Case Study
大口顧客が優良顧客とは限らない
営業担当者は売り上げが肝心だと思いがちだが、粗利益も重視するように意識を変える必要がある。米ユナイテッドパイプアンドサプライは、営業部隊を教育し、売上予算の達成だけでなく、会社の収益性向上にも注力させている。
パイプやバルブ類の卸売りを手掛ける米ユナイテッドパイプアンドサプライは、困難な改革に取り組み、成功した。同社は営業部隊を教育し、売上予算の達成だけでなく、会社の収益性向上にも注力させている。
ユナイテッドパイプは数年前、最優良顧客を特定するプロジェクトに乗り出した。同社にとって最優良顧客とは、単に同社に対する支払額が最大の企業ではなかった。CEOのデイブ・ラムジー氏は、当時新たにCIOに着任したマイク・グリーン氏に、社内の業務運営とコストの実態を明らかにするよう求めた。
「CEOは顧客との取引の収益性を真に把握したいと考えていた」とグリーン氏。「彼はこう直感していた。『当社には優良顧客が多数あると思っているが、顧客に対応するためにどれだけのリソースを費やしているかを調べなければならない』と。彼の直感は正しかった」
同社は、SASインスティチュートのアクティビティモニタリングツールを購入し、太平洋側北西部に展開する23カ所の支社それぞれの業務モデリングを行い、各マネジャーがどのようにコストを配分して業務を進めているかを調査した。その結果は実に驚くべきものだった。
パイプやバルブ類の卸売りを手掛ける米ユナイテッドパイプアンドサプライは、困難な改革に取り組み、成功した。同社は営業部隊を教育し、売上予算の達成だけでなく、会社の収益性向上にも注力させている。
ユナイテッドパイプは数年前、最優良顧客を特定するプロジェクトに乗り出した。同社にとって最優良顧客とは、単に同社に対する支払額が最大の企業ではなかった。CEOのデイブ・ラムジー氏は、当時新たにCIOに着任したマイク・グリーン氏に、社内の業務運営とコストの実態を明らかにするよう求めた。
「CEOは顧客との取引の収益性を真に把握したいと考えていた」とグリーン氏。「彼はこう直感していた。『当社には優良顧客が多数あると思っているが、顧客に対応するためにどれだけのリソースを費やしているかを調べなければならない』と。彼の直感は正しかった」
ユナイテッドパイプは、SASインスティチュートのアクティビティモニタリングツールを購入し、太平洋側北西部に展開する23カ所の支社それぞれの業務モデリングを行い、各マネジャーがどのようにコストを配分して業務を進めているかを調査した。
「どのマネジャーがリソース配分に工夫を凝らしているか、誰がしっかりとした経営管理を行っているかが分かった」とグリーン氏。「この調査によって、請求書ごとの顧客対応コストの違いがはっきりと浮かび上がった」
例えば、ユナイテッドパイプは、一部の顧客には1日に数回納品していることや、逆に一部の顧客が、厳しい納期で注文した製品を受け取るために、従業員を支社に派遣することを繰り返していることに気づいた。この調査は、モデリングツールを用いて同社のERPシステム(独SAPのERPソフトと米ミンクロンソフトウェアシステムズの倉庫管理ソフトで構成されている)と販売システムから情報を引き出すシステムを使って行われた。このシステムでは、配送担当者や営業担当者ごとの顧客訪問回数を含む業務記録などの情報が一覧できた。こうした情報を踏まえ、ユナイテッドパイプは個々の顧客ごとに、顧客対応コストを加味した粗利益を算出した。
「顧客ごとに通常の粗利益を計算し、その数字から、個別の対応経過に基づいて顧客対応コストを差し引いて算出した」とグリーン氏。「そうすることで、ビジネスの過程でわれわれの利益を圧迫している顧客を突き止めることができた。また、そうした顧客への対応がわれわれの重荷になっているかどうかも判断できた」
その結果は実に驚くべきものだった。ついにすべてのデータがそろった日に、グリーン氏はIT部門のオフィスにラムジー氏を招いた。結果を紹介する前に、グリーン氏はラムジー氏に、どの会社がユナイテッドパイプの最優良顧客だと思うか尋ねた。ラムジー氏は、最も売り上げに貢献している顧客の名を挙げた。ちょうどその時オフィスに来たその顧客担当の営業マネジャーも同じ意見だった。その考え方には一理あった。最も大口の顧客が最優良顧客というわけだ。しかし、実際はまったく逆だった。
「われわれが用意した顧客リストは、採算が最も良い顧客から順にソートしたものだった」とグリーン氏。「リストの一番下の最も採算が悪い顧客は、最優良顧客として挙げられた企業だった。こうして決定的に明らかになったのは、その顧客は、顧客対応活動のコストを考慮に入れると、途端に頭の痛い存在になるということだ」
この顧客(グリーン氏は社名は明らかにしていない)には至れり尽くせりの対応が行われていた。営業担当者が足しげく訪問したり、ディスカウントを提供したり、ぎりぎりの納期の注文に時間を割いて対処したりといった具合だ。こうした負担がユナイテッドパイプのコストに跳ね返っていた。そこで同社は、ただちに顧客対応に関する一連のベストプラクティスの社内教育を実施した。これらのベストプラクティスには、特定の顧客への納品を週1回に限定することや、価格維持の徹底といった基本的なものも含まれていた。
また、顧客とWin-Winの関係を築くための方策も講じられた。ユナイテッドパイプは一部の顧客と話し合いを持ち、顧客が週の初めにまとめて注文を出すようにすれば、ユナイテッドパイプがぎりぎりのタイミングで注文を受けて対応に追われるのを避けられるだけでなく、顧客にとっても、これまではそうした注文を出すのと引き換えに、従業員をユナイテッドパイプの支社に注文品を受け取りに行かせなければならないことが多々あったとしても、今後はそうした工数の無駄を省けるようになると説得した。
さらに、ユナイテッドパイプは大口顧客との間で、在庫を顧客の倉庫に置く方式を実施している。ユナイテッドパイプは週に1回、在庫の不足分を補充し、顧客が納品を待つことなくすぐに在庫を利用できるようにしている。同社にとってのメリットは何かと言えば、高い顧客ロイヤリティーの獲得だ。
今では営業マネジャーと支社長は、売り上げだけでなく利益にも注意を払っている。
「ご想像のとおり、営業担当者は売り上げが肝心だと思っている」とグリーン氏。「だがわれわれは、粗利益も重視するように彼らの意識を変えようとした。これに関しては、若干の社内教育で大きな効果が上がった。彼らは今、納品について話すときには、小さなコストが積み重なって収益を圧迫するということがない、賢明な顧客関係を築くことが重要だ、という視点を持てるようになっている」
また、ユナイテッドパイプは報酬制度を刷新している。営業担当者はこれまで同様に売り上げを反映した給与を得ているが、会社の収益性に基づいたボーナスプログラムが大規模に導入されているとグリーン氏は語る。
ユナイテッドパイプは、最優良顧客の特定に向けた顧客対応コスト調査プロジェクトのROIを具体的に測定はしていないが、グリーン氏は、2002年には1.3%だった税引き前利益率が2005年には4.8%まで上昇したと話している。同社はこのプロジェクトで多額の初期投資を余儀なくされた。顧客情報を抽出する仕組みを構築するためにプログラマーを1人投入しなければならなかったことが大きな原因だ。同社は現在、SASがその後開発したETL(抽出、変換、ロード)ツールを使っている。
(この記事は2006年3月15日に掲載されたものを翻訳しました。)
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