日本オラクルは業務アプリケーション群「Oracle Fusion Applications」の国内提供を発表。格安航空会社のPeach Aviationが先行導入したという。
日本オラクルは2012年3月29日、業務アプリケーション群「Oracle Fusion Applications」の国内提供を発表した。まずは人材管理(HCM)とタレント管理、顧客関係管理(CRM)の3機能をSaaS(Software as a Service)として提供する。併せて、格安航空会社(LCC)のPeach Aviationが同サービスを先行導入したことを明らかにした。
開発に約6年間かけたというOracle Fusion Applicationsは、会計や顧客関係管理(CRM)、サプライチェーン管理(SCM)、人材管理(HCM)、購買調達、プロジェクト管理、内部統制・リスク管理(GRC)の7つの製品群からなる業務アプリケーション群だ。各製品群は幾つかのモジュールで構成されており、モジュールの総数は100種類以上に及ぶという。
国内ではまず、CRMの「Oracle Fusion Customer Relationship Management」、HCMの「Oracle Fusion Human Capital Management」、タレント管理の「Oracle Fusion Talent Management」の3つをSaaSとして提供する。パッケージ版の提供は未定。会計やSCMなどの製品も順次提供を開始するという。
日本オラクルは既に「Oracle E-Business Suite」「PeopleSoft Enterprise」「JD Edwards EnterpriseOne」など、統合業務(ERP)パッケージを数多く抱える。Fusion Applicationsがそうしたアプリケーションと異なる点として、同社は次の3点を挙げる。
1つ目は、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の採用で既存アプリケーションやサードパーティーアプリケ―ションとの連携を容易にしたことだ。同社のミドルウェア製品群「Oracle Fusion Middleware」を基盤にすることで、これを実現した。
同社はSOAの採用により、機能拡張の手段をアドオンではなく、アプリケーション連携にシフトさせる狙いだ(関連記事:“作らないERP”を目指す「Oracle Fusion Apps」、その提供モデルは?)。アドオンによる過度なカスタマイズは、運用やバージョンアップの負荷を高める結果となることが、その背景にある。来日した米オラクルFusion Applicationsプロダクトマネジメント担当のダグ・ヒューズ氏は、「Fusion Applicationsのメリットを引き出すためには、可能な限りカスタマイズをしない“バニラ状態”で利用してほしい」と強調した。
2つ目は、SaaS版を利用しているユーザーがパッケージ版に移行したり、その逆の移行をスムーズに進めるのに役立つという(関連記事:次世代ERP「Oracle Fusion Apps」から探るERP製品選択の未来)。同社は明言していないが、SaaS版とパッケージ版のバージョンアップのタイミングを一致させることも原理的には可能だ。
3つ目は、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスでの利用時に、ボタンを大きくしたり画面構成を変えて表示したりする。スマートデバイス向けのクライアントソフトウェアは提供せず、Webブラウザでアプリケーションを利用する形式を採る。また企業内ソーシャルネットワーク機能を備え、従業員間のやりとりを基に業務評価をするといったことが可能になる。
先行導入企業となったPeach Aviationが採用したのは、Oracle Fusion Human Capital ManagementのSaaS版である。同製品は、組織図や従業員の評価を視覚的に表示したり、企業内ソーシャルネットワークを使った従業員同士のコミュニケーションが可能だ。同社はERPにもSaaSの「NetSuite」を採用(関連記事:サントリー、ロイター、ピーチがクラウドERPを選んだ理由)。「今後も最新技術を積極的に導入していく」(Peach Aviationの井上慎一代表取締役CEO)と意気込む。
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