないという意味ではない」

 ザップシンクのシュメルツァー氏によると、ソニックのモデルはサービス成熟度モデルだという。「アーキテクチャの成熟度については何も述べていない。サービスは非常に成熟しているが、アーキテクチャは非常に未熟だということもあり得る。同社のモデルは、ベンダーの利益を図るためのものだ」と同氏は指摘する。

 シュメルツァー氏によると、IBMのモデルもSOA成熟度モデルではないという。「彼らは、Service Integration Maturity Modelと呼んでいる。これは、緩やかに連携した異なるサービスがどのようなものであるのかを示すガイドとなるもので、それが提供する価値に関しては非常に正確だ」と同氏は語る。

 しかしフォレスターのヒギンズ氏は、「今のところ、IBMのモデルが最も成熟している。提供範囲が極めて広く、適切な評価手法を備えているようだ。しかしマイクロソフトもがんばっており、一段と競争が激しくなっている」と話している。

 この状況は、「誰がこの分野をリードすべきなのか」という問題を提起している。「ベンダーやコンサルタントは当然、何がうまくいき、何がうまくいかないのかを最もよく知っている。だから彼らは、ある程度の実際的価値を成熟度モデルに付加することができるのだ」とヒギンズ氏は語る。

 「問題は、サービスや技術を売り込む目的のためだけに成熟度モデルが開発される恐れがあることだ。このため、最終的にこれらの成熟度モデルが独立した第三者機関の知的財産になる方が望ましい場合が多い」(同氏)

 スプロット氏もバックマン氏も、自社のモデルを第三者機関に委ねるにやぶさかではないとしている。「OASISの中にも、当社のモデルを提出するようわれわれに勧める人が何人かいる」とバックマン氏は話している。

 結局のところ、問題は「企業にはSOA成熟度モデルが必要か」という点に尽きる。ザップシンクのシュメルツァー氏によると、それはまだ分からないという。同氏は「必要性については100%の確信はない」としながらも、「企業が、現在のSOA環境をさらに発展させるためにガイダンスを必要としていることは確かだ」と述べている。

(この記事は2006年3月1日に掲載されたものを翻訳しました。)

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