三菱電機が台湾系のFA機器メーカーと共同で中国国内に新会社を設立する。拡大する新興国市場に向けて現地生産・販売の体制を強化するという。
三菱電機は2011年12月14日、中国におけるFAシステム事業強化の一環として、同社中国現地法人である三菱電機(中国)有限公司とその関係会社である士林電機廠股份有限公司(以降、士林電機)の合弁による新会社の設立を発表した。2012年10月からの稼働を予定しているという。新会社の名称は三菱電機低圧電器(廈門)有限公司(仮称)で、三菱電機および三菱電機(中国)有限公司が70%を、士林電機が30%を出資、低圧配電制御機器の開発・製造・販売を行う。
士林電機は台湾・台北に拠点を置くFA機器などの製造メーカーで、三菱電機が資本金の21.17%を出資している。中国国内での製造・販売活動で先行しており、「ブランディングの意味でも中国国内で士林電機と共に展開する意味は大きい」(三菱電機 専務執行役 FAシステム事業本部長 野中秀恭氏)
今回の合弁会社設立の発表と同時に、同社FAシステム事業部の中期的な事業目標も発表されている。それによると、FAシステム事業部では連結での売上高を2011年度の4800億円から、2015年度までに6000億円程度まで引き上げる目標を掲げている。このための具体的な施策として、海外での売上拡大を目指し、海外販売比率を現在の45%から50%にまで高めるとしている。
同社では特に、中国、ASEAN地域、インド、ブラジルを重点地域とし、今後販売・生産拠点の拡大や増員、現地ニーズに沿ったトータルソリューション販売の強化を進めていくという。
インドではグルガオンにある本社近くに低圧配電制御機器の生産拠点を置く。現地メーカーを活用した生産体制の整備を進めるとしている。このほか、販売においては、インドを東西南北に分割し、それぞれの地域特性に併せた販売体制を整えるとしている。
シンガポールをASEAN領域のオペレーションや物流の拠点として強化する。特に社会インフラ投資に積極的な国が多いことから、現地企業への出資を含めスマートメーター関連の生産拠点を設立するとしている。販売拠点としては既存のシンガポール、インドネシアの他、2012年内にベトナムにも現地法人を設立する予定だ。
「ASEANでは、社会インフラ投資が活発なこと、日本のデベロッパー各社が既に現地で活動していることから、欧州勢が強い中国よりもビジネスを進めやすいのではないかと期待している」(野中氏)
南米では既にブラジル(サンパウロ)に現地販売拠点を持っている。従来、北米の法人の管轄下にあったが、重点地域強化の一環として、日本の本社直轄の体制に変更するとしている。
中国では既に上海市内に三菱電機自動化(中国)上海本社があり、2011年7月には三菱FAトータルソリューションセンターもオープンしている(上海市内)。生産拠点としては、既に稼働している三菱電機低圧電器(廈門)の他に、大連にインバータやシーケンサ、表示機などを生産する三菱電機大連機器、常熟にサーボやNC機器を生産する三菱電機自動化機器製造(常熟)を2012年内に設立予定だ。同社製品をパッケージ化したソリューション販売では、2011年6月に既に上海電気集団と合弁でSI会社を設立している。
「中国の、特に自動車製造系のメーカーは歴史的に欧州の技術をベースとしている。このため、現在は欧州メーカーが強い領域。しかし、最近では地場メーカーが積極的に製造ノウハウを蓄積しており知識も蓄えつつある。そのため、シーケンサやサーボ、MESシステムなどを包括的に一社で提供できるわれわれのソリューションへの関心が高まってきているようだ。一般産業向けのFA機器では一定のシェアを獲得していることから、今後はこの領域を強化していきたい」(野中氏)
この他、FA事業のグローバルでのビジネス展開をスピードアップする目的で、同事業部内に、現地企業などとのM&Aや提携を推進するチームを組織、地域ごとのマーケティングや事業戦略の意思決定を素早く行える体制を整えるとしている。
また、グローバルでの情報公開についても積極的に実施する予定で、同社Webサイトに掲載されている技術情報やサポート情報を随時各国語に対応させていくことも発表された。
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