ガートナーが伝授するサーバ仮想化の6カ条Column

サーバ仮想化を最大限に活用するための6つのポイントを紹介する。

2006年06月29日 10時05分 公開
[TechTarget]

 新しいプロジェクトにありがちな落とし穴を避けながらサーバ仮想化を進めるには、どのような戦略が必要なのか――。ガートナーのリサーチフェロー、トム・ビットマン氏が、SearchWinIT.comのニュースディレクター、マージー・セミロフの取材に応え、サーバ仮想化を最大限に活用することを目指す企業のIT部門にガートナーが推奨している一連のベストプラクティスについて説明した。ビットマン氏は、仮想化戦略を策定する際の大まかな指針として、6つのポイントを挙げている。

 新しいプロジェクトにありがちな落とし穴を避けながらサーバ仮想化を進めるには、どのような戦略が必要なのか――。ガートナーのリサーチフェロー、トム・ビットマン氏が、SearchWinIT.comのニュースディレクター、マージー・セミロフの取材に応え、サーバ仮想化を最大限に活用することを目指す企業のIT部門にガートナーが推奨している一連のベストプラクティスについて説明した。ビットマン氏は、仮想化戦略を策定する際の大まかな指針として以下の6つを挙げている。

1.仮想化ソフトのインストールは新しいサーバ導入時に

 ROI(投資収益率)の早期実現を目指す場合は、新しいサーバハードウェアの導入時にサーバ仮想化ソフトをインストールする。サーバの更新に合わせてサーバ仮想化ソフトを導入すれば、大部分の企業は3カ月でROIを実現できる。

2.適切なアプリケーションを仮想化する

 データベースのようなI/Oが多いアプリケーションを仮想化しようとすると、問題にぶつかる。ユーザーはより一般的な計算集約型アプリケーションを中心に仮想化を行うべきであり、ハードウェアの使用率が低いアプリケーションを仮想化するのが最も効果的だ。トランザクション集約型アプリケーションは仮想化すべきではない。

3.処理量が増加している仮想マシン同士を組み合わせる

 特定の仮想マシンが活発に使用されてその処理量が急速に増加し、サーバハードウェアのアップグレードが必要となっている場合、その仮想マシンとともに同じサーバ上で稼働させる仮想マシンとして適切なのは、処理量があまり変化しないものではなく、処理量が増加している仮想マシンだ。処理量が急速に増加している仮想マシンは、80%ではなく30%のサーバ使用率で運用するとよい。リスクとROIのバランスを取るという観点から見ると、1台のサーバでホストする仮想マシンの適切な数は、おおよその目安としては8つだ。だが、これは厳密なルールではない。例えば、ガートナーの顧客企業の中には、1台のサーバで30の仮想マシンを運用しているところもあれば、1つしか運用していないところもある。

4.ソフトウェアライセンスに注意を払う

 ソフトウェアライセンスは、多くのユーザーにとって大きな懸念材料だ。ソフトのライセンス料は、もともと仮想環境での使用を基準にして設定されたものではない。多くの場合、マシンの物理的な処理能力に基づいて設定されている。例えば、2ウェイサーバで利用しているソフトを8ウェイサーバに移すと、コストが増加することになる。だが、仮想環境での製品使用を想定したMicrosoftのライセンスポリシーは、非常に珍しいものだ。同社は昨年、プロセッサ単位ではなくインスタンス単位のライセンスポリシーを打ち出している。このポリシーは市場の発展に一役買うだろう。

5.プロセスの見直しを考える

 これは仮想化自体ではなく、リソースの運用管理やディザスタリカバリ対策にかかわることだ。仮想マシンはディザスタリカバリ対策に利用されている場合も多い。また、仮想化の導入により、キャパシティプランニングの内容や、チャージバック(ビジネス部門に対するITコストの課金)の方法は必然的に変わる。こうしたことから、すべての仮想リソースの管理計画を最初から持っていなければならない。サーバと同様に、仮想マシンも無秩序に増加する恐れがある。

6.長期戦略を持つ

 仮想化はさまざまな点で最先端の技術であり、先進的なユーザーがインフラの高度化を目指して推進している。だが一方で、仮想化は、ベンダーが「トロイの木馬」として利用している面もある。彼らのシナリオは、まず仮想マシンを普及させてから、彼らの管理ツールの必要性を訴えて売り込むというものだ。ユーザーは、そうしたツールの価値を見極めなければならない。

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