日立、「モジュール型データセンタ」に新冷却システムを追加news

日立製作所は2009年3月から提供している「モジュール型データセンタ」に、新しい冷却システムを追加し2010年5月10日から販売開始することを発表した。

2010年05月11日 13時11分 公開
[TechTargetジャパン]

 日立製作所(以下、日立)は5月7日、「モジュール型データセンタ」の関連ソリューションとして、冷媒循環の電力を不要とする「冷媒自然循環システム」を追加すると発表した。

 日立は、2009年3月から企業のIT部門やデータセンター事業者向けにモジュール型データセンタを提供している。この製品は省電力、省スペースなデータセンター環境を提供するもので、最小約22平方メートルの小規模なモジュール単位でデータセンターを構築できる。モジュールには、IT機器を搭載したラック、冷却装置などがセットされており、顧客の環境に最適な設計が可能だ。日立では、独自の空調環境コンサルティングサービス「AirAssist」を活用し、冷却効率を最大化できるよう機器を最適配置することで、消費電力を最大27%削減し、利用床面積も75%削減できるとアピールしてきた。

 モジュール型データセンタでは、IT機器の入ったラックの列内にラック型空調機を配置し、IT機器が吐き出す高温の空気をラック型空調機が吸い込み、冷却した後、冷風を噴き出す仕組みを採用している。IT機器から発生する高温の空気をそのまま列内に設置された空調機が吸い込むので、冷却効率は従来の床下空調機に比べて高い。またラック周辺に熱だまりが発生して冷却効率が低下する心配もないという。

 これまでラック型空調機内部では、IT機器ラックから吸い込んできた高温の空気を冷却する冷媒を循環させるためにコンプレッサーなどの動力源を用いてきた。高温の空気を冷却した冷媒はチラーと呼ばれる熱交換器で冷やされながらラック内を循環する。

 追加が発表された冷媒自然循環システムでは、IT機器の熱を吸収した冷媒が気化し上昇する力と、熱交換器により冷却された冷媒が液化しラック内で自然に下降しようとする力を活用することで、動力源を用いずに冷媒を循環させる。この技術は日立と日立プラントテクノロジーが共同開発した。冷媒自然循環システムでは外気温が10度以下の場合、チラーを用いず外気のみで冷媒冷却水の温度を下げる「フリークーリングシステム」を活用でき、空調システムに掛かる電力コストをさらに低減できる。

「冷媒自然循環システム」の仕組み

 日立では、冷媒自然循環システムの活用により従来の空調方式に比べ空調電力コストを最大67%削減できるとしている。また、同システムと同時にモジュール内の温度や湿度などを管理・監視する監視制御盤に、空調機を自動制御できる「機能拡張モデル」を追加することも発表した。冷媒自然循環システムと監視制御盤「機能拡張モデル」は5月10日から販売開始している。

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